説明

ベアリングの加熱温度の上限(120 ℃・100 ℃・樹脂の保持器 80 ℃)

軸受メーカーの資料が示す、加熱温度の上限とその理由です。

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軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)

120 ℃ 以上に加熱しない(NTN・NSK)

NTN の「ベアリングの取扱い」は、熱ばめ(内輪を加熱膨張させて挿入する方法)の注意として「ベアリングは120℃以上に加熱してはいけません」としています。NSK のベアリングのABC も、油槽加熱の注意の1つ目に「長時間、軸受を120℃以上に加熱しない」を挙げています。計算の画面では、加熱温度が 120 ℃ 以上になると「✗ 加熱温度が 120 ℃ 以上」と表示します。

100 ℃ 以下で加熱する(ジェイテクト)

ジェイテクトの「軸受の取付け」は、表 15-2「円筒穴軸受の焼ばめによる取付け」で「120℃以上で加熱すると軸受の硬さが低下するので、100℃以下で加熱する」としています。上限の理由が軸受の硬さであることも、この資料に書かれています。

室温 20 ℃ で加熱温度を 100 ℃ 以下に収めると、使える温度上昇は 80 ℃ です。そのときのしめしろの上限(μm)は、冷却の見込みなしで内径(mm)の数の 1 倍、見込み +20 ℃ で 0.75 倍、+30 ℃ で 0.625 倍です。内径 100 mm なら 100.0 μm・75.0 μm・62.5 μm です(表の数は μm)。

内径 d見込みなし見込み +20 ℃見込み +30 ℃
30 mm30.022.518.8
50 mm50.037.531.3
80 mm80.060.050.0
100 mm100.075.062.5
150 mm150.0112.593.8
200 mm200.0150.0125.0

樹脂の保持器とグリース入りの軸受

NTN の精密転がり軸受の技術解説は、アンギュラ玉軸受の保持器に樹脂材料が使われているときは「あまり高温まで加熱しないで下さい。(80℃以下程度)」としています。室温 20 ℃ なら使える温度上昇は 60 ℃ で、しめしろの上限(μm)は、冷却の見込みなしで内径(mm)の数の 0.75 倍です。計算の画面の判定の「樹脂の保持器(NTN)」は、この 80 ℃ と比べています。

グリースを封入した軸受にも注意が要ります。NTN の「ベアリングの取扱い」は、加熱した油に浸す方法を「グリースを封入したシール又はシールドベアリングに用いてはなりません」としています。NSK は、密封軸受を加熱する場合は高温状態を長時間保持しないこと、グリースは高温下で急速に劣化することを挙げています。

上限を超える計算結果になったとき

内径が小さくしめしろが大きいと、ΔT が大きくなります。内径 20 mm・しめしろ 30 μm では ΔT が 120.0 ℃ で、室温 20 ℃ からの加熱温度は 140.0 ℃ になり、どの上限も超えます。しめしろの値(はめあい)と取付け方法を、使う軸受のメーカーのカタログと設計者の確認で決めてください。NTN の技術解説は、軸受の組立て手法として焼きばめのほかに油圧プレスによる圧入を挙げています。

出典

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軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)