端子で熱起電力を測って温度に換算し、計器の指示と比べる手順と、よくある誤りです。
計器の端子で熱起電力を測る
温度の指示がおかしいときは、熱電対が計器につながる端子で熱起電力を測り、温度に換算して指示と比べると、熱電対の側か計器の側かを分けて考えられます。
- 電圧計(mV のレンジ)で、熱電対の+と−の間の熱起電力を測る。符号もそのまま控える。
- 同じときの端子(基準接点)の温度を測る。
- 計算の画面で「熱起電力から温度」を選び、種類・測った熱起電力・基準接点の温度を入力する。
- 計算した温度と、計器の指示を比べる。
BIPM の手引きは、どの記号の熱電対も最大の熱起電力は 10〜100 mV で、安価な計器と卑金属の熱電対では 10 µV(およそ 0.3 ℃)の分解能で十分なことが多く、貴金属の熱電対では 1 µV かそれより細かい分解能にするとしています。
熱電対校正器で温度を模擬する
BIPM の手引きによると、熱電対校正器は熱電対の代わりになる電圧の源で、多くは種類と温度を決めて、基準接点の補償あり・なしの電圧を求められます。指示計の校正と、どこが悪いかを調べるのに役立ちますが、校正器だけでは熱電対の測定のトレーサビリティは取れないとしています。
基準接点の補償を持つ計器に、銅の線で mV を加えて温度 t を模擬するときは、計器が E(tr) を加えるので、E(t) − E(tr) を加えます。計算の画面で「温度から熱起電力」を選び、基準接点の温度に計器の端子の温度を入力した値です。例: K で 300 ℃ を模擬し、端子が 25 ℃ なら 12.2086 mV − 1.0002 mV = 11.2083 mV(小数3桁で 11.208 mV)です。
極性と補償導線の確かめ
BIPM の手引きは、補償導線の片方か両方の端を+と−を逆につなぐ誤りや、違う種類の補償導線(K の熱電対に T の補償導線など)を使う誤りは、気づかれにくいとしています。確かめ方として、測温接点の外のつなぎ目を1つずつドライヤーなどで温める方法を挙げています。どの接続の極性も正しければ、つなぎ目を温めても指示は変わりません。指示が変わるなら、そのつなぎ目の極性と補償導線の種類を確かめます。
種類の設定を取り違えたとき
計器の種類の設定が熱電対と違うと、同じ熱起電力を別の規準関数で読むので、指示が大きく違います。K の熱電対が 300 ℃(12.209 mV、基準接点 0 ℃)のとき、ほかの種類の逆関数で読むと次の温度になります。
| 読んだ種類 | 指示の温度 |
|---|---|
| J | 225.7 ℃ |
| T | 253.5 ℃ |
| E | 183.5 ℃ |
| N | 379.3 ℃ |
計算結果の扱い
- 規準関数は種類ごとの規格の値です。実際の熱電対には許容差があり、使ううちに熱起電力が変わることもあります(BIPM の手引きの 5 章)。
- 計算した温度と指示の差が大きいときは、基準接点の温度・極性・種類の設定・補償導線を順に確かめます。