比湧出量は、水位降下量 1 m あたりの揚水量です。
段階揚水試験の揚水量と水位降下量から適正揚水量と比湧出量
比湧出量(ひゆうしゅつりょう)は、井戸の揚水で生じた水位降下量 1 m あたりの揚水量です。大阪府の資料は、比湧出量(Sc)を「ある井戸における揚水で生じた単位水位降下量あたりの揚水量」とし、Sc = Q ÷ s で表しています。
単位
揚水量を L/min、水位降下量を m で入力すると、比湧出量の単位は L/min/m です。1 L/min は 1.44 m³/日なので、L/min/m に 1.44 を掛けると m³/日 ÷ m = m²/日 になります。大阪府の資料は、比湧出量の単位は一般に透水量係数と同じ単位(長さの2乗 ÷ 時間)で示されるが、井戸構造などが加わった指標で、厳密には透水量係数とは一致しない、としています。
計算例(環境省のガイドラインの表1)
| 段 | 揚水量(L/min) | 水位降下量(m) | 比湧出量(L/min/m) | 比湧出量(m²/日) |
|---|---|---|---|---|
| 1段目 | 30 | 18.9 | 1.59 | 2.29 |
| 2段目 | 60 | 37.7 | 1.59 | 2.29 |
| 3段目 | 90 | 58.2 | 1.55 | 2.23 |
| 4段目 | 120 | 95.6 | 1.26 | 1.81 |
| 5段目 | 150 | 141.1 | 1.06 | 1.53 |
| 6段目 | 180 | 188.7 | 0.954 | 1.37 |
1段目は 30 ÷ 18.9 = 1.59 L/min/m、m²/日 では 2.29 m²/日 です。
比湧出量と両対数グラフの傾き
比湧出量が段によって変わらないとき、水位降下量は揚水量に比例し、両対数グラフの点は傾き1(45°)の線と平行に並びます。比湧出量が段を追って下がるとき、点の並びは45°より急になります。表1 では、1〜3段目の比湧出量は 1.59・1.59・1.55 とほぼ同じで、4段目で 1.26 に下がります。ガイドラインが変曲点とした 90 L/分は、比湧出量が下がり始める手前の段です。
井戸損失と帯水層損失
大阪府の資料は、揚水井で水位を測ったときの総水位降下を Sw = BQ + CQ²(B: 帯水層損失係数・C: 井戸損失係数)で表しています。両辺を Q で割った Sw ÷ Q = B + CQ は比湧出量の逆数で、揚水量 Q と Sw ÷ Q のグラフの傾きから井戸損失係数 C を、切片から帯水層損失係数 B を求めることができます。また、井戸効率は帯水層損失係数 B と比湧出量 Sc の積で示されるとしています。このアプリは B・C・井戸効率は計算しません。
出典
段階揚水試験の揚水量と水位降下量から適正揚水量と比湧出量