法定冷凍トンは、kW から換算して求める数ではありません。
高圧ガス保安法の1日の冷凍能力
高圧ガス保安法は、冷凍のためにガスを圧縮したり液化したりして高圧ガスを製造する設備のうち、1日の冷凍能力が20トン(政令で定めるガスの種類では、政令で定める値=50トン)以上の物を使う人に、事業所ごとに都道府県知事の許可を受けることを求めています(第5条第1項第二号・施行令第4条)。この冷凍能力は、経済産業省令で定める基準に従って算定する、とされています(同条第3項・冷凍保安規則第5条)。千葉県・千葉市の手引は、これを「法定冷凍能力」と呼んでいます。メーカーの仕様書にある「法定冷凍トン」も、この数です。
法定冷凍トンは、このアプリで換算する冷凍能力(kW・冷凍トン)とは別の数です。kW を換算しても求められないので、このアプリでは計算しません。
算定の基準(冷凍保安規則第5条)
千葉県・千葉市の「高圧ガス製造許可申請書等作成の手引(冷凍)」は、冷凍能力の算定基準を次の4つに分けています。
- 遠心式圧縮機(ターボ冷凍機): 圧縮機の原動機の定格出力 1.2 kW を、1日の冷凍能力1トンとします。
- 吸収式冷凍設備: 発生器を加熱する1時間の入熱量 27,800 kJ を、1日の冷凍能力1トンとします。
- 自然環流式・自然循環式: R = Q × A(Q は冷媒ガスの種類で決まる数、A は蒸発部または蒸発器の冷媒ガスに接する側の表面積 m²)。
- そのほかの設備: R = V ÷ C(V は圧縮機の標準回転速度での1時間のピストン押しのけ量 m³、C は冷媒ガスの種類で決まる数)。多段圧縮方式・多元冷凍方式と回転ピストン型圧縮機は、V を別の式で求めます。C の表の数は、圧縮機の気筒1個の体積が 5,000 cm³ 以下か、それを超えるかでも違います。
どれも、原動機の大きさ・入熱量・伝熱面積・押しのけ量といった機械の数から求めます。運転の条件で変わる冷凍能力(kW)は使いません。ターボ冷凍機(日本冷凍空調工業会のハンドブックでは、ターボ形は遠心形の別名)なら、原動機の定格出力が 120 kW のとき、1日の冷凍能力は 120 ÷ 1.2 = 100トンです。
押しのけ量 V の式(往復式の例)
浜松市の様式「一日の冷凍能力計算書」(冷凍保安規則第5条による)では、往復式の圧縮機のピストン押しのけ量 V(m³/h)を次の式で求め、定数 C で割って1日の冷凍能力 R(トン)にします。
D は気筒の内径(m)、L はピストンの行程(m)、n は気筒数、N は1分間の標準回転数です。
カタログの数の例
三菱電機のコンデンシングユニット ECOV-EN55MA(スクロール圧縮機・冷媒 R410A)の標準仕様書には、冷凍能力 17.0 kW(周囲温度 32℃・蒸発温度 −10℃・圧縮機の運転周波数 60 Hz)と、法定冷凍トン 3.6トンが並んでいます。17.0 kW を換算すると 4.404 JRt・4.835 USRt で、どちらも 3.6 にはなりません。
同じ仕様書では、運転周波数 66 Hz のときの冷凍能力は 18.4 kW と書かれていますが、法定冷凍トンの欄は 3.6トンの1つだけです。この機械はスクロール圧縮機なので、上の4つ目(R = V ÷ C)にあたり、仕様書の押しのけ量は 20.0 m³/h です。千葉県・千葉市の手引は、製造計画書に書く1日の冷凍能力を小数点以下第1位まで(第2位を四捨五入)としています。
許可と届出の境目
1日の冷凍能力(法定冷凍トン)と冷媒ガスの種類で、許可が要るか届出が要るかが決まります。表は千葉県・千葉市の手引の区分で、数は1日の冷凍能力(トン)です。届出をする人を第二種製造者、許可を受ける人を第一種製造者といいます。第一種ガスは不活性ガス(ヘリウム・窒素・二酸化炭素や、難燃性の基準に合うフルオロカーボンなど)と空気です。
| 冷媒ガス | 届出(トン) | 許可(トン) |
|---|---|---|
| 第一種ガス | 20以上50未満 | 50以上 |
| 可燃性ガスのフルオロカーボン・アンモニア | 5以上50未満 | 50以上 |
| そのほかのガス | 3以上20未満 | 20以上 |
熊本県の案内では、届出は製造を始める20日前までに都道府県知事に提出し、「一つの冷凍設備」ごとに行います。冷媒ガスが配管でつながっている設備などは、冷凍能力を合算して1つの冷凍設備になります。届出や許可が要るかは、設備を置く所の都道府県(千葉市のように市の窓口のこともあります)で確かめてください。