理論粗さと比べるのは最大高さ Rz です。記号と三角記号の読み方です。
最大高さ Rz と算術平均粗さ Ra
京セラの「R 技術資料」(R7 表面粗さ・JIS B 0601-2001 による)と、住友電工ハードメタルのテクニカルガイダンス(N48)は、表面粗さの種類を次のように説明しています。
- 最大高さ Rz: 粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したもの。
- 算術平均粗さ Ra: 粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ ℓ だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向に X 軸を、縦倍率の方向に Y 軸を取り、粗さ曲線を y = f(x) で表したときに、Ra = 1/ℓ × ∫|f(x)|dx(0 から ℓ まで)で求められる値をマイクロメートル(μm)で表したもの。
- 十点平均粗さ RzJIS: 最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和。
理論粗さ h は、送りの跡の山の頂から谷の底までの高さなので、最大高さ Rz の理論値です(京セラの記号 Rz(h))。
2001年に変わった記号
京セラの資料(R7 表面粗さ記号の注意点)は、ISO 規格と記号を合わせるため、JIS B 0601-2001 から記号が変わったとしています。
| 種類 | JIS B 0601-1994 の記号 | JIS B 0601-2001 の記号 |
|---|---|---|
| 最大高さ | Ry | Rz |
| 十点平均粗さ | Rz | (RzJIS) |
| 算術平均粗さ | Ra | Ra |
同じ資料は「十点平均粗さ(Rz)は、2001年度版から削除されましたが、従来より日本国内で普及していたので、RzJIS参考記号として残っています。」としています。1994年の記号で書かれた図面の Rz は十点平均粗さで、最大高さは Ry です。理論粗さと比べる前に、図面がどちらの記号で書かれているかを確かめます。
三角記号との関係
京セラの資料(R7)と住友電工ハードメタルの資料(N48)には、Ra・Rz・RzJIS の区分値と三角記号の区分の表があります。そのうちの4行と、理論粗さをその Rz にする送り(コーナ半径 0.8 mm・0.001 mm/rev に切り捨て)です。
| 三角記号 | Ra(μm) | Rz・RzJIS(μm) | 送り(RE 0.8 mm) |
|---|---|---|---|
| ▽▽▽ | 0.8 | 3.2 | 0.143 mm/rev |
| ▽▽▽ | 1.6 | 6.3 | 0.200 mm/rev |
| ▽▽ | 3.2 | 12.5 | 0.282 mm/rev |
| ▽▽ | 6.3 | 25 | 0.400 mm/rev |
住友電工ハードメタルの資料は、この表を、最大高さ Rz・十点平均粗さ RzJIS・算術平均粗さ Ra の区分値と、基準長さの標準値、三角記号の区分を示す表としています。決まった数の並びを同じ段に置いた表で、Ra から Rz を求める換算の式ではありません。京セラの資料は「仕上げ記号(三角記号▽及び波形記号~)は、1994年の改正によりJISの上ではなくなりました。」と注記していて、住友電工ハードメタルの資料にも同じ注記があります。
理論粗さと図面の粗さを比べるとき
理論粗さ h は最大高さ Rz の理論値なので、比べるのは図面の Rz(1994年の記号なら Ry)です。図面が Ra で指示されているときは、h の数をそのまま Ra と比べないでください。どちらの場合も、実際の面は理論粗さより粗くなります(実際の粗さのページ)。
京セラの資料(R7 JISの記入例)は、上限だけを指示する例として、Ra は数だけの「6.3」(上限が 6.3 µmRa の時)、Rz は「パラメータの記号に続けて表面粗さの指示値を記入」した「Rz6.3」を示し、「RaとRzの記入方法が異なっていますので注意してください。」としています。図面の数が Ra と Rz のどちらで指示されているかを確かめてから、理論粗さと比べます。