説明

配管の放熱量の計算式

保温した配管の放散熱量は、保温材と表面の熱抵抗の合計で温度差を割って求めます。

放散熱量の式

q = π(θo − θr) / {1/(α·d1) + ln(d1/d0)/(2λ)} q = (θo − θr) / (R1 + R2) R1 = ln(d1/d0)/(2πλ) R2 = 1/(α·π·d1)

1つ目はマグ・イゾベールの技術資料の (6) 式、2つ目は JFEロックファイバーの技術資料(JIS A 9501:2019 に準拠)の形です。2つ目の分子と分母に π を掛けると、1つ目と同じ式になります。エイ・ケー・ケーの熱設計要領の (2) 式も同じ形です。

JFEロックファイバーの資料の記号では、θo が θsi(保温材の内面温度)、θr が θa(周囲温度)、d0 が Di、d1 が De、α が hse です。

熱抵抗で考える

熱の伝わりにくさを熱抵抗と呼びます。保温材の熱抵抗 R1 は厚いほど、熱伝導率が小さいほど大きくなり、保温の外面から空気への熱抵抗 R2 は、保温の外径が太いほど、表面熱伝達率が大きいほど小さくなります。管 1 m 当たりの放散熱量は、温度差を R1 と R2 の合計で割った値です。

TLV の「伝熱 後編(円筒の場合)」は、蒸気から管の内面への熱伝達の抵抗も加えた R=R1+R2+R3 の形で説明しています。このアプリは、出典のメーカーの技術資料と同じく、保温材と表面の2つの熱抵抗で計算します(管の外面の温度=内部流体温度)。

熱抵抗の合計の逆数が熱通過率 U(W/(m·K))で、q = U ×(θo − θr)とも書けます。

計算の例1(100A・保温 40 mm)

出典 A の計算例 Q4 の条件です。熱伝導率は平均温度(100+20)÷2=60 ℃ での値で、λ=0.031+0.000166×60=0.04096 W/(m·K) です。

d1 = 0.114 + 2 × 0.040 = 0.194 m R1 = ln(0.194 / 0.114) / (2π × 0.04096) = 2.066 m·K/W R2 = 1 / (12 × π × 0.194) = 0.1367 m·K/W q = (100 − 20) / 2.203 = 36.3 W/m θs = 36.3 / (π × 12 × 0.194) + 20 = 25.0 ℃

出典の計算結果は 36.3 W/m・25.0 ℃ です。出典は手計算のため λ を 0.041 に、π を 3.14 に丸めています。λ を 0.041 のまま入力すると、このアプリでは 36.4 W/m になります(π を丸めない分の違いです)。

計算の例2(80A・25 mm・表面熱伝達率 8)

エイ・ケー・ケーの熱設計要領の計算例です。80A(外径 0.0891 m)にグラスウール(λ=0.034 W/(m·K))25 mm を巻き、保持温度 10 ℃・最低気温 −20 ℃、ジャケットから外気への熱伝達率を 8 W/(m²·K) としています。

q = (10 − (−20)) / {ln(0.1391 / 0.0891) / (2π × 0.034) + 1 / (8 × π × 0.1391)} = 30 / (2.085 + 0.2860) = 12.7 W/m

出典の計算結果は 12.68 W/m です。出典は途中の数を 0.445/0.214=2.079 のように丸めて計算しているので、丸めずに計算した値(12.65 W/m)と小数2桁目が違います。

管の長さ分の放散熱量

Q = q × 管の長さ

TLV の資料の Q=J×(t1−t2)×Lp と同じで、1 m 当たりの放散熱量に管の長さを掛けます。計算の例1の管が 50 m なら 36.3 × 50 = 1,816 W です。

W は1秒当たりの熱量(J/s)なので、1時間続けば 1,816 Wh(約 1.82 kWh)の熱が逃げます。

出典

配管の放熱量を計算する