アーク電圧・溶接電流と溶接速度を入力すると、入熱が kJ/cm で表示されます。
アーク電圧・溶接電流・溶接速度から、入熱(kJ/cm)
入力のしかた
- アーク電圧 E(V)と溶接電流 I(A)を入力します。溶接中にテスターやクランプメーターで測った値です(アーク電圧は、溶接電源が近く電圧降下のおそれが少なければ、溶接電源の電圧計の値でもよいとされています)。
- 「溶接速度 V の入力」で、溶接速度(cm/min)をそのまま入力するか、「長さと時間から」を選んで溶接長さ(cm)と溶接時間(秒)を入力します。
- 入熱 HI が kJ/cm で大きく表示され、その下に J/cm の値が表示されます。「長さと時間から」のときは、求めた溶接速度も表示されます。
- 「入熱の管理値」で 30 kJ/cm 以下か 40 kJ/cm 以下を選ぶと、管理値以下かどうかを「○ 以下」「✗ 超える」で表示します。選ぶまでは判定しません。
例: 溶接電流 400 A・アーク電圧 40 V・溶接速度 40 cm/min なら、入熱は 24,000 J/cm、つまり 24.0 kJ/cm です。日本溶接協会の WE-COM 会誌の「溶接入熱問題」の例題と同じ数です。
溶接長さと溶接時間から求めるとき
日建連の鉄骨工事Q&A(A-3-15)は、溶接速度を「溶接長さを溶接時間で除して算出する」、溶接時間は「ストップウォッチで計測する」としています。溶接速度を直接読めないときは「長さと時間から」を選び、そのパスを溶接した長さと、ストップウォッチで計った秒数を入力します。
例: 40 cm を 60 秒 で溶接したとき、溶接速度は 40 cm ÷ 60 秒 × 60 = 40.0 cm/min です。電流と電圧が上の例と同じ 400 A・40 V なら、入熱は同じ 24,000 J/cm です。
長さを mm で測ったときは 10 で割って cm にします。秒を分に直すために 60 を掛けているので、溶接時間は秒のまま入力します。
計算結果の読み方と丸め
入熱は kJ/cm を小数第1位まで、J/cm を整数に四捨五入して表示します。「長さと時間から」で求めた溶接速度は小数第1位まで表示し、入熱は丸める前の溶接速度で計算します。「計算の内訳」を開くと、使った式と丸める前の数、J/mm に直した値が表示されます。
管理値との比べは J/cm の整数で行い、管理値と同じ値は「以下」とします。全国鉄骨評価機構の性能評価基準の別記2 が「40kJ/cm 以下」のように「以下」で書いているためです。管理値を超えたときは、同じ電流・電圧で管理値以下になる溶接速度の下限(小数第1位までに切り上げ)を、「長さと時間から」のときは同じ長さを溶接できる溶接時間の上限(切り捨て)を表示します。
空の欄があるあいだは計算結果を表示しません。0 や負の数、数でない字を入力したときは、どの欄を直せばよいかを1行で表示します。
この計算が決めないこと
入熱の管理値は、鋼材の種類と溶接材料の組み合わせで決まり、工事ごとに施工要領書や特記で決めます。このアプリは選んだ値と比べるだけで、どちらの値を使うかは決めません。判定は目安として使い、工事監理者の確認を受けた値で管理します。ロボット溶接は、全国鉄骨評価機構の基準の別記2 を適用せず、建築鉄骨溶接ロボットの型式認証条件に従います。
出典
- 日本建設業連合会 鉄骨工事Q&A A-3-15「工場溶接 入熱・パス間温度測定」(2012年9月制定・2016年7月改訂): 入熱の式・溶接速度の求め方
- 日本溶接協会 溶接技術者交流会 WE-COM 会誌 vol.48「溶接バッテン! 第六話 溶接入熱問題」: 400 A・40 V・40 cm/min の例題
- 全国鉄骨評価機構「鉄骨製作工場の性能評価基準(M グレード)」別表第1 別記2 入熱・パス間温度: 別記2 の管理値と「ロボット溶接には適用しない」
アーク電圧・溶接電流・溶接速度から、入熱(kJ/cm)