幅員 15 m 以上の特定道路から 70 m 以内の敷地は、前面道路の幅員に Wa を加えて計算します。
用途地域・指定容積率・前面道路の幅員から延べ面積の上限
特定道路による緩和の条件(第52条第9項)
建築物の敷地が、幅員十五メートル以上の道路(以下この項において「特定道路」という。)に接続する幅員六メートル以上十二メートル未満の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分において接する場合における当該建築物に対する第二項から第七項までの規定の適用については、第二項中「幅員」とあるのは、「幅員(第九項の特定道路に接続する同項の前面道路のうち当該特定道路からの延長が七十メートル以内の部分にあつては、その幅員に、当該特定道路から当該建築物の敷地が接する当該前面道路の部分までの延長に応じて政令で定める数値を加えたもの)」とする。
- 特定道路は、幅員 15 m 以上の道路です。
- 前面道路の幅員が 6 m 以上 12 m 未満で、その前面道路が特定道路に接続していることが条件です。
- 敷地が、前面道路のうち特定道路からの延長 70 m 以内の部分で接していることが条件です。
新宿区の案内は「特定道路までの幅員はすべて6m以上必要」としています。大阪市の取扱い(3-7)は、特定道路に認定の手続きは要らないこと、一街区にわたるなど相当区間にわたって幅員 15 m 以上であること、計画道路は計画の幅員が 15 m 以上でも(第42条第1項の道路にあたる場合を除き)特定道路にあたらないことを示しています。
Wa の計算式(施行令第135条の18)
- Wa: 前面道路の幅員に加える数値(m)
- Wr: 前面道路の幅員(m)
- L: 特定道路から、建築物の敷地が接する前面道路の部分の直近の端までの延長(m)
前面道路の幅員による容積率は、(Wr + Wa)× 乗じる数値 × 100 で求めます。L が 0 m なら Wa は 12 − Wr で、幅員は 12 m として計算され、L が 70 m なら Wa は 0 です。延長の測り方は、大阪市の取扱い(3-9)に図で示されています。
| Wr \ L | 0 m | 10 m | 35 m | 55 m | 70 m |
|---|---|---|---|---|---|
| 6 m | 6 m | 5.142 m | 3 m | 1.285 m | 0 m |
| 8 m | 4 m | 3.428 m | 2 m | 0.857 m | 0 m |
| 10 m | 2 m | 1.714 m | 1 m | 0.428 m | 0 m |
計算例(大阪市・新宿区)
大阪市の取扱い(3-8): 特定道路からの延長 L = 35 m・前面道路の幅員 Wr = 6 m なら、Wa =(12 − 6)×(70 − 35)÷ 70 = 3 m です。商業地域の部分(300 m²・600 %)は(6 + 3)m × 6/10 × 100 = 540 % < 600 % → 容積率の限度は 540 %、第二種中高層住居専用地域の部分(200 m²・300 %)は(6 + 3)m × 4/10 × 100 = 360 % > 300 % → 容積率の限度は 300 %。延べ面積の上限は 1,620.00 m² + 600.00 m² = 2,220.00 m²、敷地全体の容積率の限度は 444 % です。
新宿区の例 A: 前面道路の幅員 8 m・延長 10 m・乗じる数値 6/10・指定容積率 500 % なら、Wa は 3.428 m(小数第3位未満を切り捨て)で、前面道路の幅員による容積率は 685.71 %。指定容積率の方が小さいので、容積率の限度は 500 % です。
新宿区の例 B: 前面道路の幅員 6 m・延長 55 m(10 + 30 + 15 m)・乗じる数値 4/10・指定容積率 400 % なら、Wa は 1.285 m です。新宿区の資料は Wa を 1.2 m として(6 + 1.2)× 0.4 = 288 % と計算しています。この計算は Wa を丸めずに使うので、(6 + 1.285)m × 4/10 × 100 ≒ 291.42 % < 400 % → 容積率の限度は 291.42 %と表示します。
Wa の端数の扱い
施行令第135条の18 は Wa を「次の式によつて計算したもの」とするだけで、端数の決まりはありません。この計算は Wa を丸めずに使い、表示だけ小数第3位未満を切り捨てています。新宿区の例 B のように、Wa を小数第1位までにして計算している資料もあります。確認申請の前に、特定行政庁か指定確認検査機関の扱いを確かめてください。
出典
- 建築基準法 第52条(容積率)・第42条(道路の定義)(e-Gov 法令検索)
- 建築基準法施行令 第2条(面積の算定方法)・第135条の18(前面道路の幅員に加算する数値)(e-Gov 法令検索)
- 大阪市「大阪市建築基準法取扱い」3-1〜3-9(前面道路による容積率・用途地域が2以上にわたる場合・特定道路による容積率の算定)
- 新宿区 建築指導課「よくある問合せ」(前面道路幅員による容積率の低減係数・特定道路からの延長による容積率の割増し)
- 名古屋市「知っておきたい建築の法規」令和8年6月〔6〕容積率制限(前面道路幅員による容積率算定法の例・特定道路・容積率算定の特例)
- 近畿建築行政会議「建築基準法の基礎知識」令和3年4月(京都市のサイトに掲載・3 容積率の計算例)