所要動力は、吐出圧力と吐出量の積を、60 と全効率で割った数です。
吐出圧力と吐出量・全効率から、所要動力(kW)と電動機の出力
所要動力の式
L = P × Q ÷ (60 × η)
ダイキンの油圧講座では「動力L(kW) = 圧力P(MPa) × 流量Q(L/min) ÷ (60 × 効率η)」、日進油圧工業の参考資料では「ポンプ所要動力 W = P・Q ÷ (60・η)」と書かれています。所要動力の記号が L と W で違うだけで、同じ式です。
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| L | 所要動力(ダイキンは必要動力・日進は所要動力 W) | kW |
| P | 吐出圧力(日進はポンプ吐出圧力) | MPa |
| Q | 吐出量(日進はポンプ吐出流量) | L/min |
| η | ポンプの全効率(80 % は 0.8) | ― |
60 で割る理由
ダイキンの油圧講座の「油圧でよく使用される単位」では、1 MPa = 1,000,000 Pa、1 L = 1,000 cm³、1 kW = 1,000 W です。1 L は 0.001 m³ なので、圧力 1 MPa で1分間(60 s)に 1 L の油を流す動力は 1,000,000 Pa × 0.001 m³ ÷ 60 s = 1,000 ÷ 60 W、つまり 1/60 kW です。MPa と L/min の積を 60 で割ると kW になるのはこのためです。
計算例(ダイキンの油圧講座)
油圧回路の設定圧力 5 MPa、ポンプの吐出量 30 L/min、効率 80 % の必要動力は次のとおりです。
L = 5 × 30 ÷ (60 × 0.8) = 3.125 ≒ 3.2 kW
ダイキンの油圧講座は「必要動力を求めているので切り上げています」としていて、このアプリも所要動力を切り上げて表示します。電動機は、これより大きく、いちばん近い 3.7 kW を選びます(「油圧ユニットの電動機の選定」の話題)。
全効率で変わる所要動力
同じ 5 MPa・30 L/min でも、全効率が低いほど所要動力は大きくなります。所要動力は全効率に反比例します。このページを作るときに、計算の画面と同じ式で求めた数です(所要動力は切り上げた値)。
| 全効率 η | 所要動力(kW) | 電動機(kW) |
|---|---|---|
| 60 % | 4.2 | 5.5 |
| 70 % | 3.6 | 3.7 |
| 80 %(計算例) | 3.2 | 3.7 |
| 90 % | 2.8 | 3.7 |
| 100 %(有効動力) | 2.5 | 3.7 |
ダイキンの油圧講座は、効率を「入力電力に対する出力動力との比率(動力伝達上のロスを差し引いた有効動力の比率)」と説明しています。日進油圧工業の参考資料では、η は「ポンプ全効率」です。値はポンプのカタログで確認します。
有効動力と動力損失・発熱量
式の η を 1 にした P × Q ÷ 60 は、効率を含めない動力で、ダイキンの効率の説明にある「有効動力」に当たります。5 MPa・30 L/min なら 2.5 kW です。
所要動力との差が動力損失で、L × (1 − η) です。日進油圧工業の参考資料は、動力損失による発熱量を H = 3600・L・(1 − η)(kJ/h・L はポンプ軸入力 kW)としています。ダイキンの計算例の数なら 3.125 kW × (1 − 0.8) = 0.625 kW、発熱量は 2,250 kJ/h です。同じ参考資料には、タンク放熱量 H = K・A・(t2 − t1)(kJ/h)の式も載っています。
出典
- ダイキン工業 油機事業部「よくわかる油圧講座 12 油圧使用単位と計算例」: 1. 油圧でよく使用される単位・5-1 圧力と流量から必要動力を計算
- 日進油圧工業「参考資料(油圧基本計算式)」(PDF): ポンプ所要動力・動力損失による発熱量・タンク放熱量の式
吐出圧力と吐出量・全効率から、所要動力(kW)と電動機の出力