温度上昇ごとに、内輪の内径がどれだけ広がるかを内径ごとにまとめました。
軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)
内径の膨張量の式
内輪の内径は、温度が上がると内径に比例して広がります。NTN の資料の式 δ = 12.5×10⁻⁶ × d × ΔT の δ を、温度上昇 ΔT のときの内径の膨張量と読むと、膨張量(μm)= 12.5×10⁻⁶ × d(mm)× ΔT(℃)× 1,000 です。内径 100 mm の内輪は、1 ℃ 上がるごとに 1.25 μm 広がります。
NTN の資料の図 6.5「内輪の焼きばめに必要な加熱温度」は、横に軸受内径(50〜600 mm)、縦に内輪内径の膨張量(μm)をとり、軸受温度上昇(加熱前後の温度差)30〜90 ℃ の線を引いた図です。次の表は、その範囲の内径と温度上昇の膨張量を同じ式で計算した数です(μm)。
| 内径 d | 30 ℃ | 50 ℃ | 70 ℃ | 90 ℃ |
|---|---|---|---|---|
| 50 mm | 18.8 | 31.3 | 43.8 | 56.3 |
| 100 mm | 37.5 | 62.5 | 87.5 | 112.5 |
| 150 mm | 56.3 | 93.8 | 131.3 | 168.8 |
| 200 mm | 75.0 | 125.0 | 175.0 | 225.0 |
| 300 mm | 112.5 | 187.5 | 262.5 | 337.5 |
| 400 mm | 150.0 | 250.0 | 350.0 | 450.0 |
| 500 mm | 187.5 | 312.5 | 437.5 | 562.5 |
| 600 mm | 225.0 | 375.0 | 525.0 | 675.0 |
図の階段の線(はめあいの最大しめしろ)
NTN の図 6.5 には、温度上昇の線のほかに、軸の公差域クラス j5・k5・m6・n6・p6・r6 ごとのしめしろの最大値が階段の線で描かれています。備考には「しめしろの最大値は0級軸受とのはめあい値である」とあります。ジェイテクトの図 15-3「加熱温度と軸受内輪の膨張量」も同じ形で、太い実線は常温での 0級の軸受と軸(r6・p6・n6・m5・k5・j5)との最大しめしろ値です。
図では、軸受の内径の所で軸の公差域クラスの階段を探し、それより上にある温度上昇の線を読みます。このアプリは、その最大しめしろを数で入力して、膨張量がしめしろと同じになる温度上昇を式で求めます。図の線の間を目で読む必要がありません。
冷却の見込みで増えるすきま
式の ΔT より高く加熱すると、上乗せした温度のぶんだけ内径が広がり、軸とのあいだにすきまができます。すきま(μm)= 12.5×10⁻⁶ × d × 上乗せした温度 × 1,000 で、しめしろの大きさにはよりません。ジェイテクトの「さらに20~30℃高く」の両端で計算すると、次の表のとおりです(μm)。
| 内径 d | +20 ℃ | +30 ℃ |
|---|---|---|
| 50 mm | 12.5 | 18.8 |
| 100 mm | 25.0 | 37.5 |
| 200 mm | 50.0 | 75.0 |
| 300 mm | 75.0 | 112.5 |
内径 100 mm・しめしろ 30 μm で +20 ℃ なら、加熱温度での膨張量は 55.0 μm、すきまは 25.0 μm です。計算の画面では、この2つを加熱温度の下に表示します。
出典
- NTN 精密転がり軸受 技術解説「6. 軸受の取扱い」p.29(焼きばめによる挿入について): p.29 の式と図 6.5(内輪の焼きばめに必要な加熱温度)・備考
- ジェイテクト(Koyo)ベアリングの基礎知識「軸受の取付け」15-3-2 軸受の取付け方法(表 15-2・図 15-3): 図 15-3(加熱温度と軸受内輪の膨張量)と備考・「さらに20~30℃高く」
軸受の内径・しめしろ・室温から、焼きばめの加熱温度(℃)