EXP 関数と LN 関数で共通仮設費率を求める式と、よくある間違いです。
直接工事費と工期から共通仮設費率と金額
Excel の式(国土交通省の資料の例)
国土交通省の「「公共建築工事共通費積算基準」における共通費の算定について」は、共通仮設費率の式は指数関数 Exp と自然対数 loge を使うので、表計算ソフト(Excel)では EXP 関数と LN 関数で計算できるとして、7つの式を例示しています。
| 工事の種類 | Excel の式 |
|---|---|
| 新営建築工事 | Kr = EXP(3.346-0.282*LN(P)+0.625*LN(T)) |
| 改修建築工事 | Kr = EXP(3.962-0.315*LN(P)+0.531*LN(T)) |
| 新営電気設備工事 | Kr = EXP(3.086-0.283*LN(P)+0.673*LN(T)) |
| 改修電気設備工事 | Kr = EXP(1.751-0.119*LN(P)+0.393*LN(T)) |
| 新営機械設備工事 | Kr = EXP(2.173-0.178*LN(P)+0.481*LN(T)) |
| 改修機械設備工事 | Kr = EXP(2.478-0.173*LN(P)+0.383*LN(T)) |
| 昇降機設備工事 | Kr = EXP(4.577-0.323*LN(P)) |
P と T には、対象工事の直接工事費(千円)と工期(か月)を入れます。セルに入力するときは、頭に「=」を付けます。
セルに分けて計算する例
算定例[イ](新営建築工事・直接工事費 165,520,850 円・工期 10.3 か月)を、セルに分けて計算する例です。
| セル | 中身 | 入力・式 | 値 |
|---|---|---|---|
| A1 | 直接工事費(円) | 165520850 | 165,520,850 |
| A2 | P(千円) | =A1/1000 | 165,520.850 |
| A3 | T(か月) | 10.3 | 10.3 |
| A4 | Kr(%) | =ROUND(EXP(3.346-0.282*LN(A2)+0.625*LN(A3)),2) | 4.12 |
| A5 | 率による算定(円) | =ROUNDDOWN(A1*A4/100,0) | 6,819,459 |
ROUND 関数は四捨五入、ROUNDDOWN 関数は切り捨てです。Kr の2位止め(注4)は ROUND(…,2)、率による算定の金額の一円未満切捨ては ROUNDDOWN(…,0) に当たります。
監理事務所を設けない場合の補正値は、直接工事費が 1000万円以上50億円以下なら =ROUND(0.738+0.0162*LN(A2),3) で求め、金額は =ROUNDDOWN(A1*A4/100*A6,0) です(A6 が補正値のセル)。1000万円未満は 0.887、50億円を超えるときは 0.988 です。
よくある間違い
- LOG と LN を取り違える: Excel の LOG 関数は、底を省くと 10 を底とする常用対数です。式の loge は自然対数なので、LN 関数を使います。算定例[イ]で LOG を使うと Kr は 12.27 % 前後になり、正しい 4.12 %の約3倍です。
- P を円のまま入れる: P に 165,520,850 を入れると Kr は 0.59 %になり、正しい 4.12 %の約7分の1です(P が 1,000 倍だと Kr は 1,000^0.282 ≒ 7.0 分の1)。
- 処分費を含めた直接工事費で率を求める: 共通仮設費率を算定する場合の直接工事費には処分費を含めません(基準 2(1))。
- Kr を2位止めにせずに金額を求める: 国土交通省の算定例は、2位止めにした Kr を直接工事費に掛けています。
- 金額を四捨五入する: 率による算定の金額は一円未満切捨てです(公共建築工事積算基準等資料 第3編 第1章 1(1))。国土交通省の「工事費積算における数値の取扱い例」は、555,555.6(算定結果)を 555,555 にする例を示しています。
出典
- 国土交通省「「公共建築工事共通費積算基準」における共通費の算定について」(2026年3月11日更新): 共通仮設費率の算定式・表計算ソフト(Excel)を利用する場合
- 国土交通省「公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例」(2026年3月11日更新): (3) ※《1》・算定例[イ]
- 国土交通省「工事費積算における数値の取扱い例」: 第3編 第1章 1(1) 率による算定の金額は一円未満切捨て(例2: 555,555.6 → 555,555)
直接工事費と工期から共通仮設費率と金額