軸受の内径・しめしろ・室温の入力のしかたと、計算結果の読み方です。
軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)
入力のしかた
- 軸受の内径 d(mm)を入力します。内輪の内径で、軸径と同じ寸法です。
- しめしろ δ(μm)を入力します。軸と内輪のはめあいで決まるしめしろの最大値です。30 μm なら 30 と入力します。
- 室温(℃)を入力します。加熱する前の軸受と軸の温度です。0 ℃ より低いときは − を付けます。
- 加熱温度(軸受の温度)と、室温に加えた温度上昇 ΔT が表示されます。その下に、加熱温度での内径の膨張量と、挿入するときのすきまが表示されます。
例: 内径 100 mm・しめしろ 30 μm・室温 20 ℃ なら、温度上昇 ΔT は 24.0 ℃、加熱温度は 44.0 ℃ です。NTN の精密転がり軸受の技術解説にある例と同じ内径としめしろです。室温が −5 ℃ の冬なら、同じ軸受の加熱温度は 19.0 ℃ です。温度上昇は室温によらず同じです。
作業中の冷却の見込み(詳しい設定)
計算結果の ΔT は、内径の膨張量がしめしろとちょうど同じになる温度上昇です。この温度では軸とのすきまが無いので、取り付ける間に軸受が冷えると入らなくなります。「詳しい設定」の「作業中の冷却の見込み」で +20 ℃ か +30 ℃ を選ぶと、その温度を加えた加熱温度を表示します。ジェイテクトの「軸受の取付け」は、取付け作業中の冷却も考慮して、さらに 20~30 ℃ 高く加熱しておくとよいとしています。
上の例で +20 ℃ を選ぶと、加熱温度は 64.0 ℃、内径の膨張量は 55.0 μm、挿入するときのすきまは 25.0 μm です。+30 ℃ なら 74.0 ℃・67.5 μm・37.5 μm です。同じ選びは、下のタブの「設定」からも変えられます。
加熱温度の上限の判定
計算結果の下に、加熱温度を3つの上限と比べた判定を表示します。比べる上限は、NTN と NSK がこの温度以上に加熱しないとしている 120 ℃、ジェイテクトがこの温度以下で加熱するとしている 100 ℃、NTN の精密軸受の資料が樹脂の保持器の目安としている 80 ℃ です。どれも ○ か ✗ と言葉で表示します。
加熱温度が 120 ℃ 以上になるときは、加熱温度の上に「✗ 加熱温度が 120 ℃ 以上」と表示します。たとえば内径 20 mm の軸受にしめしろ 30 μm では ΔT が 120.0 ℃ で、室温 20 ℃ からの加熱温度は 140.0 ℃ です。
計算結果の丸めと入力の範囲
温度上昇・加熱温度・膨張量・すきまは、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで表示します。内径 120 mm・しめしろ 40 μm の ΔT は 26.666… ℃ で、画面には 26.7 ℃ と表示します。「計算の内訳」を開くと、使った式と丸める前の数が表示されます。
空の欄があるあいだは計算結果を表示しません。内径やしめしろが 0 や負の数のとき、数でない字のとき、室温が −30〜50 ℃ の外のときは、どの欄を直せばよいかを1行で表示します。
出典
- NTN 精密転がり軸受 技術解説「6. 軸受の取扱い」p.29(焼きばめによる挿入について): 焼きばめの式 δ = 12.5×10⁻⁶ × d × ΔT・φ100・30 μm の例・樹脂の保持器 80℃以下程度
- NTN「ベアリングの取扱い」CAT. NO. 9103/J p.4(2.3 熱ばめ): 「ベアリングは120℃以上に加熱してはいけません」
- ジェイテクト(Koyo)ベアリングの基礎知識「軸受の取付け」15-3-2 軸受の取付け方法(表 15-2・図 15-3): 「さらに20~30℃高く加熱しておくとよい」「100℃以下で加熱する」
- 日本精工(NSK)ベアリングのABC「10.1 軸受の取付け」(焼きばめ・油槽加熱): 「長時間、軸受を120℃以上に加熱しない」
軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)