用途ごとの算定方法を表にまとめ、条文の言葉の意味を審査基準で補いました。
収容人員とは
収容人員は、防火対象物に出入し、勤務し、又は居住する者の数で、算定方法は消防法施行規則第1条の3に規定されています(東京消防庁の「主な防火・防災管理関係義務一覧」)。東京消防庁の「収容人員の算定方法」は、収容人員は実際の人数ではなく、法令で定められた算定方法に基づいて求めた人数だと説明しています。
防火管理者を定めるか、避難器具や非常警報設備を設けるかを決めるときに使う数で、用途(消防法施行令別表第一の項)ごとに、従業者の数に、いす席の数・ベッドの数・床面積を単位の面積で除した数などを加えて求めます。
用途ごとの算定方法(第1条の3 第1項の表)
- (1)項 劇場・映画館・公会堂・集会場など
従業者 + 固定式のいす席の数(長いすは正面幅 ÷ 0.4 m)+ 立見席の部分の床面積 ÷ 0.2 m² + その他の部分の床面積 ÷ 0.5 m² - (2)項 遊技場(パチンコ店・ボウリング場など)
従業者 + 遊技のための機械器具を使用して遊技を行うことができる者の数 + 観覧・飲食・休憩用の固定式のいす席の数(長いすは正面幅 ÷ 0.5 m) - (2)項 キャバレー・ダンスホール・カラオケボックスなど
従業者 + 固定式のいす席の数(長いすは正面幅 ÷ 0.5 m)+ その他の部分の床面積 ÷ 3 m² - (3)項 待合・料理店・飲食店
従業者 + 固定式のいす席の数(長いすは正面幅 ÷ 0.5 m)+ その他の部分の床面積 ÷ 3 m² - (4)項 百貨店・マーケット・物品販売店舗・展示場
従業者 + 飲食・休憩の部分の床面積 ÷ 3 m² + その他の部分(売場など)の床面積 ÷ 4 m² - (5)項イ 旅館・ホテル・宿泊所
従業者 + 洋式の宿泊室のベッドの数 + 和式の宿泊室の床面積 ÷ 6 m²(簡易宿所・主として団体客を宿泊させるものは 3 m²)+ 集会・飲食・休憩の部分(いす席の数・長いすは ÷ 0.5 m・その他の部分は ÷ 3 m²) - (5)項ロ 寄宿舎・下宿・共同住宅
居住者の数 - (6)項イ 病院・診療所・助産所
医師・歯科医師・助産師・薬剤師・看護師その他の従業者 + 病室内にある病床の数 + 待合室の床面積の合計 ÷ 3 m² - (6)項ロ・ハ 老人福祉施設・保育所などの社会福祉施設
従業者 + 老人・乳児・幼児・身体障害者・知的障害者その他の要保護者の数 - (6)項ニ 幼稚園・特別支援学校
教職員 + 幼児・児童・生徒の数 - (7)項 小学校・中学校・高等学校・大学など
教職員 + 児童・生徒・学生の数 - (8)項 図書館・博物館・美術館など
従業者 + 閲覧室・展示室・展覧室・会議室・休憩室の床面積の合計 ÷ 3 m² - (9)項 公衆浴場(蒸気浴場・熱気浴場を含む)
従業者 + 浴場・脱衣場・マッサージ室・休憩の部分の床面積の合計 ÷ 3 m² - (10)項 車両の停車場・船舶や航空機の発着場
従業者の数 - (11)項 神社・寺院・教会など
神職・僧侶・牧師その他の従業者 + 礼拝・集会・休憩の部分の床面積の合計 ÷ 3 m² - (12)項 工場・作業場・映画スタジオ・テレビスタジオ
従業者の数 - (13)項 自動車車庫・駐車場・航空機の格納庫
従業者の数 - (14)項 倉庫
従業者の数 - (15)項 事務所など(前各項に該当しない事業場)
従業者 + 主として従業者以外の者の使用に供する部分の床面積 ÷ 3 m² - (17)項 重要文化財などの建造物
床面積 ÷ 5 m²
この一覧は条文を短くまとめたものです。長いすの 0.4 m・0.5 m で除した数は、条文で1未満のはしたの数を切り捨てるとされています。条文の字は、計算の画面の「計算の内訳」と、出典の京都市消防局・東京消防庁の資料で読めます。
複合用途と、そのほかの防火対象物
(16)項と(16の2)項は、令別表第一の各項の用途と同一の用途に供されている部分を、それぞれ一の防火対象物とみなして第1項の方法で算定した収容人員を合算します(消防法施行規則 第1条の3 第2項)。
建築基準法の仮使用の承認を受けた建物は、承認を受けた部分の用途の方法で算定した数と、そのほかの部分の従業者の数を合算します。新築の工事中の建築物と建造中の旅客船は、従業者の数で算定します(京都市消防局・東京消防庁の資料の表の終わりの行)。この計算の画面は、この2つの算定には対応していません。
条文の言葉の意味(消防本部の審査基準)
- 従業者の数: 正社員・臨時社員の別を問わず、平常時の最大の勤務者数です。短期間かつ臨時に雇用される者は含めません。交代制は通常の勤務時間帯の最大の数で、交代のために一時的に重なる人は加えません。指定された執務用の机などがある外勤者は含めます(宇都宮市・川崎市)。
- 客席の部分: 観客などが観覧などの目的で占める観覧席などの部分です。客席の中の通路の部分は、算定の対象から除きます(宇都宮市・川崎市・那覇市)。
- 固定式のいす席: 個々のいすが一定の位置に固定される構造の席です。ロビーなどのソファーで、常に同じ場所に置かれ、容易に移動できない物も含めます。「容易に移動できない」とは、一般の人が1人で3秒以内に 1 m 以上移動させることができない物です(宇都宮市・新潟市)。
- 立見席を設ける部分: いすを置かず、観客が立って観覧する部分です。いす席の通路の延長部分や、非常口などの扉が回転する部分は含めません(宇都宮市・川崎市・那覇市)。
- その他の部分: 固定式のいす席・立見席以外の客席の部分で、移動式のいす席・ます席・大入場・寄席の桟敷などです(宇都宮市・川崎市・新潟市)。(4)項では、飲食・休憩の部分以外の部分(売場など)を指します。
- 廊下・階段・便所: 原則として、収容人員を算定する床面積に含めません(宇都宮市・川崎市・岐阜市)。
出典
- 京都市消防局「収容人員の算定(消防法施行規則 第1条の3)」(第1項の表)
- 東京消防庁「収容人員の算定要領」(消防法施行規則 第1条の3 第1項の表と第2項)
- 東京消防庁「収容人員の算定方法」(飲食店・物品販売店舗・診療所・事務所と、1未満の端数の切り捨て)
- 東京消防庁「主な防火・防災管理関係義務一覧」(防火管理者が必要な収容人員)
- 宇都宮市「第6 収容人員の算定」(審査基準・従業者の数・床面積の端数・長いす・和式の宿泊室の切り上げ)
- 川崎市「収容人員の算定」(収容人員の算定基準と共通的取扱い)
- 新潟市「収容人員」(消防用設備等の運用指針)
- 那覇市「第4 収容人員の算定」(1)項(集会室の算定方法例)
- 岐阜市「第2 収容人員の算定」(床面積の端数・(5)項イの宿泊室は宿泊室ごとに切り上げ)