発電量の計算で迷いやすい所と、計算の前提です。
1 kW 当たり何 kWh 発電しますか
場所・向き・傾き・設置形態で変わります。京都市の算出例(1日当たり 3.72 kWh/m²・K 0.73)では 991 kWh/kW、環境省の算定シートの計算例では 1,085 kWh/kW です。設置する所の傾斜面日射量で計算してください。
方位角や傾斜角はどこで入力しますか
入力する傾斜面日射量に含まれています。NEDO の日射量データベースで、地点と方位角・傾斜角を選んだ値を使います。水平面の日射量を入力すると、傾けたパネルの発電量とは違う値になります。
影・積雪・経年劣化・出力制御は含まれていますか
含まれていません。太陽光発電協会の表示ガイドラインは、年間推定発電量を書くときに「影、積雪、経年劣化、出力制御等による影響は考慮されておりません」と添えるとしています。JIS C 8907 も、日陰による損失は一般化できないとして日陰補正係数を考えていません(建築研究所の資料)。積雪が日射量に与える影響は日射量のデータの側で考えていますが、パネルが雪に覆われることは想定していません。
1 kW 未満でも計算できますか
計算はできますが、JIS C 8907 の適用範囲は、システム出力 1 kW 以上・標準太陽電池アレイ開放電圧 750 V 以下の系統連系形と独立形です。太陽電池アレイは、同じ形式の結晶系(単結晶・多結晶)のシリコン太陽電池モジュールを1つの平面に固定した物とされています。1 kW 未満の計算結果は目安として扱います。
向きの違う屋根に分けて置くときは
JIS C 8907 は単一の平面を前提にしています。建築研究所の資料のヒアリングでは、パワーコンディショナが面ごとに接続されていれば各面の発電量を積算できるが、1台で制御していると電圧の低いパネルに全体が影響されることがあり、単純に積算できない、とされています。面ごとに計算して合計するのは、面ごとにパワーコンディショナがあるときの目安です。
住宅の省エネ計算(建築物省エネ法)の発電量と違うのはなぜですか
住宅の省エネ計算は、1時間ごとの日射量と外気温度から発電量を計算し、補正係数も JIS C 8907 の推奨値と違う値を使います(経時変化補正係数 0.96・インバータ回路補正係数 = 定格負荷効率 × 0.97 など)。計算の目的と方法が違うので、値は一致しません。
パワーコンディショナの容量は計算に入りますか
入りません。このアプリの式は、太陽電池容量・傾斜面日射量・総合設計係数だけで計算します。インバータの効率はインバータ回路補正係数(推奨値 0.90)に含まれていますが、パワーコンディショナの定格出力で出力が抑えられる分は含まれていません。
計算結果の扱い
- 推定値です。日射量は平年の値で、実際の発電量は年ごとの天候で変わります。
- 総合設計係数は、製造業者の値や根拠のある値があれば、それを入力して計算します。
出典
- 京都市「導入量算出の例①:太陽光発電設備」(再生可能エネルギー利用量算出基準・総合設計係数 結晶系 0.73・アモルファス系 0.68)
- 環境省 CO₂削減対策Navi(SHIFT事業)CO₂削減対策メニュー 300511「太陽光発電の導入(蓄電池なし、系統連系システム)」概要シート・計測シート・算定シート
- 一般社団法人 太陽光発電協会「太陽光発電協会 表示ガイドライン(2021年度)」
- 国立研究開発法人 建築研究所 建築研究資料 No.188(2018年1月)第2章 総合設計係数に関する既往知見の整理(JIS C 8907 の補正係数・温度補正係数の式・表2.4.1)
- JIS C 8907:2005「太陽光発電システムの発電電力量推定方法」(日本規格協会のプレビュー・適用範囲と目次)
- 国立研究開発法人 建築研究所「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」技術情報 第九章 第一節 太陽光発電設備(Ver.13・2026年10月)