力率改善に必要な進相コンデンサの容量を、有効電力と力率から求める式です。
力率は、有効電力(kW)と皮相電力(kVA)の比です。誘導電動機などの誘導負荷は力率が 50〜80 % 程度で、受電設備全体では 70〜80 % 程度になります(農林水産省 電気設備 設計指針 2.5.2)。進相コンデンサを設置して進み電流を供給すると、無効電流が減って力率が上がります。
計算式
農林水産省の電気設備 設計指針は、この式を式2.5-4 として「負荷力率を cosθ0 から cosθ1 まで改善するのに要する進相コンデンサの容量」を求めています。P は負荷入力容量で、電動機の出力から求めるときは 出力 ÷ 効率 です(P = Po ÷ η)。
電力の三角形で考える
有効電力 P・無効電力 Q・皮相電力 S は直角三角形の関係にあり、Q = P × tanθ、S = P ÷ cosθ です。コンデンサを設置しても有効電力は変わらないので、コンデンサが受け持つ無効電力は、改善前の無効電力 P × tanθ0 と改善後の無効電力 P × tanθ1 の差です。これが式2.5-4 です(設計指針 図2.5-4)。tanθ は力率 cosθ から tanθ = √(1 ÷ cos²θ − 1) で求めます。
例(負荷入力 150 kW・0.85 → 0.95)
設計指針の例は、表2.5-3 の α = 0.291 を使って 150 × 0.291 ≒ 44 kvar とし、所要進相コンデンサ定格設備容量として 50 kvar を選定しています。50 kvar を設置した改善後の力率は 0.961 です(「改善後の力率の計算」の話題)。
表2.5-3 の α(有効電力 1 kW 当たりの kvar)
α = tanθ0 − tanθ1 は、有効電力 1 kW 当たりに必要なコンデンサの kvar です。設計指針は、改善前の力率 0.50〜0.99 と改善後の力率 0.80〜1.00 の α を表2.5-3 に載せ、Qc = Pin × α(式2.5-5)とすれば「その都度計算を行うことなく」求められるとしています。次の表は、その一部の欄(改善前の力率 0.70〜0.90・改善後の力率 0.95・0.98・1.00)を同じ式で求めた値(小数4桁)です。
| 改善前 | 改善後 0.95 | 0.98 | 1.00 |
|---|---|---|---|
| 0.70 | 0.6915 | 0.8171 | 1.0202 |
| 0.75 | 0.5532 | 0.6789 | 0.8819 |
| 0.80 | 0.4213 | 0.5469 | 0.7500 |
| 0.85 | 0.2911 | 0.4167 | 0.6197 |
| 0.90 | 0.1556 | 0.2813 | 0.4843 |
表の数は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。
表2.5-3 は tanθ を小数3桁に丸めてから引いた値なので、式のままの α と小数3桁目が1つ違う欄があります。たとえば 0.86 → 0.95 は、表では 0.593 − 0.329 = 0.264、式のままでは 0.5934 − 0.3287 = 0.2647 です。このアプリは途中の数を丸めずに計算し、計算結果は有効数字3桁で表示します。
計算の画面での入力のしかた
有効電力(kW)、改善前の力率(%)、目標の力率(%)を入力します。力率は % で入力します(0.85 は 85)。直列リアクトルを挿入するときのコンデンサの定格容量は「詳しい設定」の直列リアクトル(なし・6 %・13 %)で選びます。計算結果の Qc は定格設備容量(直列リアクトルと組み合わせた設備として回路に供給する無効電力)です。