空気比を下げると、排ガス熱損失が減って燃料が減ります。
燃料を使用するボイラーや工業炉の損失熱のうち、燃焼排ガスに持ち去られる熱が大きな比重を占めます。バーナーに過剰な空気を送ることは、排ガスの損失熱を増やします(中小機構 J-Net21)。環境省の資料も、燃焼設備は空気比が大きくなると、燃焼に寄与しない空気の量が増え、この昇温に熱を奪われ排気量も増えるため、燃焼温度や燃焼効率の低下につながる、としています。
燃焼排ガス量と排ガス熱量の式
空気比が 1 を超えた分(m − 1)に理論空気量を掛けた量だけ、排ガス量が増えます。排ガスの温度が同じなら、排ガス量が多いほど、排ガスが持ち去る熱量も多くなります。
J-Net21 の計算例(A重油のボイラー)
換算蒸発量 3,000 kg/h のボイラーで、A重油(密度 0.86 kg/L)を年に 1,200 kL 使い、燃焼排ガス温度 200 ℃・外気温度 20 ℃ で、空気比を 1.6 から 1.3 に改善する例です。低発熱量 42.7 MJ/kg から Boie の式で求めた理論空気量 Ao は 11.28 m³N/kg、理論燃焼ガス量 Go は 12.15 m³N/kg です。
| 項目 | 空気比 1.6 (改善前) | 空気比 1.3 (改善後) |
|---|---|---|
| 燃焼排ガス量 G(m³N/kg) | 18.92 | 15.53 |
| 平均定圧比熱 Cp(kJ/(m³N·K)) | 1.371 | 1.384 |
| 排ガス熱量 Q(kJ/kg) | 4,669 | 3,869 |
G と Q は、上の式でこのページを作るときに計算した値です(Q は J-Net21 の計算と同じく、小数第2位までにした G から計算)。
燃料 1 kg あたりに有効に使われた熱量は、改善前 38.0 MJ、改善後 38.8 MJ になり、同じ熱量を得るための燃料は年に 1,175 kL に減ります。燃料の削減量は年に 25 kL、削減率は 2.1 % です(J-Net21 の計算例)。
ほかの資料の例
- 環境省の資料: 排ガス温度が 800 ℃ の燃焼設備で、空気比を 1.4 から 1.3 に 0.1 調整した場合、燃料消費量を約 5 % 削減できる(省エネルギーセンターのデータシートから作成)。
- 堺市の資料: 灯油ボイラー(排ガス温度 200 ℃)の空気比を 1.8 から 1.3 に調整すると、燃料使用量を 3 % 低減。都市ガスボイラー(排ガス温度 200 ℃)の空気比を 1.38 から 1.25 に調整すると、燃料使用量を 1 % 低減。
- J-Net21 の図(都市ガス 13A): 排ガス温度 300 ℃ で、空気比を 1.6 から 1.2 に改善したときの燃料節約率は 4.0 %。
どの例も、燃料と排ガス温度の条件を決めて求めた値です。J-Net21 の図は排ガス温度 150 ℃・200 ℃・300 ℃ ごとに線が分かれていて、同じ空気比の差でも、排ガス温度によって燃料の節約率が変わります。
空気比を調整するときの注意
堺市の資料は、燃料を完全燃焼させるためには必要量より若干過剰な空気量で燃焼させる必要があり、燃料消費を抑えるためには空気比を 1.0 以上に保った上で可能な限り小さくする必要がある、としています。空気比の調整はメンテナンス業者に依頼し、排ガス中の酸素濃度を測定して、空気比が 1.0 より高いことを確認すること、とも書いています。J-Net21 は、空気比を調整するのに大きな費用は必要とせず、その省エネ効果は確実に得られる、としています。