入熱は直接測れないので、電流・電圧・溶接速度を測って式で求めます。
アーク電圧・溶接電流・溶接速度から、入熱(kJ/cm)
入熱は電流・電圧・溶接速度から求める
日建連の鉄骨工事Q&A(A-3-15)は、入熱は直接測定できないので、電流・電圧・溶接速度を測って式から算出するとしています。それぞれの測り方は次のとおりです。
| 測る物 | 測り方(A-3-15) |
|---|---|
| アーク電圧 E(V) | テスター等で測定する。溶接電源が近く電圧降下のおそれが少ない場合は、溶接電源の電圧計を読む事でも可 |
| 溶接電流 I(A) | クランプメーターやテスターで測定する |
| 溶接速度 V(cm/min) | 溶接長さを溶接時間で除して算出する。溶接時間はストップウォッチで計測する |
確認と記録
国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の 7.6.10「溶接部等の確認」は、溶接の着手前・作業中・完了後に確認を行い、その結果の記録を監督職員に提出するとしています。溶接作業中の確認の項目には、溶接順序・溶接姿勢・溶接棒径・ワイヤ径とともに、溶接電流・アーク電圧・入熱・パス間温度が挙げられています。
同じQ&Aは「実際に全ての溶接部を計測・管理することは大変な作業です」とも書いています。どの溶接部をどの頻度で測るかは、工事の施工要領書で決めます。
パスごとの計算の例
アーク電圧 36 V・溶接電流 300 A で長さ 30 cm のパスを溶接し、パスごとの溶接時間を記録したときの計算の例です(数は説明のための例・管理値は 30 kJ/cm 以下)。
| 溶接時間 (秒) | 溶接速度 (cm/min) | 入熱 (kJ/cm) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 60 | 30.0 | 21.6 | ○ 以下 |
| 75 | 24.0 | 27.0 | ○ 以下 |
| 100 | 18.0 | 36.0 | ✗ 超える |
同じ電流・電圧でも、溶接時間が長い(溶接速度が遅い)ほど入熱は大きくなります。100 秒 かかったパスは溶接速度が 18.0 cm/min に下がり、入熱が 36.0 kJ/cm になりました。この電流・電圧で 30 kJ/cm 以下にするには、溶接速度を 21.6 cm/min 以上、つまり 30 cm を 83.3 秒以内で溶接します。
温度チョーク・示温材で分かること
A-3-15 は、入熱・パス間温度を管理して溶接したかどうかを溶接後に推定できる不可逆の示温材について、各パスのパス間温度や入熱量の確認はできないと注意しています。入熱は、溶接中に電流・電圧・溶接速度を測って求めます。
出典
- 日本建設業連合会 鉄骨工事Q&A A-3-15「工場溶接 入熱・パス間温度測定」(2012年9月制定・2016年7月改訂): 入熱の測定方法(テスター・クランプメーター・ストップウォッチ)
- 国土交通省 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 7.6.10 溶接部等の確認: 7.6.10 溶接部等の確認(溶接電流・アーク電圧・入熱・パス間温度の記録)
アーク電圧・溶接電流・溶接速度から、入熱(kJ/cm)