JIS A 3302:2000 の表は、建物の用途ごとの算定式で処理対象人員を求めます。
処理対象人員と人槽
処理対象人員(n)は、浄化槽の規模を決めるための人数です。建築基準法の告示(昭和44年建設省告示第3184号)により、JIS A 3302「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準」に定める方法で求めます(国土交通省の令和8年7月3日の通知の前文)。実際に住む人や使う人の数ではなく、建物の用途ごとに、延べ面積・定員・便器数などの算定単位から表の式で求めます。
浄化槽の規模は「7人槽」のように処理対象人員の人数で言い表します。徳島県浄化槽施工マニュアルの例では、延べ面積 150 m² の母屋を「7人槽必要」としています。
表の構成と算定単位の記号
JIS A 3302:2000 の表は、建築用途を11の類(類似用途別番号)に分け、類の中をイ・ロ・ハの順に並べています。用途は「5イ 店舗・マーケット」のように番号で呼びます。
- 集会場施設関係(公会堂・集会場・劇場、競輪場、観覧場・体育館)
- 住宅施設関係(住宅、共同住宅、下宿・寄宿舎、老人ホームなど)
- 宿泊施設関係(ホテル・旅館、モーテル、簡易宿泊所など)
- 医療施設関係(病院・療養所、診療所・医院)
- 店舗関係(店舗・マーケット、百貨店、飲食店、喫茶店)
- 娯楽施設関係(パチンコ店、ゴルフ練習場、テニス場、プール、キャンプ場、ゴルフ場など)
- 駐車場関係(サービスエリア、駐車場・自動車車庫、ガソリンスタンド)
- 学校施設関係(保育所から中学校まで、高等学校・大学・各種学校、図書館)
- 事務所関係(事務所)
- 作業場関係(工場・作業所・研究所・試験所)
- 1〜10 の用途に属さない施設(市場、公衆浴場、公衆便所、駅・バスターミナル)
式の記号は、A が延べ面積(m²)、P が定員・収容人員・乗降客数(人/日)・駐車ます数、C が総便器数か大便器数、U が小便器数、R が客室数、B がベッド数、S が打席数かコート面数、L がレーン数、H がホール数、t が単位便器当たり1日平均使用時間(時間)です。
主な用途の算定式
よく使う用途の算定式と、例の数で求めた人員です。表の全部の式は、計算の画面で用途を選ぶと行の下に表示します。
| 用途(表の番号) | 算定式 | 例(延べ面積など) | 人員 |
|---|---|---|---|
| 2イ 住宅 | n=5(A≦130 m²)・n=7(130 m²<A) | 150 m² | 7 人 |
| 2ロ 共同住宅 | n=0.05A(1戸当たり 3.5〜6人) | 1,000 m²・10戸 | 50 人 |
| 9イ 事務所(業務用の厨房設備を設ける) | n=0.075A | 500 m² | 37.5 人 |
| 9イ 事務所(業務用の厨房設備を設けない) | n=0.06A | 500 m² | 30 人 |
| 5イ 店舗・マーケット | n=0.075A | 200 m² | 15 人 |
| 5ハ 飲食店(一般の場合) | n=0.72A | 80 m² | 57.6 人 |
| 10イ 工場・作業所など(業務用の厨房設備を設けない) | n=0.30P | 定員 50 人 | 15 人 |
| 8イ 保育所・小学校・中学校など | n=0.20P | 定員 300 人 | 60 人 |
事務所と工場は、業務用の厨房設備を設けるかどうかで係数が変わります。事務所は 0.075A と 0.06A、工場・作業所・研究所・試験所は定員に 0.75 と 0.30 を掛けます。飲食店は「一般の場合」「汚濁負荷の高い場合」「汚濁負荷の低い場合」で 0.72A・2.94A・0.55A です。
表のほかの決まり(ただし書きと加算)
規格の本文には、表の使い方の決まりがあります(国土交通省が公開している1988年版の本文による)。
- 2 のただし書き: 建築物の使用状況により、表が明らかに実情に添わないと考えられる場合は、算定人員を増減することができます。
- 3.1: 特殊の建築用途の建築物や定員未定の建築物は、表に準じて算定します。
- 3.2: 同一建築物が2以上の異なった建築用途に供される場合は、それぞれの建築用途の項を適用加算します。
- 3.3: 2以上の建築物が共同で浄化槽を設ける場合も、それぞれの建築用途の項を適用加算します。
- 3.4: 学校その他で、特定の収容される人だけが移動して2以上の建築用途に使う場合は、3.2・3.3 の加算や、建築物ごとの人員を軽減できます。
2 のただし書きの運用は、国土交通省の通知で住宅について示されています(住宅・共同住宅の話題を参照)。
1988年版と2000年版の違い
古い資料に載っている1988年版の表と、2000年版の表では、次の4か所の式が違います(国土交通省が公開している1988年版と、岐阜県・三重県が公開している2000年版の表を比べた)。このアプリは2000年版の式で計算します。
| 用途(表の番号) | 1988年版 | 2000年版 |
|---|---|---|
| 2イ 住宅 | n=5+(A−100)÷30(A≦100 m² は5人・A>220 m² は10人) | n=5(A≦130 m²)・n=7(130 m²<A) |
| 7イ サービスエリア(便所) | n=6.15P | 一般部 3.60P・観光部 3.83P・売店なしPA 2.55P |
| 7イ サービスエリア(売店) | n=1.50P | 一般部 2.66P・観光部 2.81P |
| 8イ 保育所・幼稚園・小学校・中学校 | n=0.25P | n=0.20P |
| 8ロ 高等学校・大学・各種学校 | n=0.31P | n=0.25P |
例えば定員 500 人の小学校は、2000年版で 100 人、1988年版の式では 125 人です。定員 600 人の高等学校は、2000年版で 150 人、1988年版では 186 人です。延べ面積 175 m² の住宅は、2000年版で 7 人、1988年版の式では 7.5 人です。
出典
- 岐阜県「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準・算定単位あたりの汚水量及びBOD参考値」(JIS A 3302-2000 の表・参考資料)
- 三重県「3章 汚水処理施設」(3-1-1 計画処理対象人員・建築用途別処理対象人員算定基準表 JIS A 3302-2000)
- 国土交通省「建築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JIS A 3302―1988)」(建設省住指発第167号の別紙)
- 国土交通省住宅局「屎尿浄化槽の処理対象人員の算定方式について」(令和8年7月3日 国住指第191号・国住参建第2414号)
- 徳島県・徳島県浄化槽推進協議会「徳島県浄化槽施工マニュアル」(平成28年11月・1(3) 人槽算定・表1-1)