必要換気量の計算で迷いやすい所と、計算に含まない事です。
1人当たり 30 m³/h との関係は
厚生労働省のリーフレットは、ビル管理法の空気環境の調整に関する基準に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時 30 m³)を満たすことになるとしています。同じ省の資料(令和2年11月)は、人体から発生する二酸化炭素に基づき計算すると、室内の二酸化炭素濃度を 1,000 ppm に維持することは、1人あたりの換気量として毎時約 30 m³ を確保することに相当するとしています(空気調和・衛生工学会(1972))。
この計算の 1人当たりの必要換気量は、呼出量と外気の濃度で変わります。基準 1,000 ppm・外気 400 ppm では、高校生・大人(0.022)で 36.7 m³/h・人、呼出量 0.018 で 30.0 m³/h・人 です。
24時間換気(シックハウス対策)の換気量とは違いますか
違います。シックハウス対策の機械換気設備は、居室の容積と換気回数から設備容量を決めます(文部科学省の報告書は、学校の教室等の居室は換気回数 0.3 回/h 以上としています)。この計算は、在室人数と CO2 濃度から、人が呼気で出す CO2 に対して室内を基準の濃度に保つ換気量を求めます。報告書の教室の計算例では、こちらの方がずっと大きくなります(「換気回数の計算」の説明)。
全熱交換器を使うときの送風量は
文部科学省の報告書は、全熱交換器は構造上、排気と外気の混合(ショートサーキット)が避けられないため、ショートサーキット効果を見越した必要換気量を確保するため、必要換気量を有効換気量率で割った値を送風量とする必要があるとしています(有効換気量率 = 有効換気量 ÷ 給気風量)。有効換気量率は JIS B 8628「全熱交換器」で定められた方法に基づくデータを採用してよいとしています。
例えば、必要換気量 420.0 m³/h で有効換気量率が 0.9 なら、送風量は 420.0 ÷ 0.9 = 466.7 m³/h です(0.9 は説明のための値です)。
CO2 濃度はどこで測りますか
厚生労働省の資料は、ビル管理法で定める二酸化炭素濃度の測定として行う場合は、部屋の中央部の床上 75 cm 以上 150 cm 以下の位置で測定を行う必要があるとしています。また、二酸化炭素濃度の測定は、多人数が利用する空間の不十分な換気を明らかにするための効果的な方法としています。学校環境衛生基準の二酸化炭素は、検知管法で測定します。
% で書かれた問題はどう入力しますか
% の値を 10,000 倍して ppm で入力します。0.1 % は 1,000 ppm、0.04 % は 400 ppm です。基準の濃度は「詳しい設定」の 1,000 ppm(0.1 %)と 1,500 ppm(0.15 %)から選び、ほかの値は「数値を入力」に ppm で入力します。
呼出量 M の値はどれを使いますか
文部科学省の報告書の表2-1 の値(幼稚園・小学生(低学年) 0.011・小学生(高学年)・中学生 0.016・高校生・大人 0.022 m³/h)を区分で選びます。ほかの資料の値を使うときは「その他(呼出量を入力)」で入力します。呼出量が大きいほど、必要換気量は大きくなります。
計算結果の扱い
- この計算は、室内で発生する CO2 が室内に一様に拡散することを前提にした必要換気量です。換気設備の能力(ダクトの圧力損失など)の確かめは含みません。
- 建築基準法の換気の基準(シックハウス対策など)は別に確かめます。換気設備の計画は、設計者が確かめてください。
出典
- 厚生労働省「「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」(必要換気量 一人あたり毎時30m3・ビル管理法の空気環境の基準)
- 厚生労働省「冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について」(令和2年11月27日・二酸化炭素濃度と換気量・外気の二酸化炭素濃度)
- 文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」第1章(4)1)建築基準法への対応(機械換気設備の設備容量・全熱交換器の有効換気量率)
- 文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」第2章 換気設備計画の立案(1)1)必要換気量の算定(式・表2-1 1人当たりのCO2呼出量・小学校低学年教室での計算例)
- 文部科学省告示第60号「学校環境衛生基準」(換気の基準として、二酸化炭素は、1500ppm 以下であることが望ましい)