現場マスター

ポンプの揚程の計算

実揚程・流量・管の内径と長さから、ポンプの全揚程を求めます。

ポンプの全揚程

実揚程

実揚程は、吐出し水位と吸込み水位の差です(J-Net21 の式②)。ポンプを置く高さは関係ありません。

受水槽から高置水槽へ揚げるときは、受水槽の水面から高置水槽へ吐き出す所までの高さです。給水するときは、吸込み水位から末端最高位の給水用具までの高さを入力します。

冷水を循環させる密閉回路のように、吸込みと吐出しの水位が同じなら 0 です。

流量

ポンプが送る水の量です(1 m³/min = 1,000 L/min、1 m³/h ≒ 16.67 L/min)。

国土交通省の建築設備設計基準は、揚水用ポンプの揚水量を時間最大予想給水量に、給水ポンプユニットの給水量を瞬時最大予想給水量と同時使用流量に基づいて算定するとしています。

管の実内径

呼び径ではなく、管の実内径(内側の直径)を入力します。同じ呼び径でも、管の種類で内径は違います。

八千代市の指針の流量表は、管径 D=13〜50 mm をウエストン公式、75〜150 mm をヘーゼン・ウイリアムス公式で計算した表です(式の d は管の実内径)。

内径は 10 mm から(ウエストン公式の流量図のいちばん細い線が D=10mm)。

直管の長さ

吸込み管と吐出し管を合わせた、直管の長さです。

このアプリは管の太さを1つで計算します。太さの違う区間があるときは、その区間の摩擦損失を別に計算して「器具・機器の損失水頭」に加えます。

継手・弁の入力方法

継手・弁の入力方法

継手・弁などの損失を、同じ損失になる直管の長さ(相当長)にして直管の長さに加えます。八千代市の指針はこれを直管換算長と呼びます。

「直管の何%」は、直管の長さにその割合を掛けた長さを相当長にします。割合は設計で決める値で、出典の資料に決まった割合はありません。

継手・弁の相当長

継手・弁・メータなどの相当長(直管換算長)の合計です。無ければ 0 を入力します。

八千代市の指針の例: 口径 20 mm の甲形止水栓 7.4 m、20 mm の水道メータ 6.5 m、20 mm の水栓 13.5 m。

末端の必要圧力

末端最高位の給水用具を使用するために必要な圧力です(八千代市の指針 P5)。給水用具のメーカーの資料で確かめます。

高置水槽などへ吐き出すときは空欄(0)です。J-Net21 の式①は、実揚程・配管損失水頭・吐出し速度水頭の3つです。

新しい鋳鉄管 C=130

実揚程、流量、内径、直管の長さ、継手・弁を入力すると、全揚程を計算します。

詳しい設定

管の種類(流速係数 C)

流速係数 C は、ヘーゼン・ウイリアムス公式で使います(管内の粗度で変わる値)。一覧は八千代市の指針の表Ⅸ-2-3(土木学会 水理公式 昭和46年改訂版)です。

表に幅のある管(新しい塩化ビニル管 145〜155・きわめて古い鋳鉄管 60〜80)は、小さい方(摩擦損失が大きくなる側)にしています。ほかの値は「C を直接入力する」を選んで入力します。

鋼管などの表に無い管は、管内面の状態が同じ行(表の「同等な管種」)を選ぶか、メーカーの資料の C を直接入力します。

摩擦損失の公式

摩擦損失の公式

八千代市の指針は、口径 50mm 以下の管内面のなめらかな給水管にウエストン公式、口径 75mm 以上の鋳鉄管・鋼管にヘーゼン・ウイリアムス公式を使います。

「口径で選ぶ」は、内径 50 mm 以下をウエストン公式、75 mm 以上をヘーゼン・ウイリアムス公式で計算します。その間は指針に決まりが無いので、2つで計算して大きい方を使います。

塩化ビニル管で流速が 1.5 m/s 程度以上なら、口径 50mm 以下にもヘーゼン・ウイリアムス公式を使えます(八千代市の指針)。

吸込み側の圧力

吸込み側に圧力がかかっているときの圧力です。直結増圧式(配水管から直に吸い込む)なら、配水管の水圧(設計水圧=八千代市の指針・和歌山市の基準の P0)を入力します。そのとき実揚程は、配水管から末端最高位の給水用具までの高さ(P1+P6)です。

水槽から吸い込むときは空欄(0)です。水面の高さは実揚程に含まれています。

器具・機器の損失水頭

メータ・逆流防止器・ポンプユニット・熱交換器など、相当長に直していない物の損失水頭(m)を加えます。

八千代市の指針の計算表(直結式の口径決定)は、水道メータ・止水栓・分水栓の損失水頭を m で加えています。直結増圧式の給水用具とポンプユニットの損失(P2・P3・P4 のうち管でない分)もここに入力します。

流速係数 C の一覧と公式の使い分けは、八千代市の指針(表Ⅸ-2-3・Ⅸ-2-3〜4)によります。

計算の内訳