説明

熱電対の起電力から温度への換算(逆関数)

測った熱起電力を温度に換算する逆関数と、使える範囲・誤差です。

逆関数とは

測った熱起電力から温度を求めるには、規準関数を逆に解きます。NIST は、そのための近似の式(逆関数)を、種類と範囲ごとに示しています。

t = d0 + d1·E + d2·E² + … + dn·Eⁿ t: 測温接点の温度(℃) E: 熱起電力(mV・基準接点 0 ℃) d0〜dn: 種類と範囲ごとの係数

逆関数は近似なので、規準関数で求めた温度と少し違います。NIST のファイルは、その違い(誤差)の範囲を式ごとに示しています。NIST Monograph 175 は、いくつかの例外を除き 0.05 ℃ 以内としています。下の表の誤差の範囲は、8種類のどの式も ±0.06 ℃ の内です。

逆関数の範囲と誤差

範囲の欄は、上が温度、下が熱起電力の範囲です。

種類範囲誤差(℃)
K−200〜0 ℃
−5.891〜0.000 mV
−0.02〜0.04
0〜500 ℃
0.000〜20.644 mV
−0.05〜0.04
500〜1,372 ℃
20.644〜54.886 mV
−0.05〜0.06
J−210〜0 ℃
−8.095〜0.000 mV
−0.05〜0.03
0〜760 ℃
0.000〜42.919 mV
−0.04〜0.04
760〜1,200 ℃
42.919〜69.553 mV
−0.04〜0.03
T−200〜0 ℃
−5.603〜0.000 mV
−0.02〜0.04
0〜400 ℃
0.000〜20.872 mV
−0.03〜0.03
E−200〜0 ℃
−8.825〜0.000 mV
−0.01〜0.03
0〜1,000 ℃
0.000〜76.373 mV
−0.02〜0.02
N−200〜0 ℃
−3.990〜0.000 mV
−0.02〜0.03
0〜600 ℃
0.000〜20.613 mV
−0.02〜0.03
600〜1,300 ℃
20.613〜47.513 mV
−0.04〜0.02
R−50〜250 ℃
−0.226〜1.923 mV
−0.02〜0.02
250〜1,200 ℃
1.923〜13.228 mV
−0.005〜0.005
1,064〜1,664.5 ℃
11.361〜19.739 mV
−0.0005〜0.001
1,664.5〜1,768.1 ℃
19.739〜21.103 mV
−0.001〜0.002
S−50〜250 ℃
−0.235〜1.874 mV
−0.02〜0.02
250〜1,200 ℃
1.874〜11.950 mV
−0.01〜0.01
1,064〜1,664.5 ℃
10.332〜17.536 mV
−0.0002〜0.0002
1,664.5〜1,768.1 ℃
17.536〜18.693 mV
−0.002〜0.002
B250〜700 ℃
0.291〜2.431 mV
−0.02〜0.03
700〜1,820 ℃
2.431〜13.820 mV
−0.01〜0.02

逆関数の無い範囲

逆関数の範囲は、規準関数の範囲より狭い所があります。K・T・E・N は −200 ℃ より低い温度、B は 250 ℃(0.291 mV)より低い温度に逆関数がありません。B は低い温度では熱起電力がとても小さく、BIPM の手引きは 500 ℃ より下ではほとんど使わないとしています。このアプリは、逆関数の範囲の外の熱起電力からは温度を計算しません。

R と S の重なる範囲

R と S は、250〜1,200 ℃ の式と 1,064〜1,664.5 ℃ の式の範囲が重なっています(R は 11.361〜13.228 mV、S は 10.332〜11.950 mV)。このアプリは、重なる所では誤差の範囲が小さい 1,064〜1,664.5 ℃ の式を使います。重なる所で2つの式の温度の差は、R で最大 0.005 ℃、S で最大 0.010 ℃ です。

例

表を引いて換算するとき

NIST Monograph 175 には、温度から熱起電力の表(1 ℃ ごと)のほかに、熱起電力から温度の表(0.01 mV ごと)もあります。逆関数の式を使えば、表の行の間の値もそのまま計算できます。

出典

熱電対の起電力を計算する