気温と設置形態から、月ごとの温度補正係数を求めます。
温度補正係数の式
結晶系の太陽電池は、モジュールの温度が上がると出力が下がります。JIS C 8907 の温度補正係数 KPT は、月平均気温に設置形態ごとの温度上昇を加えた加重平均太陽電池モジュール温度 TCR から求めます(環境省の算定シート・建築研究所の資料)。
TCR が 25 ℃ より低い月は KPT が 1 を超え、高い月は 1 より小さくなります。25 ℃ はパネルの公称最大出力を測る標準試験条件のモジュール温度です。
設置形態と ΔT
ΔT は設置形態で決まります(環境省の算定シート 表1)。裏面開放形(架台設置形)が最も小さく、裏面密閉形(建材一体形)が最も大きい値です。環境省の計算例の日射量と気温(40 kW・−0.45 %/℃)で、設置形態だけを替えた年間発電量は次のとおりです。
| 設置形態 | ΔT | 年間発電量 |
|---|---|---|
| 架台設置形(裏面開放形) | 18.4 ℃ | 43,386 kWh/年 |
| 屋根置き形 | 21.5 ℃ | 42,758 kWh/年 |
| 屋根一体形 | 25.4 ℃ | 41,978 kWh/年 |
| 建材一体形(裏面密閉形) | 28.0 ℃ | 41,452 kWh/年 |
最大出力温度係数 αPmax
最大出力温度係数は、モジュールの温度が 1 ℃ 変わったときの最大出力の変化(%/℃)です。製造業者などから値が手に入るときはその値を使い、無いときは結晶系 −0.40〜−0.50 %/℃、結晶系以外 −0.20 %/℃ から選びます(環境省の算定シート)。環境省の計算例は −0.45 %/℃ を選んでいます。建築研究所の解説によると、JIS C 8907 の附属書2 表1 は結晶系 −0.0041、アモルファス系 −0.0020 を示しています。この値は 1 K(1 ℃)当たりの割合で、%/℃ にすると −0.41 と −0.20 です。単位を取り違えて −0.0041 を %/℃ の欄に入力すると、温度の影響がほとんど無い計算になります。
| αPmax | 年間発電量(架台設置形・40 kW) |
|---|---|
| −0.45 %/℃ | 43,386 kWh/年 |
| −0.35 %/℃ | 43,701 kWh/年 |
| −0.20 %/℃ | 44,179 kWh/年 |
月ごとの温度補正係数の例
環境省の算定シートの計算例(架台設置形 ΔT 18.4 ℃・αPmax −0.45 %/℃)の月平均気温と温度補正係数です。冬は 1 を超え、夏は 0.92 前後まで下がります。
| 月 | TAV(℃) | TCR(℃) | KPT |
|---|---|---|---|
| 1月 | 0.8 | 19.2 | 1.026 |
| 2月 | 2.1 | 20.5 | 1.020 |
| 3月 | 5.6 | 24.0 | 1.005 |
| 4月 | 11.7 | 30.1 | 0.977 |
| 5月 | 16.4 | 34.8 | 0.956 |
| 6月 | 20.3 | 38.7 | 0.938 |
| 7月 | 23.9 | 42.3 | 0.922 |
| 8月 | 25.1 | 43.5 | 0.917 |
| 9月 | 21.2 | 39.6 | 0.934 |
| 10月 | 14.4 | 32.8 | 0.965 |
| 11月 | 8.2 | 26.6 | 0.993 |
| 12月 | 3.2 | 21.6 | 1.015 |
建築研究所の資料は、架台設置形・−0.45 %/℃ で JIS の方法の年間の温度補正係数を 8 都市で計算し、北見 1.004 から那覇 0.927 まで、寒い地域ほど大きくなることを示しています。月平均気温は、気象庁の過去の気象データ検索で最寄りの地点の平年値を調べます。
出典
- 環境省 CO₂削減対策Navi(SHIFT事業)CO₂削減対策メニュー 300511「太陽光発電の導入(蓄電池なし、系統連系システム)」概要シート・計測シート・算定シート
- 国立研究開発法人 建築研究所 建築研究資料 No.188(2018年1月)第2章 総合設計係数に関する既往知見の整理(JIS C 8907 の補正係数・温度補正係数の式・表2.4.1)
- 国立研究開発法人 建築研究所「住宅エネルギー消費性能の算定方法の解説 太陽光発電設備」(2025年4月)
- 国立研究開発法人 建築研究所「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」技術情報 第九章 第一節 太陽光発電設備(Ver.13・2026年10月)