説明

変圧器の効率の計算式(負荷率と力率で変わる効率)

変圧器の効率を、出力と全損失から求める式と例です。

変圧器の効率は、出力と全損失から求めます。出力は、定格容量に負荷率と力率を掛けた値です。全損失は無負荷損と負荷損の合計で、負荷率で変わります(変圧器の損失の計算式の話題)。

計算式

出力(kW)  = 定格容量(kVA)× 負荷率 ÷ 100 × 力率 ÷ 100 効率(%)  = 出力 ÷(出力 + 全損失)× 100 全損失は kW に直して使います(W ÷ 1000)

カタログの効率は力率1・定格容量の値

三菱電機の配電用油入変圧器の総合カタログは、特性[保証値]の表の注に「効率(%)、電圧変動率(%)は、力率cosφ=1の定格容量における値を示します」と書いています。負荷率 100 %・力率 100 % の効率です。

三菱電機の技術資料「トップランナー油入変圧器 Rシリーズ特性一覧表」は、同じ表に効率・無負荷損・負荷損の代表値を並べています。無負荷損と負荷損から上の式で求めた効率(小数2桁)は、表の効率の列と同じ値です。次は5行の例で、表の46行(単相と三相・50 Hz と 60 Hz)のすべてで同じでした。

変圧器式で求めた値表の効率
単相 10 kVA 50 Hz
無負荷損 32 W・負荷損 165 W
98.07 %98.07 %
単相 500 kVA 60 Hz
無負荷損 335 W・負荷損 3,950 W
99.15 %99.15 %
三相 100 kVA 50 Hz
無負荷損 180 W・負荷損 1,380 W
98.46 %98.46 %
三相 1000 kVA 50 Hz
無負荷損 1,410 W・負荷損 5,740 W
99.29 %99.29 %
三相 2000 kVA 60 Hz
無負荷損 1,710 W・負荷損 11,690 W
99.33 %99.33 %

表の計算の列は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。

カタログの特性[保証値]の効率は、適用規格に従った裕度を見込んだ値です(同じ表の注1)。代表値の損失から計算した効率とは同じ値になりません。

負荷率で変わる効率

同じ変圧器でも、効率は負荷率で変わります。負荷が軽いと出力に比べて無負荷損の割合が大きくなり、効率が下がります。カタログの計算例の2台(三相 1000 kVA・力率 100 %)で比べます。

負荷率約30年前の変圧器EX-α シリーズ
10 %98.05 %99.55 %
25 %98.98 %99.70 %
50 %99.08 %99.63 %
75 %98.93 %99.52 %
100 %98.71 %99.39 %

表の計算の列は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。

力率で変わる効率

同じ負荷率なら流れる電流は同じなので、全損失も同じです。力率が低いと出力(kW)が小さくなるので、効率は下がります。第三種電気主任技術者試験の令和7年度上期の機械(問9)は、負荷力率 100 % における全負荷効率が 98 % の変圧器の、負荷力率 80 % における全負荷効率を問うています。

全損失(定格容量 100 kVA として)  100 ×(1 ÷ 0.98 − 1)≒ 2.04 kW 力率 80 % の全負荷効率  80 ÷(80 + 2.04)× 100 ≒ 97.51 %

正答は 97.5 % です。全損失は定格容量に比例するので、定格容量をいくつにしても効率は同じ値になります。

規約効率と基準温度

第三種電気主任技術者試験の令和5年度下期の機械(問9)は「変圧器の規約効率を計算する場合,巻線の抵抗値を 75℃の基準温度の値に補正する。」として、20 ℃ で 1.0 Ω の銅の巻線の 75 ℃ における抵抗値を問うています。抵抗値の比は(235 + T):(235 + t)なので、1.0 ×(235 + 75)÷(235 + 20)≒ 1.22 Ω で、正答と同じです。負荷損の主なものは巻線の抵抗で生じる銅損なので、負荷損の値は巻線の温度で変わります。

出典

変圧器の損失を計算する