縮尺係数は、測量作業規程の計算式集の式で、座標系原点の平均曲率半径 R0 と Y 座標から求めます。
Y 座標から縮尺係数。平面距離と基準面上の距離の換算も
成果表に記載する縮尺係数の式
農林水産省の測量作業規程 付録6 計算式集の 2.8.3「成果表に記載する縮尺係数」は、次の式です。
m = m0 ×{1 + y² ÷(2 m0² R0²)}
- m: 縮尺係数
- y: その点(当該点)の y 座標(m)
- m0: 平面直角座標系の X 軸上における縮尺係数(0.9999)。平成十四年国土交通省告示第九号の備考2で 0.9999 と決められています。
- R0: 平面直角座標系原点の平均曲率半径(m)
式に X 座標は入りません。Y 座標が 0 の点(X 軸上)では m = m0 = 0.9999 で、Y 座標の2乗に比例して大きくなります。Y 座標の大きさが同じなら、正でも負でも同じ値です。
原点の平均曲率半径 R0 の求め方
R0 は、付録6 の 1.2「楕円体の諸公式」の平均曲率半径 R = √(MN)を、座標系原点の緯度 φ0 で計算した値です。楕円体は測量法施行令第3条の楕円体で、長半径 a = 6,378,137 m、扁平率 f = 1 ÷ 298.257222101 です(付録6 1.1)。
- e² =(2F − 1)÷ F² = 0.006694380023(F は逆扁平率 298.257222101)
- W = √(1 − e² sin² φ0)
- M = a(1 − e²)÷ W³(子午線曲率半径)
- N = a ÷ W(卯酉線曲率半径)
- R0 = √(M × N)= b ÷ W²(b は短半径 6,356,752.3141 m)
座標系原点の緯度は 20°・26°・33°・36°・40°・44° の6通りなので、R0 も6通りです。
| 原点の緯度(系) | R0(m) |
|---|---|
| 20°(ⅩⅧ系) | 6,361,734.148 |
| 26°(ⅩⅣ〜ⅩⅦ・ⅩⅨ系) | 6,364,940.518 |
| 33°(Ⅰ・Ⅱ・Ⅳ系) | 6,369,400.448 |
| 36°(Ⅲ・Ⅴ〜Ⅸ系) | 6,371,488.621 |
| 40°(Ⅹ系) | 6,374,383.582 |
| 44°(ⅩⅠ〜ⅩⅢ系) | 6,377,353.556 |
計算の例(Ⅸ系・Y 座標 -35,210.500 m)
- Ⅸ系の原点の緯度は φ0 = 36° です。W = 0.9988429048…、M = 6,357,482.438 m、N = 6,385,525.661 m で、R0 = √(M × N)= 6,371,488.621 m です。
- y² =(-35,210.500)² = 1,239,779,310.25
- 2 m0² R0² = 2 × 0.9999² × 6,371,488.621² = 81,175,496,950,121…
- y² ÷(2 m0² R0²)= 0.000015272826…
- m = 0.9999 ×(1 + 0.000015272826…)= 0.9999152712… → 0.999915
2点間の縮尺係数と、緯度・経度から求める式
距離の換算に使う2点間の縮尺係数 s/S は、同じ計算式集の 2.8.2「基準面上の距離」の式 s/S = m0 ×{1 +(y1² + y1 y2 + y2²)÷(6 m0² R0²)}で求めます(基準面上の距離と平面距離の換算)。
計算式集には、座標を緯度・経度に変換して子午線収差角と縮尺係数を求める式(2.9.2)と、緯度・経度から座標と縮尺係数を求める式(2.10.2)もあります。こちらは X 座標も使う式です。成果表に記載する縮尺係数は 2.8.3 の式で、このアプリはこの式で計算します。
出典
Y 座標から縮尺係数。平面距離と基準面上の距離の換算も