電動機の出力と効率から、力率改善の進相コンデンサの容量を求めます。
誘導電動機は、負荷の軽い時ほど力率が悪く、全負荷に近づくにつれて力率が良くなります。有効電力が変化しても無効電力がほぼ一定という特性によるもので、この無効電力を補償する容量の進相コンデンサを取り付ければ、力率を負荷の状態に関係なく 95〜100 % 近くに保てます(農林水産省 電気設備 設計指針 2.5.2 (1))。
電動機の負荷入力
式2.5-4 の P は負荷入力容量です(設計指針の記号では Pin)。電動機の出力 Po は負荷出力容量なので、負荷効率 η で割って負荷入力にしてから計算します。計算の画面では「詳しい設定」の「有効電力の求め方」で「電動機の出力と効率から求める」を選ぶと、出力と効率の欄になります。
例(出力 100 kW・効率 0.90・力率 0.86 → 0.95)
設計指針の例は、表2.5-3 の α = 0.264 を使って 100 ÷ 0.9 × 0.264 = 29.3 kvar としています。式のままでは α = 0.2647 で 29.4 kvar です(差は表の丸めによるものです)。そのうえで「進相コンデンサ定格設備容量は、25 kvar の次は 30 kvar であるが、過大容量では自己励磁現象の発生の可能性もあるため 25 kvar を選定する」としています。
計算の画面の「改善後の力率」で確かめると、この電動機に 25 kvar を設置したときの力率は 93.8 %、30 kvar では 95.1 % です。25 kvar では目標の 95 % にわずかに届きませんが、過大な容量で自己励磁現象を起こさない側を選んでいます。
電動機に直結するコンデンサの上限
電動機に直結するコンデンサの容量を大きく取り過ぎる(励磁電流相当分以上)と自己励磁現象を起こし、電動機の端子電圧が定格以上に上がる場合があります。設計指針は、次の式以下の容量とし、無負荷電流が不明なときは電動機容量の 1/3 程度以下が望ましいとしています。挿入する容量は、無負荷励磁に相当する無効電力分から決めればよい、とも書かれています。
コンデンサを設置する場所
進相コンデンサは、力率を改善しなければならない負荷の近くに設置するとその効果が最大限に発揮されます。しかし多数を分散して配置すると経済性が悪くなり、設置スペースやメンテナンスなどが増えるので、設計指針は次の形を一般的としています(図2.5-1)。
- 主電動機の力率改善は、電動機と並列に進相コンデンサを設置する。
- 低圧補機の連続運転(バルブ・ゲート類は除く)負荷も、電動機と並列に進相コンデンサを設置する。
- 変圧器の励磁補償や補機等の無効電力を補償する場合は、さらに母線に進相コンデンサを一括設置する。
高圧コンデンサには、メンテナンスとコンデンサ保護のために負荷開閉器を設けます(図2.5-1 の注)。
低圧の電動機(内線規程)
低圧受電の進相コンデンサは、内線規程(JEAC 8001 3335 節)に詳細が規定されていて、すべての負荷に進相コンデンサを設けます(設計指針 2.5.3)。個々の負荷に取り付けるときは、コンデンサの容量を負荷の無効分より大きくしないこと、手元開閉器またはこれに相当するものよりも負荷側に取り付けること、本線から分岐しコンデンサに至る電路には開閉器などを施設しないこと、とされています。やむを得ず 2 台以上の電動機に取り付けるときの容量は、各電動機の定格出力に対応する進相コンデンサの容量の合計とします。