同じ流量なら、ロッドの分だけ受圧面積が小さい引き込みの方が速く動きます。
内径・ロッド径と流量から、押し出し・引き込みの速度(mm/s)
同じ流量なら引き込みが速い
片ロッド形のシリンダーでは、押し出しのときは油がキャップ側でピストンの面全体(A1=π/4·D²)を押し、引き込みのときはロッド側で、ロッドの断面積を除いた輪の形の面(A2=π/4·(D²−d²))を押します。速度は流量を受圧面積で割った数なので、同じ流量なら A2 の小さい引き込みの方が速く、引き込みの速度 ÷ 押し出しの速度 = A1 ÷ A2 です。
例: 内径 63 mm・ロッド径 35.5 mm・20 L/min では、押し出し 106.9 mm/s、引き込み 156.7 mm/s で、比は 1.47 です。
ロッド径の形(A形・B形・C形)と速度の比
ダイキン T-7 の表には、同じ内径に A形・B形・C形の3つのロッド径があり、A形がいちばん太いロッドです。同じ資料には「一般的にB形(Bロッド)がよく使われます。」とあります。「よくわかる油圧講座」13 は、A形は「キャップ側受圧面積(押側):ロッド側受圧面積(引き側)≒2:1になります」としています。
| 形 | ロッド径 d (mm) | A1 ÷ A2 | 引き込みの速度 (mm/s) |
|---|---|---|---|
| A形 | 71 | 2.02 | 85.6 |
| B形 | 56 | 1.46 | 61.8 |
| C形 | 45 | 1.25 | 53.2 |
上の表は内径 100 mm(押側 A1 = 78.54 cm²)に 20 L/min を送った例で、引側 A2 は A形 38.95 cm²・B形 53.91 cm²・C形 62.64 cm² です。押し出しの速度はロッド径によらず 42.4 mm/s で、A形では引き込みが押し出しのほぼ2倍の速さになります。
押し出しと引き込みを同じ速度にするとき
同じ速度で往復させるときに要る流量は、押し出しが A1・V・6、引き込みが A2・V・6 で、引き込みの方が少なくて済みます。押し出しの流量に合わせたポンプの流量をそのまま引き込みに送ると、引き込みは速く動きます。引き込みの速度を下げるときは、流量制御弁で引き込みの流量を絞ります。
メータアウトのときの速度
ダイキンの「よくわかる油圧講座」7 は、シリンダーの動作速度を流量で調整する回路を2つ挙げています。メータイン制御回路は「油圧ポンプからシリンダに送る油の量を調整して、アクチュエータの動作速度を制御する回路です。」、メータアウト制御回路は「シリンダからタンクに戻る油の量を調整して、アクチュエータの動作速度を制御する回路です。」
メータインでは、流量制御弁を通った流量がシリンダーに入るので、この流量を入る側の受圧面積で割って速度を求めます。メータアウトでは、流量制御弁を通るのはシリンダーから出る油で、押し出しのときはロッド側から出ます。このときは出る流量を A2 で割ります。
例: 内径 63 mm・ロッド径 35.5 mm で、押し出しのときにロッド側から出る流量を 10 L/min に絞ると、速度は 10 ÷ (6 × 21.2745 cm²) で 78.3 mm/s、キャップ側に入る流量は 14.7 L/min です。このアプリでは、流量に 10 L/min を入力して「引き込みの速度」の数を読むと、A2 で割った同じ速度になります。
出典
- 太陽鉄工「油圧シリンダ 選定資料」(資14 シリンダ内径の選定・資15 引時油圧シリンダ理論出力表・資25 シリンダ速度によるポート径の確認): 資14 の A1・A2 の式
- ダイキン工業 油機事業部「テクニカルサービスデータ」(T-2 油圧装置の実際計画・T-7 油圧シリンダの選定): T-7 の表のロッド径(A形・B形・C形)と「一般的にB形(Bロッド)がよく使われます」
- ダイキン工業 油機事業部「よくわかる油圧講座 13. 油圧シリンダ」: 2-1 寸法規格による分類(A形の押側と引側の受圧面積の比 ≒ 2:1)
- ダイキン工業 油機事業部「よくわかる油圧講座 7. メータイン制御・メータアウト制御」: メータイン制御回路・メータアウト制御回路
内径・ロッド径と流量から、押し出し・引き込みの速度(mm/s)