直結増圧の全揚程は、P1〜P6 を合計して配水管の水圧 P0 を引きます。
直結増圧式は、配水管の水圧では給水できない中高層の建物で、末端最高位の給水用具を使用するために必要な圧力を増圧給水設備で補い、給水用具まで直に給水する方式です(八千代市の指針・和歌山市の基準)。
増圧給水設備の吐水圧と全揚程
八千代市の指針は、増圧給水設備の吐水圧を、下流側の給水管と給水用具の圧力損失、末端最高位の給水用具を使用するために必要な圧力、増圧給水設備と末端最高位の給水用具との高低差の合計とし、次の式を挙げています。
- P0: 配水管の水圧
- P1: 配水管と直結加圧形ポンプユニットとの高低差
- P2: 直結加圧形ポンプユニットの上流側の給水管及び給水用具の圧力損失
- P3: 直結加圧形ポンプユニットの圧力損失
- P4: 直結加圧形ポンプユニットの下流側の給水管及び給水用具の圧力損失
- P5: 末端最高位の給水用具を使用するために必要な圧力
- P6: 直結加圧形ポンプユニットと末端最高位の給水用具との高低差
- P7: 直結加圧形ポンプユニットの吐水圧
- P8: 直結加圧形ポンプユニットの加圧ポンプの全揚程
和歌山市企業局の直結増圧給水装置施行基準も、増圧装置による増加圧力(全揚程 H)を H = P7 − P8 = P1 + P2 + P3 + P4 + P5 + P6 − P0 としています。和歌山市の基準の P8 は増圧装置吸込側の有効圧力(P0 −(P1 + P2 + P3))で、P0 は設計水圧(配水管水圧)です。同じ記号でも資料によって指す物が違うので、式の中身で読みます。
このアプリの欄との対応
| 指針の項 | このアプリの欄 |
|---|---|
| P1 + P6(高低差) | 実揚程(配水管から末端最高位の給水用具までの高さ) |
| P2・P4 の給水管 | 直管の長さ + 継手・弁の相当長 → 配管の摩擦損失水頭 |
| P2・P4 の給水用具・P3 | 器具・機器の損失水頭(詳しい設定) |
| P5 | 末端の必要圧力 |
| P0 | 吸込み側の圧力(詳しい設定) |
このアプリは J-Net21 の式①に合わせて、吐出し速度水頭も加えます。P8 の式には無い項なので、その分だけ大きめになります(流速 2 m/s で 2² ÷(2 × 9.8)= 0.20 m)。
例
配水管から末端最高位の給水用具までの高さ 18 m、流量 250 L/min、管の実内径 50 mm、直管 45 m、相当長 15 m、末端の必要圧力 0.07 MPa、メータ・逆流防止器・ポンプユニットの損失 3 m、配水管の水圧 0.2 MPa なら、全揚程は 13.70 m(0.134 MPa)です。手順は「ポンプの揚程の計算例」の例3 にあります。
設計水圧と管内流速(和歌山市の基準の例)
和歌山市の基準は、設計水圧を配水管の年間最小動水圧で決め(0.196 MPa 以上 0.245 MPa 未満の地域は 0.196 MPa、0.245 MPa 以上の地域は 0.245 MPa)、給水管の管内流速を 2.5 m/s 以下、増圧装置を使用圧 0.75 MPa 以下とする条件を挙げています。条件は水道事業体ごとに違うので、工事をする地域の基準で確かめます。
国の設計基準の書き方
国土交通省の建築設備設計基準(令和6年版)は、給水ポンプユニットと水道用直結加圧形ポンプユニットの揚程を、給水器具の必要最小圧力を満足するように算定する、としています。揚水用ポンプの揚水量は時間最大予想給水量に基づいて算定し、原則として2台設置して自動交互運転とする、とも書いています。