透水係数を求める揚水試験の段階と、観測井の水位の測り方です。
揚水量と観測井2本の水位から透水係数と透水量係数
大阪府の資料は、揚水試験を、地下水の定量化に必要な透水量係数・貯留係数などの帯水層係数を、井戸からの揚水の揚水量・揚水時間・地下水位降下量などの関係から導くための試験としています。同じ資料の、揚水試験の実施段階と、それぞれで分かることは次のとおりです。
揚水試験の段階
- 予備揚水試験: ポンプの能力と、おおよその水位降下量を確かめます。
- 段階揚水試験: 揚水量を段階的に増やし、揚水量と水位降下量の関係、井戸損失・帯水層損失・井戸効率を把握して、連続揚水試験の揚水量を決めます(大阪府の温泉部会の協議事項は、1段階当たり2時間以上・5段階以上)。
- 連続揚水試験: 一定の揚水量で揚水を続け、透水量係数・貯留係数と、帯水層の種類(漏水があるか)を把握します(同じく計画揚水量以上で48時間以上)。
- 回復試験: 揚水を止めてから、水位が安定するまでの回復を測り、透水量係数を把握します。
ティームの平衡式に使うのは、連続揚水試験で水位が安定したときの揚水量と、観測井の水位です。吹田市の資料も「連続揚水試験時の安定水位」で透水係数を算定しています。
観測井
大阪府の資料は、本来の揚水試験は、揚水井と離れた所に設置した観測井の複数の孔で行うべきもので、深井戸では費用と時間の制限から、揚水と観測を1本の孔(単孔)で行う場合がほとんどだが、そのときは井戸の構造による井戸損失の影響で、透水量係数は小さめに、貯留係数は大きめに算出される、としています。
揚水井の水位降下量 Sw は、帯水層損失 BQ と井戸損失 CQ² の和です(Sw = BQ + CQ²・Jacob 1947・大阪府の資料)。揚水井から離れた観測井の水位降下は帯水層損失を直接示すが、揚水井を観測に使うと井戸損失が加わります。ティームの平衡式に観測井2本の水位を使うのは、このためです。
地盤工学会の資料3-01 の式は、揚水井が帯水層を完全に貫いていることを前提にしています。観測井も同じ帯水層にストレーナを設けた井戸を使い、2本の間で帯水層が続いていることを地質の断面図で確かめます(吹田市の資料は、地層の連続性が不確定な組み合わせを除外しています)。
水位と揚水量の測り方
大阪府の資料は、水位の観測には水面接触式水位計を使い、流量の観測は三角流量堰が基本で、流動抵抗を生じにくい電磁式流量計などでもよい、としています。水位を測る時間の間隔は、揚水を始めた直後や止めた直後ほど短く(はじめの数分は1分ごと)、時間がたつにつれて長くします(同じ資料に JICA の目安の表があります)。
連続揚水試験の記録から計算するまで
- 揚水を始める前の、各観測井の水位を記録します。
- 一定の揚水量で揚水を続け、各観測井の水位が安定したら、その水位と揚水量を記録します。
- 被圧なら、揚水前の水位から安定した水位を引いて水位低下量 s を求めます。不圧なら、帯水層の底からの水位高さ h を求めます。
- 揚水井からの距離 r とともに、観測井2本ずつ計算の画面に入力します。観測井が3本以上なら、組み合わせごとに計算して値の幅を見ます。
出典
揚水量と観測井2本の水位から透水係数と透水量係数