説明

段階揚水試験の事例(環境省ガイドラインの3つの例)

環境省のガイドラインの3つの例を、傾きとグラフで読みます。

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段階揚水試験の揚水量と水位降下量から適正揚水量と比湧出量

環境省の温泉資源の保護に関するガイドラインの別紙14(揚湯試験事例)にある3つの段階揚湯試験の例です。表の揚湯量と水位降下量はガイドラインの値で、比湧出量と傾きはこのアプリで計算しました。

一般的な事例(表1・6段階)

30・60・90・120・150・180 L/分の6段階で水位を測った例です(自然水位 −50.2 m)。

段揚水量(L/min)水位降下量(m)比湧出量(L/min/m)次の点までの傾き
1段目3018.91.591.00(45°)
2段目6037.71.591.07(47°)
3段目9058.21.551.73(60°)
4段目12095.61.261.74(60°)
5段目150141.11.061.59(58°)
6段目180188.70.954
10101001001,0001,000傾き1(45°)123456限界 90揚水量 Q(L/min)水位降下量 s(m)
表1 の両対数グラフ

ガイドラインは、3段階目の 90 L/分で変曲点(両対数グラフ上で傾きが1より急となる変曲点でもある)が確認できるとして、90 L/分を限界揚湯量と判断し、その80%の 72 L/分を適正揚湯量としています。72 L/分で行った連続揚湯試験でも、ほぼ2日で安定水位が得られ、回復試験でもほぼ2日で試験前の静水位に戻っています。このアプリで3段目を選ぶと、適正揚水量は 72 L/min、日量は 103.68 m³/日 です。

湧出量が少ない事例(表4・3段階)

水位低下が非常に大きく、揚湯量を 4.8・3.9・2.9 L/分と段階的に減らしていく方法で試験した例です。回復試験の傾向から自然水位を 0 m とし、平均揚湯量と平均水位降下量の関係図を作っています。

段揚水量(L/min)水位降下量(m)比湧出量(L/min/m)次の点までの傾き
3段目2.9331.00.008760.28(16°)
2段目3.9360.10.01080.57(30°)
1段目4.8405.00.0119

ガイドラインは、3点を結ぶ線の 3.9 L/分に変曲点がみられるとして限界揚湯量と見なし、その80%の 3.1 L/分を適正揚湯量と判断しています。この例では、どちらの区間の傾きも1より緩く(0.28・0.57)、傾きが大きくなる方向への折れ曲がりで判断しています。このアプリで2段目(3.9 L/min)を選ぶと、3.12 を切り捨てて 3.1 L/min です。

エアリフトの事例(表7・6段階)

高温や口径が細いことで水中ポンプが設置できない源泉で、エア管の長さを替えて揚湯量を調整した例です。水位降下量は、エア管の圧力と揚湯量から式で推定した値です。

段揚水量(L/min)水位降下量(m)比湧出量(L/min/m)次の点までの傾き
1段目303.010.01.54(57°)
2段目486.27.744.17(77°)
3段目5712.74.49−0.22(−12°)
4段目6612.35.37—(揚水量が同じ)
5段目6622.22.975.55(80°)
6段目6826.22.60

ガイドラインは、水位降下量が計算による推定値であることに注意が必要としたうえで、2段階目の 48 L/分が限界揚湯量に相当し、その80%の 38 L/分を適正揚湯量と判断できるとしています。この例は1段目からの傾きが 1.54 と最初から45°より急で、48 L/分の先で 4.17 に急になります。4段目と5段目は揚湯量が同じ 66 L/分なので、その間の傾きは決まりません。このアプリで2段目を選ぶと、38.4 を切り捨てて 38 L/min です。

揚湯で水位が上昇する事例

ガイドラインには、各段階の揚湯開始直後に水位がいったん低下し、その後上昇に転じた例もあります。気泡の発生や他の帯水層からの流入、ポンプの問題などが推定され、通常の解析手法を適用するのが困難な場合があるとして、連続揚湯試験の結果や段階揚湯試験の最大揚湯量などから適正揚湯量を再検討することが考えられる、としています。

出典

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段階揚水試験の揚水量と水位降下量から適正揚水量と比湧出量