敷地が2つ以上の用途地域にわたるときは、部分ごとの限度を面積の割合で加重平均します。
用途地域・指定容積率・前面道路の幅員から延べ面積の上限
第52条第7項の条文
建築物の敷地が第一項及び第二項の規定による建築物の容積率に関する制限を受ける地域、地区又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の容積率は、第一項及び第二項の規定による当該各地域、地区又は区域内の建築物の容積率の限度にその敷地の当該地域、地区又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
計算の手順
- 敷地を用途地域(指定容積率)の境で分け、部分ごとの面積を求めます。
- 部分ごとに、指定容積率と前面道路の幅員による容積率の小さい方を求めます。前面道路の幅員は敷地全体で1つ(2つ以上なら幅員の最大のもの)で、乗じる数値はその部分の用途地域の数値です。
- 部分の面積 × 部分の限度 ÷ 100 で、部分ごとの延べ面積を求めて合計します。これが敷地全体の延べ面積の上限です。
- 合計を敷地面積で除して 100 を乗じると、敷地全体の容積率の限度(加重平均)になります。
計算例(名古屋市「知っておきたい建築の法規」〔9〕)
敷地 300 m² のうち、第一種低層住居専用地域が 100 m²(指定容積率 60 %)、近隣商業地域が 200 m²(300 %)の例です。
前面道路の幅員が 12 m 以上なら、第2項の制限はかからず、(100 × 60 % + 200 × 300 %)÷ 300 = 220 %(延べ面積の上限 660.00 m²)。
前面道路の幅員が 4 m なら、第一種低層住居専用地域の部分は 4 m × 4/10 × 100 = 160 % > 60 % → 容積率の限度は 60 %、近隣商業地域の部分は 4 m × 6/10 × 100 = 240 % < 300 % → 容積率の限度は 240 %。敷地全体は(100 × 60 % + 200 × 240 %)÷ 300 = 180 % です。
| 用途地域 | 面積 | 容積率の限度 | 延べ面積の上限 |
|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 100 m² | 60 % | 60.00 m² |
| 近隣商業地域 | 200 m² | 240 % | 480.00 m² |
| 敷地全体 | 300 m² | 180 % | 540.00 m² |
計算例(大阪市建築基準法取扱い 3-6)
商業地域 198 m²(指定容積率 400 %)と第二種中高層住居専用地域 600 m²(300 %)にわたる敷地で、前面道路の幅員が 6 m の例です。商業地域の部分は 6 m × 6/10 × 100 = 360 % < 400 % → 容積率の限度は 360 %、第二種中高層住居専用地域の部分は 6 m × 4/10 × 100 = 240 % < 300 % → 容積率の限度は 240 %で、どちらも前面道路の幅員による容積率の方が小さくなります。延べ面積の上限は 712.80 m² + 1,440.00 m² = 2,152.80 m²、敷地全体の容積率の限度は 269.77 % です。
| 用途地域 | 面積 | 容積率の限度 | 延べ面積の上限 |
|---|---|---|---|
| 商業地域 | 198 m² | 360 % | 712.80 m² |
| 第二種中高層住居専用地域 | 600 m² | 240 % | 1,440.00 m² |
| 敷地全体 | 798 m² | 269.77 % | 2,152.80 m² |
特定道路の緩和が加わる大阪市の例(3-8)は、特定道路による容積率の緩和のページで計算しています。
ほかの制限との違い
敷地が2つ以上の地域にわたるときの扱いは、制限ごとに違います。新宿区の案内は次のようにまとめています。
- 用途地域の用途の制限: 敷地の過半が属する用途地域の制限を敷地全体に適用
- 延べ面積の限度(容積率)・建築面積の限度(建蔽率): 敷地内のそれぞれの面積比を用いた加重平均
- 道路・隣地・北側の斜線制限と高度地区: 建築物の各部分のある地域の高さの制限を適用
名古屋市の資料も、容積率・建蔽率は「加重平均」、外壁後退・道路斜線・隣地斜線・高度地区は「部分適用」、用途地域は「過半支配」と分けて説明し、建築物が防火地域などにまたがる場合は厳しい方の規制を適用する(法第65条)としています。
出典
用途地域・指定容積率・前面道路の幅員から延べ面積の上限