別表-1〜7の式と係数、P と T の単位、率の変わり方です。
直接工事費と工期から共通仮設費率と金額
共通仮設費率の式
公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)の別表-1〜6は、次の形の式です。
Kr は共通仮設費率(%)、P は直接工事費(千円)、T は工期(か月)です。Exp( ) は指数関数 e( ) を表し、e はネイピア数(自然対数の底)です(注2)。loge は自然対数です。別表-7(昇降機設備工事)だけは T の項が無く、Kr = Exp( a − b × loge P ) です。
| 別表 | 工事の種類 | a | b | c | P の範囲(千円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 別表-1 | 新営建築工事 | 3.346 | 0.282 | 0.625 | 10,000〜5,000,000 |
| 別表-2 | 改修建築工事 | 3.962 | 0.315 | 0.531 | 3,000〜1,000,000 |
| 別表-3 | 新営電気設備工事 | 3.086 | 0.283 | 0.673 | 10,000〜1,000,000 |
| 別表-4 | 改修電気設備工事 | 1.751 | 0.119 | 0.393 | 3,000〜1,000,000 |
| 別表-5 | 新営機械設備工事 | 2.173 | 0.178 | 0.481 | 10,000〜1,000,000 |
| 別表-6 | 改修機械設備工事 | 2.478 | 0.173 | 0.383 | 3,000〜1,000,000 |
| 別表-7 | 昇降機設備工事 | 4.577 | 0.323 | — | 5,000〜500,000 |
どの別表も、Kr は小数点以下第3位を四捨五入して2位止め(注4)にします。率は、施工場所が一般的な市街地の比率です(注1)。P が範囲を外れる場合は、共通仮設費を別途定めることができます(注3)。
P は千円、T はか月
式の P は千円の単位です。国土交通省の「共通費の算定方法及び算定例」は、直接工事費が 123,456,789 円なら P に 123,456.789 を代入するとしています。千円未満を切り捨てずに、小数のまま代入します。円のまま代入すると Kr はずっと小さくなります(エクセルの式のページのよくある間違い)。
T は工期をか月で表した値です。公共建築工事積算基準等資料は、開札予定日から工期末までの日数から 7 日を減じ、30 日/月で割り、小数点以下第2位を四捨五入して1位止めにした値を T にするとしています(工期 T の求め方のページ)。
直接工事費と工期で率はどう変わるか
どの式も b が正なので、直接工事費 P が大きいほど Kr は小さくなります。c も正なので、工期 T が長いほど Kr は大きくなります。新営建築工事(別表-1)で計算した例です(このページを作るときに、計算の画面と同じ式で計算した値・単位は%)。
| P(千円) | T 6 か月 | T 12 か月 | T 18 か月 |
|---|---|---|---|
| 30,000 | 4.75 | 7.33 | 9.44 |
| 100,000 | 3.38 | 5.22 | 6.73 |
| 300,000 | 2.48 | 3.83 | 4.93 |
| 1,000,000 | 1.77 | 2.73 | 3.51 |
新営建築工事では、P が 10 倍になると Kr は 10^0.282 ≒ 1.91 分の1 になり、T が 2 倍になると Kr は 2^0.625 ≒ 1.54 倍になります(2位止めにする前の値で)。直接工事費の大きい工事ほど、共通仮設費の割合は小さくなります。
工事の種類ごとの率の例
直接工事費 100,000 千円(1億円)・工期 10 か月で、7つの式を比べた例です(昇降機設備工事は工期を使いません)。
| 工事の種類 | Kr(%) | 率による算定(円) |
|---|---|---|
| 新営建築工事(別表-1) | 4.66 | 4,660,000 |
| 改修建築工事(別表-2) | 4.75 | 4,750,000 |
| 新営電気設備工事(別表-3) | 3.96 | 3,960,000 |
| 改修電気設備工事(別表-4) | 3.62 | 3,620,000 |
| 新営機械設備工事(別表-5) | 3.43 | 3,430,000 |
| 改修機械設備工事(別表-6) | 3.93 | 3,930,000 |
| 昇降機設備工事(別表-7) | 2.36 | 2,360,000 |
同じ直接工事費と工期でも、工事の種類で率は違います。工事種別と新営・改修を取り違えないようにしてください。
令和8年改定と式
公共建築工事共通費積算基準は、平成15年3月31日に制定され、最終改定は令和8年3月11日です。
令和8年改定の新旧表で改定されたのは、表-1〜表-3・表-5・表-6の内容(環境安全費に安全用品等(墜落制止用器具(フルハーネス型)を含む)を加えるなど)と、一般管理費等率(別表-15)です。共通仮設費率の別表-1〜7は新旧表に載っていないので、式は令和8年改定で変わっていません。
出典
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)」(最終改定 令和8年3月11日): 別表-1〜7(式・注1〜注4)
- 国土交通省「公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例」(2026年3月11日更新): (3) ※《1》P:直接工事費について
- 国土交通省「公共建築工事共通費積算基準の改定(新旧表)」(令和8年): 令和8年改定で改定された表と別表(共通仮設費率の別表-1〜7は載っていない)
直接工事費と工期から共通仮設費率と金額