説明

揚水試験の透水係数の求め方(観測井2本の水位から計算する手順)

揚水量と観測井2本の距離・水位から、透水係数を求める手順です。

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揚水量と観測井2本の水位から透水係数と透水量係数

揚水試験で、揚水井から一定の量の水を汲み上げ続けると、まわりの地下水位が下がり、やがて安定します。揚水井から離れた所に観測井が2本あれば、その2本の距離と水位の違いから、帯水層の透水係数を求められます。地盤工学会の資料3-01 が整理している、Thiem の方法(ティームの平衡式)です。

手順

  1. 帯水層が被圧か不圧かを選びます。上下を水を通しにくい層にはさまれ、水圧のかかった帯水層は被圧、地下水面のある帯水層は不圧です。
  2. 連続揚水試験で、一定の揚水量で水位が安定したときの揚水量 Q を入力します。単位は L/min(「詳しい設定」で m³/min・m³/日 に替えられます)。
  3. 揚水井の中心から観測井までの距離を、近い方を r1、遠い方を r2 として入力します。
  4. 被圧のときは、観測井ごとの水位低下量 s1・s2(揚水前の水位から、揚水中に安定した水位までの下がった量)を入力します。
  5. 不圧のときは、観測井ごとの水位高さ h1・h2(帯水層の底から、揚水中に安定した水位までの高さ)を入力します。
  6. 被圧のときは帯水層の厚さ b を入力すると、透水係数 k を表示します。空欄なら透水量係数 T までです。

例 被圧帯水層(説明のための数)

揚水量 300 L/min、観測井1 が距離 10 m・水位低下量 1.20 m、観測井2 が距離 50 m・水位低下量 0.60 m、帯水層の厚さ 15 m のとき、計算は次の順です。

  1. Q = 300 L/min = 0.00500 m³/s
  2. ln(r2 ÷ r1) = ln(50 ÷ 10) = 1.6094(= 2.3026 × log₁₀ 5)
  3. s1 − s2 = 1.2 − 0.6 = 0.6 m
  4. T = 0.00500 × 1.6094 ÷ (2π × 0.6) = 2.13×10⁻³ m²/s
  5. T = 184 m²/日
  6. k = T ÷ b = 2.13×10⁻³ ÷ 15 = 1.42×10⁻⁴ m/s

透水量係数は 184 m²/日、透水係数は 1.42×10⁻⁴ m/s(1.42×10⁻² cm/s・12.3 m/日)です。

例 不圧帯水層(吹田市の揚水試験)

吹田市の資料の表3-1 から、観測井 No.64(揚水井戸から 6.2 m・水頭 5.31 m)と A3(95.7 m・5.79 m)、揚水量 32 m³/日 で計算すると、次のとおりです。

  1. Q = 32 m³/日 = 3.70×10⁻⁴ m³/s
  2. ln(r2 ÷ r1) = ln(95.7 ÷ 6.2) = 2.7367(= 2.3026 × log₁₀ 15.44)
  3. h2² − h1² = 5.79² − 5.31² = 5.328 m²
  4. k = 3.70×10⁻⁴ × 2.7367 ÷ (π × 5.328) = 6.06×10⁻⁵ m/s

表3-1 の値は 6.09×10⁻⁵ m/sec で、計算の 6.06×10⁻⁵ m/s とは、表の水頭が cm までに丸めてあることによる差です(「透水係数の計算例」)。

水位低下量と水位高さの読み方

水位低下量 s は、揚水を始める前の水位から、揚水中に安定した水位までの下がった量です。揚水井に近い観測井ほど大きく下がるので、s1 は s2 より大きくなります。

水位高さ h は、帯水層の底(水を通しにくい層の上面)から、揚水中の水位までの高さです。地表からの深さではありません。吹田市の資料は、ボーリング調査から難透水層の上面の標高を O.P.−3.945 m とし、揚水試験中の No.64 の地下水位 O.P.+1.36 m から、難透水層からの水頭を 5.31 m としています(1.36 + 3.945 = 5.305 m)。

揚水前の水位高さ H が分かっていれば、h = H − s です(地盤工学会の資料3-01 の (3) 不圧帯水層の式)。吹田市の表3-1 の No.64 は、揚水前の水頭 5.74 m・孔内水位低下量 0.43 m で、5.74 − 0.43 = 5.31 m です。

観測井の番号の付け方

このアプリは、揚水井に近い方を観測井1、遠い方を観測井2 として計算します。r2 が r1 より大きくないとき、被圧で s1 が s2 より大きくないとき、不圧で h2 が h1 より大きくないときは、計算しないで理由を表示します。揚水井を中心に水が流れ込む定常の状態では、近い観測井ほど水位が大きく下がるからです(地盤工学会の資料3-01 の式(1.9))。

出典

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揚水量と観測井2本の水位から透水係数と透水量係数