ボイラー室・電気室・少量危険物・指定可燃物は、防火対象物とは別に消火器を設置します。
付加設置とは
防火対象物の中に、多量の火気を使用する場所・電気設備がある場所・少量危険物や指定可燃物を貯蔵し又は取り扱う部分があるときは、防火対象物の能力単位とは別に、その部分に適応する消火器を設置します(規則第6条第3項〜第5項)。消防本部の基準では「付加設置」と呼んでいます(福岡市消防局・富山市消防局・松戸市消防局)。
計算の例
| 例(出典) | 計算 | 計算結果 |
|---|---|---|
| ボイラー室 50 m² 福岡市消防局 2(2)エ | 50 ÷ 25 = 2 | 2 単位 |
| ボイラー室 70 m² ヤマトプロテック p.07 | 70 ÷ 25 = 2.8 | 3 単位 |
| 変電設備 150 m² 福岡市消防局 2(2)ウ | 150 ÷ 100 = 1.5 | 2 個 |
| 電気室 80 m² ヤマトプロテック p.07 | 80 ÷ 100 = 0.8 | 1 個 |
| 灯油 400 L(指定数量 1,000 L) 福岡市消防局 2(2)イ(ア) | 400 ÷ 1,000 = 0.4 | 1 単位 |
| ガソリン 80 L(指定数量 200 L) ヤマトプロテック p.07 | 80 ÷ 200 = 0.4 | 1 単位 |
| 綿花類 4,000 kg(別表第四 200 kg) 福岡市消防局 2(2)イ(イ) | 4,000 ÷(200 × 50)= 0.4 | 1 単位 |
| 紙くず 5,000 kg(別表第四 1,000 kg) 犬山市消防本部 (2)例1 | 5,000 ÷(1,000 × 50)= 0.1 | 1 単位 |
多量の火気を使用する場所の能力単位は A火災で数えます。第4類の危険物と、指定可燃物のうち可燃性固体類・可燃性液体類は B火災の能力単位で数えます。それ以外は A火災です(富山市消防局 基準44-1表・松戸市消防局 第1-4表)。 灯油とガソリンは第4類の危険物です。
少量危険物は1単位、指定可燃物は50倍で除す
少量危険物は、危険物のうち指定数量の1/5以上で指定数量未満のものです(規則第6条第3項・令第10条第1項第4号)。数量を指定数量で除した数(指定数量の倍数)は 0.2 以上 1 未満なので、切り上げた能力単位はいつも1です。指定数量以上なら少量危険物ではなく、危険物の規制に関する政令の基準になります。
指定可燃物は、危政令別表第四の数量以上の物品です。規則第6条第3項の表は、指定可燃物の数量を別表第四の数量の 50 倍で除します。別表第四の数量の 500 倍(綿花類なら 100,000 kg)では 100,000 ÷(200 × 50)= 10 → 10 単位で、大型消火器も設置します(規則第7条第1項・松戸市消防局 9(1))。
種類が2つ以上あるとき、犬山市消防本部は合算してから切り上げます。紙くず 0.1 とゴムタイヤ(合成樹脂類その他のもの 3,000 kg)6,000 kg の 0.04 を合わせて 0.14 → 1 単位としています。
防火対象物の消火器との兼用
防火対象物に設置する消火器が同じ適応性を持ち、能力単位の合計と歩行距離を満たすときは、付加設置の消火器と兼用できます(福岡市消防局 6(1)・富山市消防局 5(4)・鳥取県東部広域行政管理組合消防局 第4-1(3))。
福岡市消防局の第1-6図は、(3)項ロ・500 m²(能力単位 5)に厨房 25 m²(能力単位 1)がある例で、合計 6 単位を A-3 の消火器 2 個で満たしています。鳥取県東部広域行政管理組合消防局の例は、(6)項ロ・200 m²(2 単位)と付加設置 25 m²(1 単位)を、10型(3 単位)1本で満たしています。電気設備の消火器は兼用の扱いが違う消防本部があります(鳥取県東部広域行政管理組合消防局は電気設備用を除く)。
どの場所が付加設置になるか
厨房を含めるかと、その範囲は消防本部の基準によります(富山市・松戸市は入力の合計が 21 kW 以下の厨房設備などを除く・鳥取は厨房設備を含める)。 富山市消防局は、熱風炉・据付面積 2 m² 以上の炉・ボイラー・入力 70 kW 以上の給湯湯沸設備・乾燥設備・サウナ設備・火花を生ずる設備・放電加工機なども挙げています。
「電気設備」に当たる設備(高圧の変電設備・蓄電池設備など)は、消防本部の基準で決まります(福岡市消防局 4(2)・富山市消防局 5(2))。 富山市消防局は、高圧又は特別高圧の変電設備(全出力 50 kW 以下を除く)・燃料電池発電設備・固定して用いる内燃機関の発電設備・蓄電池設備(20 kWh 以下を除く)・急速充電設備(全出力 50 kW 以下を除く)を挙げています。
室を作らない場所の床面積の取り方は、消防本部の基準によります(福岡市消防局は離隔距離で囲われた部分・鳥取は水平距離 5 m の線で囲まれた部分)。キュービクル式の変電設備は水平投影面積です(福岡市消防局)。
出典
- 総務省令第十二号「消防法施行規則の一部を改正する省令」(平成30年3月28日・規則第6条第3項・第5項・第6項)
- 福岡市消防局「第1 消火器具」(消防用設備等の指導基準 各論・第1-1表と計算例)
- 富山市消防局「基準44 消火器具に関する基準」(富山市消防用設備等の運用基準 改訂第4版・計算例)
- 犬山市消防本部「消火器具 設置に係る審査基準」(表2・表3・表4と例)
- 松戸市消防局「消防用設備等設置基準 第1 消火器具」(第1-2表・第1-5表)
- 鳥取県東部広域行政管理組合消防局「消火器に関する指導基準」(能力単位・付加設置の例)
- ヤマトプロテック「消火器実践設置教室」(消火器設置基準と設置計算の例)