説明

コーナ半径(ノーズR)と仕上げ面粗さ

コーナ半径を大きくすると理論粗さは小さくなりますが、限りもあります。

式で見るコーナ半径

理論粗さの式 h = f² ÷(8 × RE)× 1000 では、コーナ半径 RE は割る数です。コーナ半径を2倍にすると理論粗さは半分になり、同じ理論粗さで比べると送りを √2 倍(約1.41倍)にできます。

コーナ半径 RE送り 0.2 mm/rev の理論粗さ理論粗さ 6.3 μm の送り
0.4 mm12.50 μm0.141 mm/rev
0.8 mm6.25 μm0.200 mm/rev
1.2 mm4.17 μm0.245 mm/rev
1.6 mm3.13 μm0.283 mm/rev
2 mm2.50 μm0.317 mm/rev

送りは 0.001 mm/rev に切り捨てた値です。

コーナ半径による影響

三菱マテリアルの技術資料は「コーナ半径は刃先の強度と仕上げ面粗さに非常に影響します。一般的には送りの2~3倍が適当です。」としています。同じ資料は、コーナ半径による影響を次のようにまとめています。

住友電工ハードメタルのテクニカルガイダンス(N21)も「切削抵抗は被削材との接触長さに比例して増大するため、コーナー半径が大きいほうが背分力の増大により、びびり現象が発生しやすい。」「送り量が同じでコーナー半径が小さいほど仕上げ面粗さは粗くなる。」としています。

送りの2〜3倍という目安

コーナ半径 0.8 mm を送りの2〜3倍とすると、送りは 0.267〜0.400 mm/rev に当たり、その理論粗さは 11.11〜25.00 μm です。仕上げで理論粗さを小さくするときは送りがこれより小さくなり、コーナ半径は送りの3倍を超えます(三菱マテリアルの例題も、コーナ半径 0.8 mm・送り 0.2 mm/rev で4倍です)。

このアプリは、コーナ半径が送りの2倍より小さいときに「コーナ半径が送りの2倍より小さい」の1行を表示します。計算結果は表示しますが、三菱マテリアルの目安よりコーナ半径が小さい組です。

コーナ半径を小さくする場合・大きくする場合

三菱マテリアルの「コーナ半径」のページは、次の場合を挙げています。

コーナ半径を小さくする場合コーナ半径を大きくする場合
切込みの小さい仕上げ削りのとき黒皮、断続切削のように刃先の強度を必要とするとき
細くて長い被削材のとき荒削りで太い径の被削材のとき
機械の剛性が低いとき機械に剛性があるとき

住友電工ハードメタルのテクニカルガイダンス(N21)は、切りくず処理の面から「送り量が同じでもコーナー半径を小さくすると切りくず厚みは増大し、切りくず処理は良くなる。」としています。仕上げ面粗さだけでなく、びびりと切りくずも見て選びます。

段付き軸の隅Rからの制限

奈良工業高等専門学校の研究紀要(和田・中西)は「隅 R を持つ段付軸を加工する場合,段差には工具刃部の円弧が転写される.このため,バイトのコーナ半径を隅 R と同じ,あるいは小さくする必要があり,コーナ半径は機械部品の隅 R から制限を受ける.」としています。図面の隅Rより大きいコーナ半径は使えないので、そのときは送りで理論粗さを合わせます。

コーナ半径・コーナR・ノーズR

京セラの切削記号の表(R6)は、コーナ半径の記号を RE(旧い記号は R)としています。タンガロイのユーザーズガイドは、バイトの名称の図(L003)で刃先の丸い所を「コーナ(ノーズ)」と書き、R 加工の補正の説明(L012)では「ノーズ R」と書いています。計算の画面のコーナ半径 RE には、インサートのカタログの寸法の表の RE の値を入力します。

出典

理論粗さを計算する