最小送信出力と最小受信感度からパワーバジェットを、全損失を引いてパワーマージンを求めます。
パワーバジェット
Juniper の資料は、光ファイバーの接続が正しく動くのに十分な光パワーがあるかを見るため、まずパワーバジェット(PB)を計算するとしています。パワーバジェットは、リンクが送信できる最大の電力量です。最悪の場合(ワーストケース)で見るため、送信側は最小の送信出力(PT)、受信側は最小の受信感度(PR)を使います。
dBm と dB
dBm は 1 mW(ミリワット)を基準にしたデシベルで、送信出力や受信感度のような光パワーの大きさを表します。dB は損失やパワーバジェットのような差を表します。dBm から dBm を引くと dB になります。
パワーマージン
パワーマージン(PM)は、パワーバジェットからリンク損失(LL)を引いた残りです。Juniper の資料は、パワーマージンがゼロより大きいときは、パワーバジェットが受信側の機器(レシーバー)を動作させるのに十分であることを示す、としています。リンク損失の要因には、高次モード損失、モード分散と色分散、コネクタ、スプライス、ファイバー減衰などがあります。
このアプリでは、リンク損失 LL に全損失(システムマージンを含む値)を使います。パワーマージンは、システムマージンを見込んだうえで、さらに残る分です。0 dB より大きければ「○ 足りる」、0 dB 以下なら「✗ 足りない」と表示します。
Juniper の資料の計算例
どちらもパワーバジェット 13.00 dB(−15 dBm と −28 dBm)で、表1 の推定値を使った計算例です。マルチモードの例は長さ 2 km・コネクタ 5 か所・スプライス 2 か所、シングルモードの例は長さ 8 km・コネクタ 7 か所(スプライスなし)です。
| 項目 | マルチモード | シングルモード |
|---|---|---|
| 光ファイバー | 2.00 dB | 4.00 dB |
| コネクタ | 2.50 dB | 3.50 dB |
| スプライス | 1.00 dB | 0.00 dB |
| 高次モード損失 | 0.50 dB | 0.00 dB |
| リンク損失 | 6.00 dB | 7.50 dB |
| パワーマージン | 7.00 dB | 5.50 dB |
どちらのパワーマージンも 0 dB より大きく、資料は、リンクに送信に十分な電力があることを示すとしています。この計算例はシステムマージンを使っていません。マルチモードの例の高次モード損失 0.5 dB は、このアプリではシステムマージンの欄に加えて入力します(システムマージン 0.5 dB として入力すると、全損失 6.00 dB・パワーマージン 7.00 dB)。
Cisco の資料の光カードの例
Cisco の資料は、光カードの仕様を、送信 −3〜0 dBm、受信 −20〜−27 dBm(1310 nm)と仮定し、パワーバジェットを 17〜27 dB としています。最悪のカードの 17 dB と、最悪の条件の全損失 16.05 dB を比べ、光リンクは問題なく動作すると推測できる、ただし確認するにはリンクを測定する必要がある、としています。この組み合わせのパワーマージンは 17 − 16.05 = 0.95 dB です。
最大距離の目安
Cisco の資料は、この計算方法で、光システムで使用できる最大距離を見積もれるとしています。コネクタ接続と融着接続の数とシステムマージンを変えずに長さだけを変えるなら、パワーマージンが 0 dB になる長さは、全損失の式を L について解いて求めます。
例: パワーバジェット 17 dB で、1310 nm の最悪の値(コネクタ接続 1 dB × 2 か所・融着接続 0.2 dB × 4 か所・0.5 dB/km)とシステムマージン 3 dB なら、(17 − 5.80)÷ 0.5 = 22.4 km です。1310 nm の標準の値なら 32.6 km です。長さを延ばして融着接続の数も変わるときは、変わった数で計算し直します。計算の画面では、パワーマージンを表示したときに「計算の内訳」に最大距離の目安を表示します。