説明

限界揚水量の求め方(両対数グラフの変曲点)

段階揚水試験の両対数グラフで、点の並びが急になる折れ曲がりを読みます。

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段階揚水試験の揚水量と水位降下量から適正揚水量と比湧出量

限界揚水量は、段階揚水試験の結果から求めます。水道技術研究センターの解説は、各段階の揚水量(Q)と水位降下量(s)の関係を両対数グラフにプロットし、得られた段階揚水曲線(Q-s 曲線)により限界揚水量を求める、としています。環境省の温泉資源の保護に関するガイドラインも、各段階の揚湯量を横軸に、自然水位からの水位降下量を縦軸にとった両対数グラフ(揚湯量-水位降下量検討図)から限界揚湯量を見出し、安全率(80%程度)を乗じて適正揚湯量を求める、としています。

限界揚水量とは

求める手順

  1. 段階揚水試験で、段ごとに揚水量を一定にし、水位が安定した時の水位降下量(自然水位からの差)を記録する。
  2. 揚水量を横軸、水位降下量を縦軸にとった両対数グラフに、段ごとの点をプロットする。縦軸と横軸の目盛りは等倍にする(1桁の長さを同じにする)。
  3. 点を結んだ線が急になる折れ曲がり(変曲点)を見つけ、その点の揚水量を限界揚水量とする。
  4. 限界揚水量に安全率(80%程度)を掛けて、適正揚水量とする。

縦軸と横軸の目盛りを等倍にするのは、環境省のガイドラインに収録された神奈川県の揚湯試験実施要領の決まりです。等倍のグラフでは、傾き1の線が45°になり、点の並びが45°より急かどうかを目で比べられます。

変曲点の読み方(勾配変化点法)

環境省のガイドラインは、点を結んだ直線の折れ曲がり(変曲点)を限界揚湯量とする方法を勾配変化点法と呼び、揚湯量-水位降下量検討図の解釈を5つに分けて示しています。

  1. 最初は勾配45°で、勾配45°以上へ折れ曲がる場合: 変曲点を限界揚湯量とする。
  2. 最初から勾配45°以上の場合: 変曲点を限界揚湯量とする。1段目の揚湯量が多いときは、それより少ない揚湯量で変曲点がみられる可能性があるため、段階揚湯試験をやり直すことも考えられる。
  3. 変曲点が2つある場合: 勾配45°を超えた変曲点1を限界揚湯量とする。最初から勾配が45°を超えている場合は、最初の変曲点1を限界揚湯量とする。
  4. 勾配が緩くなる方向へ折れ曲がる場合: 目詰まりが解消された可能性があるため、段階揚湯試験をやり直すことが考えられる。変曲点を限界揚湯量と見なすことも考えられる。
  5. 変曲点がみられない場合: 段階揚湯試験の最大設定揚湯量を限界揚湯量と見なす。濁り・砂等の排出・ガス発泡が目立つ時は、その揚湯量を限界揚湯量とする。

同じガイドラインに収録された神奈川県の揚湯試験実施要領は、揚湯量と水位降下量の関係を示す線が、両対数グラフの対角線(傾き1の直線)よりも急になる最初の点の揚湯量を限界揚湯量とし、限界揚湯量が見出せない場合は、段階揚湯試験を実施した最大の揚湯量を限界揚湯量とみなす、としています。富山県の揚湯試験実施要領も、限界揚湯量は段階揚湯試験の最大揚湯量を超えないこと、としています。

傾きを計算して確かめる

両対数グラフの2点の間の傾きは、次の式で求めます。傾き1(45°)は、水位降下量が揚水量に比例する線です。

傾き =(log s₂ − log s₁)÷(log Q₂ − log Q₁)

環境省のガイドラインの一般的な事例(表1)で計算すると、30→60 L/分の区間は 1.00(45°)、60→90 L/分は 1.07(47°)、90→120 L/分は 1.73(60°) です。ガイドラインは3段階目の 90 L/分で変曲点が確認できるとして、ここを限界揚湯量と判断しています。60→90 L/分の区間の傾きも1をわずかに超えますが、折れ曲がりはその先の、傾きが 1.73 に急になる 90 L/分の点です。

10101001001,0001,000傾き1(45°)123456限界 90揚水量 Q(L/min)水位降下量 s(m)
表1 の両対数グラフ(3段目の 90 L/min が限界揚水量)

傾きの数だけで限界揚水量を決める決まりは、出典にはありません。このアプリは、区間ごとの傾きとグラフを並べて表示し、限界揚水量にする段は人が選びます。ガイドラインの図1〜5では、変曲点は2本の直線が交わる所に描かれていて、点と点の間にあることもあります。事例では、段の揚湯量(90 L/分・3.9 L/分・48 L/分)を限界揚湯量にしています。

出典

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段階揚水試験の揚水量と水位降下量から適正揚水量と比湧出量