説明

焼きばめの温度の計算式(δ = 12.5×10⁻⁶ × d × ΔT)

内輪の内径の膨張量が、しめしろと同じになる温度上昇を求めます。

このアプリで計算する

軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)

NTN の資料の式

NTN の精密転がり軸受の技術解説「6. 軸受の取扱い」は、恒温槽やベアリングヒータで軸受を加熱して軸に付けるとき、軸と内輪のしめしろを考慮した温度で加熱するとしています。そのしめしろ δ を、軸受の線膨張係数 12.5×10⁻⁶、加熱温度 ΔT、内輪内径 φd で次の式に表しています。

δ = 12.5×10⁻⁶ × d × ΔT

記号意味単位
δしめしろ(軸と内輪のはめあいしめしろ)mm
d内輪内径(軸径)mm
ΔT加熱温度(加熱前後の軸受の温度差)℃
12.5×10⁻⁶軸受の線膨張係数/℃

式を ΔT について解くと ΔT = δ ÷ (12.5×10⁻⁶ × d) です。式の δ は mm なので、μm で入力した数は 1,000 で割ってから使います。軸受を何度にするか(加熱温度)は、室温にこの ΔT を加えた温度です。このアプリの計算結果の「加熱温度」はこちらで、資料の「加熱温度 ΔT」は、計算結果の加熱温度の下に表示する ΔT(温度上昇)にあたります。

資料の例(φ100・しめしろ 30 μm)

資料の例は、φd = φ100、δ = 0.030(30 μm タイト)で、必要加熱温度を ΔT = 23.8 ℃ としています。そのうえで「軸受温度を室温+30℃程度に加熱すればよい」とし、組立時間中の冷却を考慮しておくことが重要だとしています。

同じ式と係数のまま計算すると、ΔT = 0.030 ÷ (12.5×10⁻⁶ × 100) = 24.0 ℃ です。資料の 23.8 ℃ とは 0.2 ℃ 違います(係数を 12.6×10⁻⁶ として計算すると 23.8 ℃ になる数です)。このアプリは資料の式の係数 12.5×10⁻⁶ で計算し、24.0 ℃ と表示します。どちらでも 30 ℃ より小さく、「室温+30℃程度」という資料の結論は変わりません。

ΔT は「80 × しめしろ(μm)÷ 内径(mm)」

しめしろを μm、内径を mm で使うと、1 ÷ (12.5×10⁻⁶ × 1,000) = 80 なので、ΔT(℃)= 80 × δ(μm)÷ d(mm)です。内径 100 mm・しめしろ 30 μm なら 80 × 30 ÷ 100 = 24.0 ℃ です。しめしろが同じなら内径が大きいほど、内径が同じならしめしろが小さいほど、温度上昇は小さくなります。

次の表は、内径としめしろごとの温度上昇 ΔT(℃)です(このページを作るときに、計算の画面と同じ式で計算しました)。加熱温度は、これに室温を加えた温度です。

内径 d10 μm20 μm30 μm50 μm
40 mm20.040.060.0100.0
50 mm16.032.048.080.0
60 mm13.326.740.066.7
80 mm10.020.030.050.0
100 mm8.016.024.040.0
120 mm6.713.320.033.3
150 mm5.310.716.026.7
200 mm4.08.012.020.0
300 mm2.75.38.013.3

式の温度と、実際に加熱する温度

式の ΔT は、内径の膨張量がちょうどしめしろと同じになる温度上昇です。ジェイテクトの「軸受の取付け」は、最大しめしろ値よりも大きい内輪の膨張量を得られるように加熱温度を決めればよいとし、実際には取付け作業中の冷却も考慮して、さらに 20~30 ℃ 高く加熱しておくとよいとしています。NSK のベアリングのABC も、作業中に内輪が冷えて取付けが困難にならないよう、高めに軸受を加熱するとしています。

このアプリでは「詳しい設定」の「作業中の冷却の見込み」で +20 ℃ か +30 ℃ を選ぶと、ΔT にその温度を加えた加熱温度と、そのときの膨張量・すきまを計算します。

出典

このアプリで計算する

軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)