直列リアクトル付きの進相コンデンサの定格容量と、リアクトルの容量を求めます。
進相コンデンサを回路に投入するとコンデンサに高調波が流入し、高調波電流が回路電圧の波形のひずみを増幅させます。これを低減させるため、コンデンサと直列にリアクトルを挿入します。農林水産省 電気設備 設計指針は「高圧回路ではすべてリアクトルを挿入する」としています(2.5.2 (4)・JEAC 8001 3805 節)。低圧進相コンデンサを各負荷に供用して取り付ける場合も、直列リアクトルを挿入します(JEAC 8001 3335 節)。
なぜ 6 % か
三相交流配電で最も含有量の多い第5高調波に共振するリアクタンスは、ωL = 1 ÷(25ωC)= 0.04 Xc です(式2.5-7・Xc はコンデンサの基本波リアクタンス)。第5次の高調波に対して共振せず、かつ誘導性とするために、直列リアクトルの容量を L = 6 % とします。電源系統に第3高調波の影響が無視できない場合や第5高調波電圧のひずみが大きい場合には、第5高調波含有率 70 % まで許容できる 6 % の直列リアクトル、または 13 % の直列リアクトルが用いられます。
定格設備容量と定格容量
定格設備容量は、コンデンサと直列リアクトルを組み合わせた設備として回路に供給する無効電力です。力率改善の計算で求める Qc はこの定格設備容量で、直列リアクトルの有無では変わりません。直列リアクトルの分だけコンデンサの端子電圧が高くなるので、コンデンサ単体の定格容量は定格設備容量より大きくなります(設計指針 p.2-41 の「定格容量〔kvar〕=定格設備容量〔kvar〕÷(1 − L/100)」)。
例(定格設備容量 200 kvar・L = 6 %)
設計指針の例は、200 kvar の設備に 12.8 kvar の直列リアクトル(SR)と 213 kvar のコンデンサ(SC)を組み合わせています。自動力率制御の図(図2.5-5・2.5-6)も、定格設備容量 100 kvar・200 kvar・400 kvar に、SC 106 kvar・213 kvar・426 kvar と SR 6.38 kvar・12.8 kvar・25.5 kvar を組み合わせています。次の表の L = 6 % の行は、これと同じ値です(定格容量はコンデンサ単体の定格容量、リアクトルは直列リアクトルの容量)。
| 定格設備容量 | L | 定格容量 | リアクトル |
|---|---|---|---|
| 100 kvar | 6 % | 106 kvar | 6.38 kvar |
| 100 kvar | 13 % | 115 kvar | 14.9 kvar |
| 200 kvar | 6 % | 213 kvar | 12.8 kvar |
| 200 kvar | 13 % | 230 kvar | 29.9 kvar |
| 400 kvar | 6 % | 426 kvar | 25.5 kvar |
| 400 kvar | 13 % | 460 kvar | 59.8 kvar |
表の数は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です(有効数字3桁)。
試験の例(第三種電気主任技術者 法規 問12)
令和6年度上期の法規 問12(令和5年度下期の問12 も同じ問題)は、線間電圧 6,600 V の高圧電路に接続された 300 kW・遅れ力率 0.6 の三相負荷に、直列リアクトル(XL は XC の 6 %)付きの三相コンデンサを並列に接続する問題です。
- (a) 三相コンデンサ SC の端子電圧は 6,600 ÷(1 − 0.06)≒ 7,021 V です(正答 (5))。
- (b) 力率を 0.6 から 0.8 に改善するとき、設備として必要な無効電力は 400.00 kvar − 225.00 kvar = 175.00 kvar で、三相コンデンサ SC の容量は 175 ÷(1 − 0.06)≒ 186 kvar です(正答 (3) 186)。
計算の画面に 300 kW・60 %・80 %・直列リアクトル 6 % を入力すると、必要なコンデンサの容量 175 kvar、コンデンサの定格容量 186 kvar を表示します。
直列リアクトルの許容電流種別
設計指針は、直列リアクトルの許容電流種別を、基本的に特別高圧受電設備は I 種、高圧配電系統と低圧で使用するリアクトルは II 種としています(表2.5-4・JIS C 4902:2010)。I 種は最大許容電流が定格電流の 120 %・第5調波含有率が基本波電流の 35 %、II 種は 130 %・55 % です。