温度差で求める顕熱の式と、比エンタルピー差で求める全熱の式です。
2つの式
どちらの式も、日本エレクトロヒートセンターの「業務用電化厨房施設の空調設備設計指針」(JEHC104)の式です。本文編の熱負荷計算では、外気負荷を冷房時は Qo = ρ × Voa × Δi ÷ 3.6(ρ は空気の比重 1.2 kg/m³)、暖房時は Qo = 0.33 × Voa × Δt で求めます。解説では、冷房時は外気と室内の空気のエンタルピー差で空調負荷(全熱)を求め、暖房時は室内の湿度が成り行きになるので湿度の変化による負荷は考えず、温度差で空調負荷(顕熱)を求める、としています。
同じ指針の空調機器の容量の算出方法(解説編 5章)では、冷房の顕熱にも 0.33 の式を使い、必要冷房吹出温度差を ⊿tc = Qo_sh_c ÷(0.33 × V)で求めます。必要冷却能力(全熱)は Qic = 1.2 × Vsa ×(iia_c − isai_c)÷ 3.6 で、厨房の空気と吹出空気の比エンタルピーの差から求めます。このアプリは、この2つを「温度差(顕熱)」と「エンタルピー差(全熱)」にしています。
3.6 と 0.33
1.2(kg/m³)× 風量(m³/h)× 比エンタルピー差(kJ/kg)は、1 時間あたりの kJ(kJ/h)です。1 W は 1 秒に 1 J なので、1 時間では 3.6 kJ です。kJ/h を 3.6 で割ると W になります。0.33 の式は、風量(m³/h)と温度差(℃)を掛けた数に 0.33 を掛けて、そのまま W にする式です。
JEHC104 の暖房の手順(解説編 p.21)には、0.33 の代わりに 1.2 ÷ 3.6 を使う式(⊿th = Qo_sh_h × 3.6 ÷(1.2 × Vsa))もあります。1.2 ÷ 3.6 = 0.333… で、0.33 との違いは 1 % です。このアプリは、本文編と冷房の手順の 0.33 で計算します。
JEHC104 の計算例
指針の計算例(社員食堂の厨房・給気量 6,790 m³/h)では、外気負荷を次のように求めています。冷房は外気 82.4 kJ/kg と厨房 65.8 kJ/kg の比エンタルピー差、暖房は厨房 17.0 ℃ と外気 2.0 ℃ の温度差です。
計算の画面で求め方を「エンタルピー差(全熱)」にして、風量 6,790、吸込み 82.4、吹出し 65.8 と入力すると、同じ 37,571 W(37.57 kW・32,311 kcal/h)が表示されます。暖房の例の 0.33 × 6,790 × 15 は 33,610.5 で、指針は 1 W に丸めて 33,611 W と書いています。
温度差ごとの冷房能力(顕熱・風量 1,000 m³/h)
風量 1,000 m³/h のときの、温度差ごとの冷房能力です。このページを作るときに、計算の画面と同じ式で計算した数値です。風量が倍なら能力も倍、温度差が倍なら能力も倍です。
| 温度差(℃) | W | kW | kcal/h |
|---|---|---|---|
| 5 | 1,650 | 1.65 | 1,419 |
| 8 | 2,640 | 2.64 | 2,270 |
| 10 | 3,300 | 3.30 | 2,838 |
| 12 | 3,960 | 3.96 | 3,406 |
| 15 | 4,950 | 4.95 | 4,257 |
よくある間違い
- m³/min の風量をそのまま式に代入する。式の風量は m³/h なので、60 を掛けてから代入します。
- 温度差で求めた顕熱を、全熱の能力と比べる。温度差の式には湿度の変化の分(潜熱)が含まれません。
- 吹出し − 吸込みで引く。冷房では吸込み − 吹出しが正の数になる向きで引きます。
- 計算結果の W を kW と読む。式で求めた値は W で、1,000 で割ると kW です。
出典
- 一般社団法人 日本エレクトロヒートセンター「業務用電化厨房施設の空調設備設計指針 JEHC104-2007」(2007年7月31日 制定・2019年2月1日 改定)(本文編 p.4 ⑤すきま風負荷・⑥外気負荷、解説編 p.12 計算例・p.17〜21 手順)