説明

入熱とパス間温度の管理値(30 kJ/cm・40 kJ/cm)

入熱の管理値は、鋼材と溶接材料の組み合わせで 30 か 40 kJ/cm です。

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アーク電圧・溶接電流・溶接速度から、入熱(kJ/cm)

鋼材と溶接材料の組み合わせによる管理値

全国鉄骨評価機構の「鉄骨製作工場の性能評価基準(M グレード)」は、適用範囲に「鋼種と溶接材料の組み合わせによる入熱及びパス間温度の管理値は、1. の範囲内で別記2 による」と書いています。別記2 のうち、ガスシールドアーク溶接のソリッドワイヤ(JIS Z 3312)の行は次のとおりです。

STKR・BCR・BCP を除く鋼材(490N級炭素鋼は STKR・BCP を除く):

鋼材・溶接材料入熱
(kJ/cm)
パス間温度
(℃)
400N級炭素鋼
YGW11・YGW15・YGW18・YGW19
40 以下350 以下
400N級炭素鋼
YGW11・YGW15・YGW18・YGW19
30 以下450 以下
490N級炭素鋼
YGW11・YGW15
30 以下250 以下
490N級炭素鋼
YGW18・YGW19
40 以下350 以下

STKR・BCR・BCP に限る行(490N級炭素鋼は STKR・BCP に限る):

鋼材・溶接材料入熱
(kJ/cm)
パス間温度
(℃)
400N級炭素鋼
YGW11・YGW15
30 以下250 以下
400N級炭素鋼
YGW18・YGW19
40 以下350 以下
490N級炭素鋼
YGW18・YGW19
30 以下250 以下

400N級炭素鋼(STKR・BCR・BCP を除く)は、YGW11・YGW15・YGW18・YGW19 のどれでも「40 kJ/cm 以下・350℃ 以下」か「30 kJ/cm 以下・450℃ 以下」の組です。入熱の管理値は 30 kJ/cm か 40 kJ/cm のどちらかで、組になるパス間温度の管理値は 250℃・350℃・450℃ の3つです。

フラックス入りワイヤ・被覆アーク溶接棒

同じ別記2 では、フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)は 490N級炭素鋼(STKR・BCP を除く)で T490Tx-yCA-U・T490Tx-yMA-U が 30 kJ/cm 以下・250℃ 以下、T550Tx-yCA-U・T550Tx-yMA-U が 40 kJ/cm 以下・350℃ 以下です。被覆アーク溶接棒(JIS Z 3211・JIS Z 3214。引張強さ 570MPa 以上のものを除く)と耐候性鋼用ソリッドワイヤ(JIS Z 3315)は、400N級・490N級炭素鋼(STKR・BCR・BCP を除く)とも 40 kJ/cm 以下・350℃ 以下です。

別記2 には「ロボット溶接の場合は、(一社)日本ロボット工業会による建築鉄骨溶接ロボットの型式認証条件に従うものとし、別記2 はロボット溶接には適用しない」との注があります。日本鉄骨評価センターの M グレードの基準にも同じ表があります。

管理値から溶接速度の下限を求める

入熱の式を溶接速度について解くと、管理値以下になる溶接速度の下限は V = 60 × E × I ÷(管理値 × 1,000)です。36 V・300 A なら、30 kJ/cm 以下にするには 21.6 cm/min 以上、40 kJ/cm 以下にするには 16.2 cm/min 以上です。30 cm のパスなら、溶接時間はそれぞれ 83.3 秒以内、111.1 秒以内です。計算の画面で管理値を選ぶと、超えたときにこの下限と上限を表示します。

入熱とパス間温度を管理する理由

日本溶接協会の解説は、入熱が大きいときは溶接部の冷却速度は小さく、入熱が小さいときは冷却速度は大きいと説明しています。日鉄溶接工業の製品ガイドには、YGW18・YGW19 のソリッドワイヤで入熱 20〜40 kJ/cm・パス間温度 150〜350℃ の継手を溶接した例があり、入熱とパス間温度が高いほど引張強さ・降伏点・吸収エネルギーが下がっています。同じ資料は、そのワイヤについて、JASS 6(日本建築学会 鉄骨工事技術指針・工場製作編)の管理目標上限(40 kJ/cm・350℃)でも十分な強度・じん性を確保できるとしています。

出典

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アーク電圧・溶接電流・溶接速度から、入熱(kJ/cm)