長いす・床面積・和式の宿泊室で、1未満の端数の扱いが違います。
長いすは1脚ごとに切り捨て
消防法施行規則第1条の3は、長いす式のいす席を、正面幅を 0.4 m((1)項)または 0.5 m((2)項・(3)項・(5)項イ)で除して得た数とし、1未満のはしたの数は切り捨てるとしています。宇都宮市と川崎市の審査基準は、1つ1つの長いすについて除算してそのつど端数を切り捨て、正面幅の合計で一括して除算するのではないとしています。
例: 正面幅 4.7 m の長いすが4脚(那覇市のホテルの例の1階)なら、4.7 ÷ 0.5 = 9.4 → 9 人 × 4 = 36 人です。正面幅を合計して 18.8 ÷ 0.5 = 37.6 → 37 人とするのは誤りです。
床面積で除した数は切り捨て
床面積を 3 m² などで除した数の1未満の端数は、宇都宮市・川崎市・岐阜市・大分市の審査基準で切り捨てるとしています。東京消防庁の資料も、飲食店((3)項ロ)・物品販売店舗((4)項)・診療所((6)項イ)・事務所((15)項)について、1未満の端数は切り捨てて算定するとしています。
同じ区分の部分が2つ以上あるとき、切り捨てる順は審査基準によって違います。
- 合計してから切り捨て: 川崎市と宇都宮市の審査基準は、立見席を設ける部分が2以上あるとき、部分ごとに 0.2 m² で除して得た数を合算し、その合計に端数が生じたら切り捨てるとしています。条文の(6)項イ・(8)項・(9)項・(11)項の「床面積の合計を 3 平方メートルで除して得た数」も、合計してから除す形です。
- 部分ごとに切り捨て: 新潟市の運用指針は、長いす・立見席・その他の算定対象部分が複数あるときは、それぞれの部分ごとに算定したもの(1未満の端数は切り捨て)を合算するとしています。那覇市の算定方法例も、部屋ごとに切り捨ててから合計しています。
- 飲食店(那覇市 その1): 従業者 4 人・その他の部分 9・29・11 m²
- 飲食店(那覇市 その2): 従業者 6 人・長いす 19.0・8.5・5.5×6 m・その他の部分 29・18・8×6 m²
- 図書館(那覇市): 従業者 30 人・閲覧室 1,200 m²・視聴覚室 100 m²・会議室 150 m²
- スーパー銭湯(那覇市): 従業者 10 人・浴場 150 m²×2・サウナ 50 m²×2・脱衣場 200 m²×2・休憩所 200 m²
- 銀行(那覇市): 従業者 20 人・ロビーなど 145 m²・応接室 14 m²×3
| 例 | 部分ごとに切り捨て | 合計してから切り捨て |
|---|---|---|
| 飲食店(那覇市 その1) | 19 人 | 20 人 |
| 飲食店(那覇市 その2) | 154 人 | 158 人 |
| 図書館(那覇市) | 513 人 | 513 人 |
| スーパー銭湯(那覇市) | 340 人 | 343 人 |
| 銀行(那覇市) | 80 人 | 82 人 |
合計してから切り捨てる方が、同じか大きい数になります。差は部分の数より小さく、防火管理者や設備の判断の線(30 人・50 人など)の近くでだけ結論が変わります。この計算の初めの設定は「合計してから切り捨て」で、「詳しい設定」で替えられます。
和式の宿泊室は1室ごとに切り上げ
旅館・ホテル((5)項イ)の和式の宿泊室は、宿泊室ごとに床面積を 6 m²(簡易宿所と主として団体客を宿泊させるものは 3 m²)で除します。宇都宮市の審査基準は、昭和52年1月の消防庁の通知(消防予第3号)を引いて、和室の宿泊室の算定で除して得た数に端数が生じた場合は切り上げるとしています。大分市・那覇市・岐阜市の審査基準も切り上げです。
例: 8 m² の和室が10室なら、8 ÷ 6 ≒ 1.33 → 2 人 × 10 = 20 人です。12.5 m² の和室は 12.5 ÷ 6 ≒ 2.08 → 3 人です。簡易宿所(3 m² で除す)の 8 m² の部屋は、8 ÷ 3 ≒ 2.66 → 3 人です。宇都宮市・川崎市の審査基準は、簡易宿所などで各室が 3 m² 未満なら各室1名としています(切り上げると同じ数になります)。
和式の宿泊室の床面積は畳の部分で、押入れ・床の間・便所などは含めません(宇都宮市・川崎市)。一の宿泊室に和式の部分と洋式の部分があるときは、それぞれを算定して合算します。洋式の宿泊室はベッドの数で、ダブルベッドと2段ベッドは2と数えます(宇都宮市・川崎市・那覇市)。
出典
- 京都市消防局「収容人員の算定(消防法施行規則 第1条の3)」(第1項の表)
- 宇都宮市「第6 収容人員の算定」(審査基準・従業者の数・床面積の端数・長いす・和式の宿泊室の切り上げ)
- 川崎市「収容人員の算定」(収容人員の算定基準と共通的取扱い)
- 新潟市「収容人員」(消防用設備等の運用指針)
- 東京消防庁「収容人員の算定方法」(飲食店・物品販売店舗・診療所・事務所と、1未満の端数の切り捨て)
- 大分市「第7 収容人員の算定」(和式の宿泊室の端数の切り上げ・階単位と棟単位)
- 岐阜市「第2 収容人員の算定」(床面積の端数・(5)項イの宿泊室は宿泊室ごとに切り上げ)
- 那覇市「第4 収容人員の算定」(2)項・(3)項(パチンコ・個室ビデオ・飲食店・カラオケボックスの算定方法例)
- 那覇市「第4 収容人員の算定」(5)項(ホテルの算定方法例)
- 那覇市「第4 収容人員の算定」(8)項(図書館の算定方法例)
- 那覇市「第4 収容人員の算定」(9)項(スーパー銭湯の算定方法例)
- 那覇市「第4 収容人員の算定」(15)項(銀行・美容院・スポーツクラブの算定方法例)