説明

変圧器の更新と容量の適正化の省エネ計算

変圧器の更新や容量の見直しで、損失がどれだけ減るかを比べます。

変圧器の損失を減らす方法には、損失の小さい変圧器への更新と、負荷に見合った容量への見直し(容量の適正化)があります。どちらも、更新の前と後の全損失を同じ式で求めて比べます。

同じ容量で更新する

容量が同じなら負荷率も同じです。三菱電機のカタログの省エネ計算例(三相 1000 kVA 60 Hz・負荷率 50 %)の3台を、1年間(8,760 h)運転したとして比べます。

変圧器全損失年間の損失電力量
約30年前の変圧器
無負荷損 1,880 W・負荷損 11,140 W
4,665 W40,865 kWh
EX-α シリーズ
無負荷損 390 W・負荷損 5,770 W
1,833 W16,053 kWh
EX-β シリーズ
無負荷損 845 W・負荷損 5,670 W
2,263 W19,820 kWh

表の計算の列は、計算の画面と同じ計算でこのページを作るときに求めた値です。

EX-α シリーズは無負荷損が約30年前の変圧器の約5分の1で、負荷損も約半分です。どちらも小さくなるので、負荷率が低い変圧器でも高い変圧器でも全損失が減ります。

容量を見直す(容量の適正化)

環境省の「変圧器設備容量の適正化」は「負荷電力が同じ場合、変圧器の容量によって負荷率が違うので、全損失は異なる。」としています。負荷の皮相電力(kVA)が同じなら、負荷率は容量に反比例します。500 kVA で負荷率 50 %(250 kVA の負荷)は、1,000 kVA では負荷率 25 % です。

指針の試算では、更新前の全損失 1,205 W(500 kVA・負荷率 50 %)に対して、更新後は 613 W(1,000 kVA・負荷率 25 %)です。一方で指針は、500 kVA と 1,000 kVA の全損失が同じになる所(グラフの赤破線)が、高効率(効率約99 %)では 500 kVA の負荷率 25 % 程度、通常(効率約97 %)では 60 % 程度にあるとし、「設備容量を小さくした方が省エネとなることもある。」と書いています。負荷の状況と変圧器の損失を確かめて、両方を同じ式で求めて比べます。

トップランナー変圧器への更新(試験の例)

第三種電気主任技術者試験の令和4年度下期の法規(問12)は、定格容量 500 kV·A・無負荷損 500 W・負荷損(定格電流通電時) 6,700 W の変圧器を、無負荷損 150 W・省エネ基準達成率 140 % のトップランナー変圧器に更新する問題です。省エネ基準達成率は 基準エネルギー消費効率 ÷(Wi + WC40)× 100(WC40 は負荷率 40 % 時の負荷損)、基準エネルギー消費効率は 1,250 W です。

(a) 更新後の負荷損(定格電流通電時)  Wi + WC40 = 1,250 ÷ 1.4 ≒ 892.9 W  WC40 ≒ 742.9 W  負荷損 = WC40 ÷ 0.4² ≒ 4,642.9 W(正答 4,640 W) (b) 300 kW・遅れ力率 0.8 の負荷  負荷率 = 300 ÷ 0.8 ÷ 500 × 100 = 75 %  更新前 W1 = 500 +(75 ÷ 100)² × 6,700 = 4,268.75 W  更新後 W2 = 150 +(75 ÷ 100)² × 4,642.9 ≒ 2,761.6 W  W2 ÷ W1 ≒ 64.7 %(正答 65 %)

令和8年度上期の法規(問11)は同じ形で、基準エネルギー消費効率が 1,080 W です。更新後の負荷損は(1,080 ÷ 1.4 − 150)÷ 0.4² ≒ 3,883.9 W(正答 3,880 W)、同じ負荷での比率は 54.7 %(正答 55 %)です。

計算の画面で 無負荷損 500、定格負荷時の負荷損 6700、負荷率 75 を入力すると、更新前の全損失 4,269 Wを表示します。定格容量 500 も入力すると、「計算の内訳」に基準負荷率 40 % の全損失(エネルギー消費効率と同じ求め方)も表示します。

出典

変圧器の損失を計算する