室内の CO2 濃度の基準と外気の CO2 濃度は、必要換気量を大きく左右します。
建築物環境衛生管理基準: 1,000 ppm 以下
建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)の建築物環境衛生管理基準は、空気環境の基準として、二酸化炭素を 1,000 ppm 以下(0.1 % 以下)としています(名古屋市「空気環境の管理」の表)。厚生労働省のリーフレットの字では「二酸化炭素の含有率 100万分の1000以下(=1000 ppm以下)」です。
令和4年4月1日施行の施行令と施行規則の改正で見直されたのは一酸化炭素(10 ppm 以下 → 6 ppm 以下)と温度(17℃以上28℃以下 → 18℃以上28℃以下)で、二酸化炭素は 1,000 ppm 以下のままです(名古屋市の資料の改正内容)。
空気環境の管理項目の測定は、2か月以内ごとに1回、定期に行います(名古屋市の資料)。文部科学省の報告書の表1-7 では、二酸化炭素は、1日2回または3回の測定値を平均した値で適否を判断する項目です。
この法律の特定建築物は、興行場・百貨店・集会場・遊技場・店舗などの用途に供される延べ床面積 3,000 m² 以上の建築物で、多数の者が使用・利用するものです(厚生労働省のリーフレット)。学校は延べ面積が 8,000 m² 以上のとき、この法律に基づいた対応が必要です(文部科学省の報告書 第1章(4)3))。
学校環境衛生基準: 1,500 ppm 以下が望ましい
学校環境衛生基準(文部科学省告示第60号)は、教室等の環境の換気の基準として「二酸化炭素は、1500ppm 以下であることが望ましい」としています。二酸化炭素は検知管法で測定します。文部科学省の報告書の必要換気量の式も、この 1,500 ppm(0.15 %)を Ct にしています。
外気の CO2 濃度
報告書の計算例は、外気の CO2 濃度を 0.04 %(400 ppm)としています。気象庁の観測では、綾里の年平均は 2023年 425.0 ppm、2024年 427.9 ppm、2025年 430.3 ppm(速報値)です。
厚生労働省の資料(令和2年11月)は、外気の二酸化炭素濃度は地域・季節・時間によって異なるとし、気象庁の国内3地点の 2019年平均(412〜415 ppm 程度)と比べて首都圏と名古屋は 20〜30 ppm 程度高いことから、都市部の外気を 435〜445 ppm 程度と推定しています。測った値があるときは、その値を入力します。
外気の濃度が高いほど、基準の濃度との差(Ct − C0)が小さくなり、1人当たりの必要換気量は大きくなります。次の表は、高校生・大人(M = 0.022)の 1人当たりの必要換気量(m³/h・人)で、左の列が外気の CO2 濃度、右の2列の見出しが室内の CO2 濃度の基準です。
| 外気 | 1,000 ppm | 1,500 ppm |
|---|---|---|
| 400 ppm | 36.7 | 20.0 |
| 427.9 ppm | 38.5 | 20.5 |
| 445 ppm | 39.6 | 20.9 |
- 400 ppm: 文部科学省の報告書の計算例(0.04 %)
- 427.9 ppm: 気象庁の観測(綾里)の 2024年の年平均
- 445 ppm: 厚生労働省の資料の都市部の推定(435〜445 ppm 程度)の上の値
基準 1,000 ppm では、外気が 400 ppm から 445 ppm になると、1人当たりの必要換気量は約 8 % 大きくなります。
ほかの基準の濃度で計算する
「詳しい設定」の「数値を入力」を選ぶと、ほかの基準の濃度でも計算できます。基準の濃度が低いほど、必要換気量は大きくなります。高校生・大人・外気 400 ppm の 1人当たりの必要換気量は、基準 1,500 ppm で 20.0 m³/h・人、1,000 ppm で 36.7 m³/h・人、800 ppm で 55.0 m³/h・人 です。
出典
- 名古屋市「空気環境の管理」(建築物環境衛生管理基準・二酸化炭素 1,000ppm 以下・令和4年4月1日施行の改正)
- 厚生労働省「「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」(必要換気量 一人あたり毎時30m3・ビル管理法の空気環境の基準)
- 文部科学省告示第60号「学校環境衛生基準」(換気の基準として、二酸化炭素は、1500ppm 以下であることが望ましい)
- 文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」第1章(4)3)建築物における衛生的環境の確保に関する法律への対応(表1-7 空気環境の管理基準)
- 文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」第2章 換気設備計画の立案(1)1)必要換気量の算定(式・表2-1 1人当たりのCO2呼出量・小学校低学年教室での計算例)
- 気象庁「大気中二酸化炭素濃度の観測結果」(年平均値・綾里・南鳥島)
- 厚生労働省「冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について」(令和2年11月27日・二酸化炭素濃度と換気量・外気の二酸化炭素濃度)