騒音の合成は、dB の数をエネルギーに直して合計し、dB に戻します。
機械のパワーレベルと距離から、騒音レベルと合成値
騒音の合成の計算式
いくつかの音源の騒音が同時に届くときの騒音レベルは、騒音レベルを 10^(L/10) の形(音のエネルギーに比例する量)に直して合計し、10 log10 で dB に戻して求めます。エネルギー和と呼ばれる計算で、札幌市の準備書と大阪市の評価書も、機械ごとの騒音レベルをこの式で合成しています。
dB の数をそのまま合計してはいけません。60 dB と 50 dB の音を合成しても、110 dB にはなりません。
宮城県の例: 60 dB と 50 dB
宮城県「騒音の尺度」の例は、60 dB の空気圧縮機と 50 dB の空気圧縮機があるとき、10 log10(10^(60/10) + 10^(50/10)) = 60.4 dB です。10^(60/10) は 1,000,000、10^(50/10) は 100,000 で、合計の 1,100,000 を 10 log10 で dB に戻すと 60.4 dB になります。
同じ資料は、60 dB のチッパーが2台なら 63 dB(計算すると 63.0 dB)、70 dB の液圧プレスが10台なら 80 dB(80.0 dB)としています。このアプリでは、パワーレベル 108 dB・距離 100 m(60.0 dB)と、パワーレベル 98 dB・距離 100 m(50.0 dB)の2行を入力すると、宮城県の例と同じ 60.4 dB になります。
同じ騒音レベルが何台もあるとき
同じ騒音レベルの音源が n 台あると、合成した騒音レベルは 1台のときより 10 log10 n だけ大きくなります。宮城県の資料は、2台で約 3 dB、3台で約 5 dB、10台で約 10 dB、100台で約 20 dB としています。
| 台数 | 1台のときより 大きくなる量(dB) |
|---|---|
| 1台 | 0.0 |
| 2台 | 3.0 |
| 3台 | 4.8 |
| 4台 | 6.0 |
| 5台 | 7.0 |
| 10台 | 10.0 |
| 100台 | 20.0 |
差のある2つの騒音レベル
2つの騒音レベルの差が大きいほど、小さい方は合成した値にほとんど効きません。大きい方に加わる量は次のとおりです。差が 10 dB あると 0.4 dB しか大きくならないので、騒音を下げるには、いちばん大きい機械から対策するのが効きます。
| 2つの差 (dB) | 大きい方に 加わる量(dB) |
|---|---|
| 0 | 3.0 |
| 1 | 2.5 |
| 2 | 2.1 |
| 3 | 1.8 |
| 4 | 1.5 |
| 5 | 1.2 |
| 6 | 1.0 |
| 8 | 0.6 |
| 10 | 0.4 |
| 15 | 0.1 |
高松市の環境影響評価書は、建設機械の騒音の寄与分 60 dB と、近くの住居の現況の騒音レベル 43 dB を合成して、予測結果を 60 dB としています(計算すると 60.1 dB)。
エクセルで計算するときの式
表計算ソフトで計算するときは、次の式を使います(A 列に機械の名前、B 列にパワーレベル、C 列に距離、D 列に騒音レベルを置いた例)。
機械ごとの騒音レベル(D2 のセル):
2つの騒音レベルの合成:
D2 から D10 までの合成(画面の幅で折り返して表示しますが、1行の式です):
空欄のセルを範囲に含めると、10^(0/10) = 1 が加わって、合成した値が少し大きくなります。範囲には、騒音レベルの入ったセルだけを入れます。このアプリでは、空欄の行と計算できない行は合成に含めません。
合成するときの注意
合成するのは、同じ種類の騒音レベルどうしです。実効騒音レベル(LAeff)どうし、等価騒音レベル(LAeq)どうしのように、同じ評価量で合成します。高松市の評価書は、近くの住居の現況の等価騒音レベルと合成するために、建設機械の LA5 から補正値 ΔL(3 dB)を引いて実効騒音レベルにしてから合成しています。
土木技術資料(杉谷・山元)は、道路環境影響評価の技術手法のユニット(作業単位を考慮した建設機械の組合せ)ごとの予測について、評価量は作業ごとに評価するので、現場内の異なるユニットの騒音レベルを合成することはできないとしています。一方で、札幌市の準備書や大阪市の評価書のように、ASJ CN-Model 2007 で機械ごとに予測して合成する方法もあります。環境省 九州地方環境事務所のセミナー資料(第2日)も、複数機械の同時稼働をどう評価すべきかは判断が難しく、評価の方法は様々としています。
出典
- 騒音の尺度(宮城県): 騒音レベルの和の式と例
- 環境アセスメントにおける定量的予測手法に関するセミナー(騒音予測編)第1日 配布資料(環境省 九州地方環境事務所・2016年): レベルのエネルギー和
- 環境影響評価準備書 第7章 7-1-2 騒音(札幌市): 各建設機械からの騒音の合成
- 環境影響評価書 6.5.4 騒音(大阪市): 合成の式
- 環境影響評価書 6.2.2 騒音(高松市): 寄与分 60 dB と現況 43 dB の合成(表 6.2.2-13)
- 建設機械の稼動に係る騒音・振動・降下ばいじんの予測手法(土木技術資料 51-6・杉谷康弘・山元弘・2009年): 異なるユニットの騒音レベルは合成できない(技術手法のユニットの予測)
- 環境アセスメントにおける定量的予測手法に関するセミナー(騒音予測編)第2日 配布資料(環境省 九州地方環境事務所・2016年): 複数機械の同時稼働の評価の方法は様々
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