1人当たりの必要換気量は、呼出量を基準の濃度と外気の濃度の差で割って求めます。
必要換気量の式
文部科学省の「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」は、学校環境衛生の基準の二酸化炭素濃度の判定基準(1,500ppm)に基づいた必要換気量を、次の式で算出できるとしています。
報告書の式の人数の字は「教室の収容人数」です。この計算では、部屋に同時にいる人数(在室人数)を区分ごとに入力します。基準の濃度は、学校の 1,500 ppm のほかに、建築物環境衛生管理基準の 1,000 ppm も選べます。
式の意味
1人が呼気で1時間に室内に出す CO2 の量が M(m³)です。1人当たりに外気を1時間に Q(m³)取り入れ、同じ量の室内の空気を排気すると、流入する CO2 は Q × C0、流出する CO2 は Q × Ct です(C0 と Ct は割合)。流出量と流入量の差 Q ×(Ct − C0)が M と等しいとき、室内の濃度は Ct に保たれます。これを Q について解くと Q = M ÷(Ct − C0)で、Ct と C0 を % で書くと 100 を掛けた形になります。
この式は、室内で発生する CO2 が室内に一様に拡散することを前提にしています。報告書 第2章(1)2)は「必要換気量の算出は、室内で発生する汚染物質が室内で一様に拡散する事を前提に算出されています」とし、給気口・排気口の位置や汚染物質の発生する位置によっては、室内の場所によって濃度に濃淡が生じるとしています。
ppm と % の換算
1 % = 10,000 ppm・1,000 ppm = 0.1 %です。1,500 ppm = 0.15 %、400 ppm = 0.04 % です。報告書の記号の説明では外気の濃度の単位が ppm と書いてありますが、計算例は 0.15 と 0.04(%)で計算しています。この計算は ppm で入力し、% に直して式に代入します。
ppm のまま計算するときは、100 の代わりに 1,000,000 を掛けます。
例: 高校生・大人(M = 0.022)・基準 1,000 ppm・外気 400 ppm なら、0.022 × 1,000,000 ÷(1,000 − 400)= 36.7 m³/h・人 です。% で計算しても(0.022 × 100)÷(0.1 − 0.04)で同じ値です。
報告書の計算例
- 児童(M = 0.011): (0.011 × 100)÷(0.15 − 0.04)= 10.0 m³/h・人
- 教師(M = 0.022): (0.022 × 100)÷(0.15 − 0.04)= 20.0 m³/h・人
- 必要換気量 = 40 × 10.0 + 1 × 20.0 = 420.0 m³/h
報告書の値(児童 10・教師 20・必要換気量 420 m³/h)と同じです。
間違えやすい所
- ppm と % を混ぜない: Ct を 1,000(ppm)、C0 を 0.04(%)のように単位の違う値で引くと、意味の無い数になります。どちらも ppm か、どちらも % にそろえます。
- 外気の濃度を 0 にしない: 外気にも CO2 があります。C0 を 0 とすると、高校生・大人・基準 1,000 ppm の 1人当たりは 22.0 m³/h・人 になり、外気 400 ppm のときの 36.7 m³/h・人 より小さくなります。
- 呼出量の単位: M は m³/h です。L/h で書かれた値は 1,000 で割ります。
- 区分を1つにまとめない: 児童と教師のように呼出量の違う人がいるときは、区分ごとに 人数 × 1人当たりの必要換気量 を計算して合計します。