Pt100 の抵抗値を求める式と係数、0 ℃以上と未満の違いです。
白金測温抵抗体は、白金の電気抵抗が温度で変わる性質を使い、抵抗値を測って温度を求める温度センサです。0 ℃で 100 Ω の物を Pt100 と呼びます。JIS C 1604(測温抵抗体)で規格化されているので、メーカーが違っても互換性があります(キーエンス「測温抵抗体の基礎」)。今の JIS C 1604:2013 は IEC 60751:2008 を基にした規格で、JIS C 1604:1997 を置き換えた物です(日本規格協会)。
計算式と係数
温度 t(℃)のときの抵抗値 R(Ω)は、次の式で求めます。式と係数は Fluke の PT100 Calculator の物で、Fluke は IEC 60751:2008・JIS C 1604:1997 によると書いています。
0 ℃以上は C = 0 なので、R = R0 ×(1 + A·t + B·t²)の2次式です。0 ℃未満だけ C の項が加わります。温度は ITS-90(1990年国際温度目盛)の値です(日本規格協会・林電工)。計算できる範囲は、JIS の規準抵抗値表と同じ −200〜850 ℃です。
例: 100 ℃の抵抗値
R = 100 ×(1 + 3.9083×10⁻³ × 100 +(−5.775×10⁻⁷)× 100²)= 100 ×(1 + 0.39083 − 0.005775)= 138.5055 Ω。0.01 Ω に四捨五入して 138.51 Ωです。JIS の規準抵抗値表の 100 ℃の値も 138.51 Ω です(チノーの抵抗値表・林電工の規準抵抗値表)。
100 ℃と 0 ℃の抵抗値の比 R100/R0 は 1.3851 で、JIS は Pt100 の抵抗素子をこの値(1.3851)で決めています(山里産業「測温抵抗体のJIS規格」)。0〜100 ℃の平均では、1 ℃あたり 0.3851 Ω 変わります。
例: −100 ℃の抵抗値(0 ℃未満)
R = 100 ×[1 + 3.9083×10⁻³ ×(−100)+(−5.775×10⁻⁷)×(−100)² +(−4.183×10⁻¹²)×(−100 − 100)×(−100)³]= 60.2558 Ω。四捨五入して 60.26 Ωで、規準抵抗値表の −100 ℃も 60.26 Ω です。
C の項は、0 ℃から離れるほど大きくなります。Pt100 で −100 ℃では −0.08 Ωですが、−200 ℃では −1.00 Ωで、その温度の感度(0.4323 Ω/℃)で割ると約 2.3 ℃にあたります。0 ℃未満で C の項を落とすと、低い温度ほど大きくずれます。
感度(1 ℃あたりの抵抗値の変わり方)
式を温度で微分すると、温度が 1 ℃変わったときの抵抗値の変わり方(感度 dR/dt)が求まります。Fluke の PT100 Calculator も、抵抗値と一緒に感度(Ω/℃)を求めます。
Pt100 の感度は、−200 ℃で 0.4323 Ω/℃、0 ℃で 0.3908 Ω/℃、100 ℃で 0.3793 Ω/℃、850 ℃で 0.2927 Ω/℃ と、温度が高いほど小さくなります(B が負の数のため)。0〜100 ℃の平均の感度で一律に換算すると、その外ではずれます(「抵抗値から温度を求める式」のページに例)。
出典
- Fluke「PT100 Calculator」(R = R0[1 + At + Bt² + C(t − 100)t³]と PT-385 の係数・IEC 60751:2008/JIS C 1604:1997 による)
- 日本規格協会「JIS C 1604:2013 測温抵抗体」(見本: まえがき・目次・序文・適用範囲)
- 株式会社チノー「抵抗値表」(Pt100・JIS C1604-2013 より抜粋/JPt100・JIS C1604-1989 より抜粋)
- 林電工株式会社「Pt 100Ωの規準抵抗値表」(JIS C 1604-1997・IEC Pub.751-1995・−200〜850 ℃)
- 山里産業株式会社「測温抵抗体のJIS規格」(JIS C 1604-1997 より抜粋・R100/R0・許容差・規定電流・使用温度範囲)
- 株式会社キーエンス「測温抵抗体の基礎」(2線式・3線式・4線式・Pt100 と JPt100・許容差・規定電流)