全損失と運転時間から、年間の損失電力量と電気代・CO₂排出量を求めます。
変圧器の損失電力量は、全損失に運転時間を掛けて求めます。W に h を掛けると Wh なので、1000 で割って kWh にします。
計算式
1日24時間・365日電圧を加えている変圧器の年間の運転時間は 24 × 365 = 8,760 h です。無負荷損は負荷の無い時間にも生じるので、夜間や休日も含めます。
環境省の試算の例
環境省の温室効果ガス排出削減等指針「変圧器設備容量の適正化」は、500 kVA の高効率変圧器(負荷率 50 %)を 1,000 kVA の高効率変圧器に更新して、負荷率 25 % で運用する場合を試算しています。電力消費量(全損失の年間累積値)⑧の式は(④ + ⑤ ×(⑥ ÷ 100)²)× ⑦ ÷ 1,000,000(千kWh)です。
| 項目 | 更新前 | 更新後 |
|---|---|---|
| 容量 | 500 kVA | 1,000 kVA |
| 無負荷損(④) | 210 W | 320 W |
| 定格負荷時負荷損(⑤) | 3,980 W | 4,690 W |
| 負荷率(⑥) | 50 % | 25 % |
| 年間運転時間(⑦) | 8,760 h | 8,760 h |
| 全損失 | 1,205 W | 613.13 W |
| 年間の損失電力量 | 10,555.8 kWh | 5,371.0 kWh |
| 千kWh にすると(⑧) | 10.56 千kWh | 5.37 千kWh |
表の計算の列は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。
指針の表の電力消費量は 10.56 千kWh/年と 5.37 千kWh/年で、上の値と同じです。指針はこれに、電気の単価 22.76 円/kWh を掛けたエネルギーコスト(240 千円/年・122 千円/年)と、電気の CO₂ 排出係数 0.434 t-CO₂/千kWh を掛けた CO₂ 排出量(4.58 t-CO₂/年・2.33 t-CO₂/年)も求め、各指標で 49 % の削減としています(上の損失電力量で計算すると 49.1 % の削減)。
三菱電機のカタログの例
カタログの省エネ計算例は、約30年前の変圧器(4665 W)を EX-α シリーズ(1833 W)に更新したときの年間電力削減量を(4665 W − 1833 W)× 24 × 365 ÷ 1000 = 24808 kWh、年間電力量料金削減量を 24808 kWh × 16 円/kWh = 39.7 万円、年間 CO₂ 排出削減量を 24808 kWh × 0.512 kg/kWh = 12.7 t としています。試算の条件は、単位電力量料金 16 円/kWh と、排出係数 0.512 kg-CO₂/kWh(平成29年経済産業省・環境省告示第12号)です。
計算の画面で1台ずつ求めると(「計算の内訳」の小数1桁)、約30年前の変圧器は 40,865.4 kWh、EX-α シリーズは 16,052.7 kWhで、差は 24,812.7 kWhです。カタログの 24808 kWh との違いは、カタログが全損失を W の整数(1832.5 W を 1833 W)にしてから引いているためです。
電気代と CO₂ 排出量
電気代は損失電力量に電気の単価を、CO₂ 排出量は排出係数を掛けて求めます。上の2つの例でも、単価と排出係数は違います(環境省の試算は 22.76 円/kWh・0.434 t-CO₂/千kWh、カタログの試算は 16 円/kWh・0.512 kg-CO₂/kWh)。事業所の契約の単価と、報告に使う排出係数で計算します。