説明

力率改善の目標(95 %・98 %)と力率割引

力率改善の目標の決め方と、電気料金の力率割引の考え方です。

改善の目標(95 %・98 %)

農林水産省 電気設備 設計指針は、力率の改善目標を、電動機に個別に設置する場合のコンデンサ容量は 95 %、母線に一括で設置する場合のコンデンサ容量は 98 % とし、このコンデンサの直近下位のコンデンサ標準容量とするとしています(p.2-43)。理由は、電力料金の低減と進相コンデンサの償却費が見合う値であること、最大負荷に対して力率を 100 % とすると軽負荷時に進み力率となり、受電電圧の上昇などの不都合を生じることです。

同じ資料の表2.5-2(コンデンサ力率によるコスト比較)は、改善前の力率 0.8 の負荷で、目標 0.95 なら定格設備容量 100 kvar・コスト 100、目標 1 なら 150 kvar・コスト 130 という例です。目標を 1 に近づけるほど、コンデンサの容量と費用が大きくなります。

環境省の温室効果ガス排出削減等指針の対策集は、管理標準の例として「受電力率を 95 % 以上に維持することを基準として、設備又は変電設備における力率を進相コンデンサの設置等により向上させる」を挙げています。

力率割引(85 % を基準に)

設計指針は、各電力会社の料金体系に受電力率による基本料金の割引・割増し制度があるので、設備の設計に当たっては特別な事情がない限りコンデンサ設備の設置による力率改善を行うとしています。例として挙げているのは次の制度です(例 東京電力の場合)。

割引・割増しの決まりは電力会社と契約によって異なります。契約の約款で確かめてください。

料金の力率の求め方

高圧電力の力率は、電力会社が受電点で有効電力量と無効電力量を計測し、その 1 か月のうち毎日午前 8 時から午後 10 時までの時間における平均力率を次の式で求めます(式2.5-2)。

平均力率 = 有効電力量 ÷ √(有効電力量² + 無効電力量²)

たとえば有効電力量 100,000 kWh・無効電力量 50,000 kvarh なら、100,000 ÷ √(100,000² + 50,000²) = 0.8944、89.4 % です(この数は式の確かめのための例です)。低圧電力は、表2.5-5 の低圧電動機の進相コンデンサ取付容量基準表に基づいて進相コンデンサを取り付けてある機器は 90 %、取り付けていない機器は 80 %、電熱器は 100 % として、機器の容量で加重平均します(式2.5-1)。

コンデンサを群に分けて開閉する(自動力率制御)

母線に進相コンデンサを集中設置して、その総定格設備容量が 300 kvar を超える場合は、進相コンデンサを 2 群以上のバンクに分割し、負荷変動に応じて接続するコンデンサを開閉して設備全体の力率を改善します。開閉は一般的に負荷の無効電力を検出し、常に負荷の無効電力に等しいコンデンサ容量を投入するように制御します(設計指針 2.5.4)。

出典

コンデンサの容量を計算する