北側斜線の高さの限度を求める式と、計算の手順・早見表です。
真北方向の距離から高さの限度、高さから必要な距離
北側斜線の計算式
建築基準法 第56条第1項第3号は、北側斜線の高さの限度を「当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離に一・二五を乗じて得たものに、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物にあつては五メートルを、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては十メートルを加えたもの」と定めています。建築物の各部分の高さは、これ以下にしなければなりません。
高さの限度 = 10 m + 1.25 × 真北方向の水平距離(第一種・第二種中高層住居専用地域)
境界線の上では 5 m(中高層住居専用地域は 10 m)の高さから始まり、南へ 1 m 離れるごとに 1.25 m ずつ高くなる斜めの線になります。この線の傾きは、水平に対して約 51.3 度です。
計算の例
岐阜市の届出内容事前チェックシート(島A地区)の検討方法は、図面の寸法(mm)で次のように計算しています。
| 式(図面の mm) | 高さの限度 |
|---|---|
| 3,000 × 1.25 + 5,000 = 8,750 | 8.750 m |
| 4,500 × 1.25 + 5,000 = 10,625 | 10.625 m |
真北方向の水平距離は、それぞれ 3 m と 4.5 m です。3 m の例は隣地境界線から測った距離で、建築基準法の北側斜線と同じ測り方です。4.5 m の例は、この地区の地区計画の決まりで北側前面道路の中心線から測った距離です(建築基準法の北側斜線では、道路の反対側の境界線まで測ります)。どちらも、5 m を加えて 1.25 を乗じる式は同じです。
どちらも高さ 6,800 mm(6.8 m)の部分が高さの限度以下なので「ok」です。中高層住居専用地域なら 10 m を加え、真北方向に 4 m の位置で 10 + 1.25 × 4 = 15.000 m です。
高さの限度を超える例も見ておきます。低層住居専用地域で真北方向に 2 m の位置の高さの限度は 7.500 m なので、高さ 8 m の部分は 0.500 m 超えます。
早見表(高さの限度)
真北方向の水平距離ごとの高さの限度です(緩和なし)。「低層・田園住居」は第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域(5 m を加える)、「中高層」は第一種・第二種中高層住居専用地域(10 m を加える)です。
| 真北方向の距離 | 低層・田園住居 | 中高層 |
|---|---|---|
| 0 m | 5.000 m | 10.000 m |
| 1 m | 6.250 m | 11.250 m |
| 2 m | 7.500 m | 12.500 m |
| 3 m | 8.750 m | 13.750 m |
| 4 m | 10.000 m | 15.000 m |
| 5 m | 11.250 m | 16.250 m |
| 6 m | 12.500 m | 17.500 m |
| 8 m | 15.000 m | 20.000 m |
| 10 m | 17.500 m | 22.500 m |
表に無い距離も、計算の画面に入力すれば同じ式で計算します。低層住居専用地域と田園住居地域では、高さは 10 m か 12 m(都市計画で決める)を超えられません(建築基準法 第55条第1項)。北側斜線の高さの限度が 10 m を超えても、その高さまでは建てられません。
高さから必要な距離を求める(逆算)
建てたい高さが決まっていて、真北方向にどれだけ離せばよいかを知りたいときは、式を逆にします。
| 高さ | 低層・田園住居 | 中高層 |
|---|---|---|
| 6 m | 0.800 m | 0.000 m |
| 7 m | 1.600 m | 0.000 m |
| 8 m | 2.400 m | 0.000 m |
| 9 m | 3.200 m | 0.000 m |
| 10 m | 4.000 m | 0.000 m |
| 12 m | 5.600 m | 1.600 m |
| 15 m | — | 4.000 m |
| 20 m | — | 8.000 m |
表の数は、境界線から真北方向に必要な距離です。0.000 m は、境界線の上でも北側斜線の内側という意味です。低層住居専用地域と田園住居地域の 15 m・20 m は、絶対高さ(10 m か 12 m・建築基準法 第55条第1項)を超えるので「—」にしています。
たとえば低層住居専用地域で高さ 7.5 m の部分は、(7.5 − 5)÷ 1.25 = 2.000 m 以上、中高層住居専用地域で高さ 12 m の部分は 1.600 m 以上、境界線から真北方向に離します。高さが 5 m(中高層は 10 m)以下の部分は、境界線の上でも北側斜線の内側です。
電卓での計算
高さの限度は「距離 × 1.25 + 5」の順に押せば求められます(中高層は + 10)。必要な距離は「(高さ − 5)÷ 1.25」です。÷ 1.25 は × 0.8 と同じなので、(7.5 − 5)× 0.8 = 2 と計算することもできます。図面の寸法が mm のときは、そのまま mm で計算して、5 m を 5,000 mm にします。
出典
真北方向の距離から高さの限度、高さから必要な距離