パワーレベルは機械そのものの値で、距離によって変わりません。
機械のパワーレベルと距離から、騒音レベルと合成値
音響パワーレベルとは
音響パワーレベルは、音源から放射される全音響パワーを、基準の音響パワー(1 pW)で除した値の常用対数の10倍です(国土交通省 平成9年建設省告示第1537号)。A 特性は、聴感補正(人の耳の感じ方に合わせた周波数ごとの補正)をした値のことで、A 特性音響パワーレベルを LWA と書きます。
パワーレベルは機械そのものの値で、距離によって変わりません。予測地点の騒音レベルは、パワーレベルから距離減衰を引いた値で、場所によって変わります。同じ「dB」でも、パワーレベルと騒音レベルは別の量です。
低騒音型建設機械の騒音基準値
国土交通省の「低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程」(平成9年建設省告示第1536号)は、騒音の測定値が別表第一の騒音基準値以下の型式を、低騒音型建設機械に指定します。騒音の測定値は、その型式の建設機械1台から発生する騒音の音響パワーレベルです(告示第1537号)。別表第一から、いくつかを抜き書きしました(P は機関出力 kW)。
| 機種 | 機関出力 P(kW) | 騒音基準値 (dB) |
|---|---|---|
| バックホウ | P<55 | 99 |
| バックホウ | 55≦P<103 | 104 |
| バックホウ | 103≦P<206 | 106 |
| バックホウ | 206≦P | 106 |
| ブルドーザー | P<55 | 102 |
| ブルドーザー | 55≦P | 105 |
| バイブロハンマー | 区分なし | 107 |
| さく岩機(コンクリートブレーカー) | 区分なし | 106 |
| 空気圧縮機 | P<55 | 101 |
| 空気圧縮機 | 55≦P | 105 |
| 発動発電機 | P<55 | 98 |
| 発動発電機 | 55≦P | 102 |
騒音の測定値が騒音基準値から 6 を減じた値を下回る型式は、超低騒音型建設機械の標識を表示できます(同じ規程 第10条)。低騒音型の機械のパワーレベルは騒音基準値以下なので、メーカーの値が分からないときに、騒音基準値を上限の目安として使えます。
パワーレベルの測り方
告示第1537号の測定方法では、機械を囲む仮想の半球を測定面とし、その半径 r を機械の基本寸法 L で決めます(L が 1.5 m 未満は 4 m、1.5 m 以上 4 m 未満は 10 m、4 m 以上は 16 m)。測定面の騒音レベルから LwA = LAeq,T − K + 10 log10(S/S0) で音響パワーレベルを求め、小数点以下第一位を四捨五入した整数にします。
環境影響評価の資料の値
札幌市の環境影響評価準備書は、造成工事の最盛期に使う建設機械の A 特性実効音響パワーレベルを、ASJ CN-Model 2007 から次のように設定しています。
| 機種 | 規格等 | パワーレベル (dB) |
|---|---|---|
| バックホウ | 0.8 m³ | 102 |
| ホイールローダ | 2.2 m³ | 107 |
| ブルドーザー | 15 t | 103 |
| ダンプトラック | 10 t | 102 |
| コンクリートミキサー車 | 4.5 m³ | 102 |
| 発電機 | - | 102 |
道路環境影響評価の技術手法は、建設機械の組合せ(ユニット)ごとに A 特性実効音響パワーレベル LWAeff と補正値 ΔL を決めています。土木技術資料(杉谷・山元)の表-1 の例は次のとおりです。
| ユニット | 評価量 | LWAeff (dB) | ΔL (dB) |
|---|---|---|---|
| 土砂掘削 | LA5 | 103 | 5 |
| 硬岩掘削 | LA5 | 113 | 6 |
| 油圧パイルハンマ | LA,Fmax,5 | 121 | 8 |
同じ機種でも、資料によってパワーレベルの値は違います。高松市の評価書は、プラントメーカーの資料と、日本建設機械化協会の「建設工事に伴う騒音・振動対策ハンドブック」から値を設定しています。予測に使った値は、どの資料の値かを控えておきます。
パワーレベルの種類と、求まる騒音レベル
求まる騒音レベルの種類は、入力したパワーレベルの種類と同じです。A 特性実効音響パワーレベル(LWAeff)を入力すれば、実効騒音レベル(LAeff)です。
実効騒音レベルは、等価騒音レベルと定義式は同じですが、建設作業のように限られた時間の騒音レベルのエネルギー平均を表す量として ASJ CN-Model 2007 で定義された量です(高松市の評価書の注)。騒音規制法の評価量(LA5 など)にするには、補正値 ΔL を加えます。
出典
- 建設機械の騒音及び振動の測定値の測定方法(平成9年 建設省告示第1537号・国土交通省): 騒音の測定値は音響パワーレベル・測定面は仮想半球(半径 4・10・16 m)・LwA = LAeq,T − K + 10 log10(S/S0)・整数に四捨五入
- 低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程(平成9年 建設省告示第1536号・国土交通省): 別表第一 騒音基準値(機種と機関出力ごと)・超低騒音型(騒音基準値から 6 を減じた値を下回る)
- 環境影響評価準備書 第7章 7-1-2 騒音(札幌市): 表7-1-2-6 建設機械の騒音パワーレベル
- 建設機械の稼動に係る騒音・振動・降下ばいじんの予測手法(土木技術資料 51-6・杉谷康弘・山元弘・2009年): 表-1 騒音予測の諸数値例
- 環境影響評価書 6.2.2 騒音(高松市): 表 6.2.2-12 の出典・実効騒音レベルの注
機械のパワーレベルと距離から、騒音レベルと合成値